2017年8月の私的シネマランキング (No.1 ~ No.13)
私が8月に映画館で鑑賞した新作映画について、個人的によかった順番に並べて感想をまとめました。
8月に観た新作は短編も含めると36本で、これは1回の上映で長編1本と短編1~2本をセットで鑑賞できるMOOSIC LABの全8回に通ったのが大きくて、こんな本数になっているのですが、MOOSIC LABで上映された全18作品については前回の記事で全てまとめたので、今回の記事で取り上げるMOOSIC LAB鑑賞の作品は上位8本に割愛しました。
ということで、今回は26本の映画について鑑賞記録をまとめてあります。
こうして振り返ってみると8月は驚くほど充実した映画月間でした。
個人的に現時点で今年一番の映画となった『少女邂逅』を始めとした、ムーラボ鑑賞作品の目を見張る充実度に加えて、劇場公開で観た作品もいつもの月よりずっと魅せられた作品ばかりでした。
特にトップ5の中の4作品がK's cinema上映作品で、K's cinemaが強すぎた8月でした。(贔屓とか通いまくった愛着とかは一切なしで、純粋な結果としてそうなりました。『隣人のゆくえ』はホントに凄い。)
では、以下8月に観た新作の私的ベスト1位からです。
1.『少女邂逅』
『少女邂逅』ムーラボの範疇に収まりようのない、2017年の青春映画の金字塔。ここまでキャラクターの心理に親密かつ真摯に添い遂げることのできる長編がどれだけあるのだろうか、という頭抜けたレベルの描写力に飲み込まれた。すべてのシーンに観客を引き込む理想的な緊張感がたぎっている。破格。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
『少女邂逅』物語の設定やあらすじからは、邦画のシリアス寄りの青春映画にありがちな題材の更新に見えるけど、そういう次元で観せる映画ではない。私的には『キャロル』への邦画からの回答と呼べる到達度。あの作品でテレーズとキャロルに注がれていた真に親密な眼差しが、本作からも絶えず見出せる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
『少女邂逅』現代の日本を舞台にしたの青春物語においても『キャロル』という映画表現に見た幾多の精神と人物描写は活かされることを証明した、偉大な映画。テレーズとキャロルが必要とし合ったことと、ミユリと紬が必要とし合ったこと。女性に課せられる戦いと、人と人の繋がりの意義は時を超えて不変
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
『少女邂逅』「虫には痛覚がないの、何故だと思う?寿命が短くてすぐ死んじゃうから痛みを感じる意味がないんだよ」とか「蚕を一匹一匹狭い部屋に区切るのは、近すぎる場所で壁がないと互いが吐き出す生糸で絡まり合ってダメになってしまうからだよ」とか、ミユリが大切な人達から貰う言葉が刺さった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
『少女邂逅』いじめられっ子で化粧気のなかったミユリが、紬にメイクを手ほどきされて明るい表情になっていく描写が凄くよい。友達にリップを塗られたミユリを、紬がカーテンの中に連れ行って「君にはこっちの方が似合うよ」と違う色で塗り直してあげるシーンとポニーテールになったミユリに打たれた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
『少女邂逅』発する言葉は少ないけれど、紬との出会いによって計り知れない内面の揺れと変化を経験したミユリを、体当たりな演技とそれ以上に圧巻なあまりに繊細で複雑な内面描写を体現しきって、それを本作の魅力そのものまでに昇華した保紫萌香は、ムーラボ限りの最優秀女優賞どころではないレベル。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
『少女邂逅』一見誰より不安げに映るミユリ以上に、実は複雑な内面と背景を抱え、それをミユリにさえ殆ど見せない紬。本作のストーリーテラーがミユリから、本作の奥深い核心は紬にある。そんな深刻に見せてはいけない深刻さを抱える難しい役を、生き生きと体現したモトーラ世理奈も本当に素晴らしい。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
以上の感想は、MOOSIC LAB 2017の一周目で本作を観た(試写会を除けば公開初日)直後に、あまりの感嘆と感銘に何を書けばいいのかも整理がつかない状態でフィーリングそのままを綴ったものだったけど、後から落ち着いて回想するとさらに素晴らしさが次々と溢れ出してきた。
本作は思慮深い着想による多角的な観点が持ち込まれながらも、それらが惚れ惚れするような手さばきによって、ひとつの次元に集約されている。その象徴が、一見観に来る人を選びそうな『少女邂逅』というタイトルだ。
これは、第一の意味として『少女蚕』であり、それは「少女蚕」とも「蚕少女」とも形容できるモートラ世理奈演じる「紬」のことを意味している。
さらにそれはどんな「紬」かというと、保紫萌香演じる主人公の「ミユリ」の視点が捉えた、「ミユリ」の目で見て、「ミユリ」の中で思い描かれた「紬」のことを意味している。本作での「紬」の描かれ方は常にそうなっている。だから「紬」の本心も秘密もかなりミステリアスな映り方として「ミユリ」にも観客にも迫ってくる。それは本作の大きな魅力だ。
だから先に掲載した感想の中で、『キャロル』を上げていたことはやはりあながち外れではないのではないかとも思う。あの作品も「(物語の語り手である)テレーズの目線から見た『キャロル』のこと」という意味で、『キャロル』というタイトルになっているので。(さらに2人で逃避行的な旅行に駆け出したり、その旅の帰着という点でも、やはり『キャロル』と近い要点があり、よりいっそう私の心を奪ってならない。『少女邂逅』はストレートに恋愛の映画ではないけれども。)
そういうわけで『少女邂逅』とはまず第一に「紬」を意味しているのだけど、「蚕」を「思いがけなく出会うこと、めぐりあい」を意味する「邂逅」に当て字変えすることで、「そんな「少女蚕」or「蚕少女」である紬とめぐりあったこと」という、より「ミユリ」の立場を主体とした観点を添えることで、二つ目の意味を生み出している。これは見事なダブルミーニング。
そして、そうした意味で捉えた時に伴う、切なさやノスタルジー、そしてそんな中にある凛々しい希望が、切に胸に迫まってくるところが本作の大きな魅力だと思う。そう思うときに、『少女邂逅』という物語は、ここで描かれる数年後に大人になった「ミユリ」が、蚕のような特別なひとりの女の子とめぐりあい、共に時間を過ごした唯一無二の1年間について思いを馳せながら、切なさと喜びがない混ぜになった思い出の中の出来事たちにもう一度胸を痛めながら手を伸ばす。そういった、既に喪失した季節を振り返るような視線も感じさせ、それがスリリングでミステリアスなムードとして現在進行形のストーリーに魅惑的な緊張感をもたらす。
さらに『少女邂逅』というタイトルには第3の意味があり、それは前2つの物語上の視点とはまた違うところにある『少女・蚕』、さらには『少女≒蚕』という作品全体に込めれたメッセージ的な意味ではないだろうか。
蚕はシルクの生糸となる繭の生成が終わると、繭ごと茹でられて本体は殺され捨てられてしまうと、生物の授業でクラスメートと一緒に教わるシーンは印象的だ。また「紬」は蚕について豆知識が豊富で、その中から「ミユリ」に事あるごとに披露していくが、「蚕を育てるときに一匹一匹狭い部屋に区切るのは、近すぎる場所で壁もないと、お互いが吐き出す生糸で絡まり合ってダメになってしまうからだよ」といったそれらの言葉が、女子学生である自分たち自身のことを示唆していることは観客の誰もが感じ取るはずだ。
少女の特別で繊細な(まさにシルクのような)美しさは消費され消耗する宿命にあり、小さな世界に囲われたまま外の世界には逃げられない。そうした、少女に対する解釈の在り方を、時に蚕に、時に学校生活や家庭生活に当てて、絶妙に描いて見せるのが本作だ。一方で、『少女≒蚕』なのだろうか?という問い掛けや問題提起を常に共存させている点が、本作に深みをもたらしている。決して消費されない美しさとは何であったのか、狭い視界の世界で仕方なくやっていたあなたを外の世界へ連れ出してくれたものは何であったかと、生きるべき少女と死すべき運命にある蚕との対比を用いて訴え掛ける。
こうした多角的な魅力を、惹き込まれてやまない繊細で美しい友情の物語に集約させた本作に私は大いに打たれた。
学校では酷いイジメにあい、家では実家から地元の大学に通う進路を一方的に決めつけてくる親に辟易する、美しさとは対極にある世界を生きていた少女が、絶対に手放したくないものを初めて見つけたことで変わっていく姿。それをこんなに親密な切なさいっぱいに描けるなんて!
2.『隣人のゆくえ あの夏の歌声』
『隣人のゆくえ』きっと世界中でまだたった一本、本作にしか体現できていない驚くべき体感が全編に渡り集結した大傑作。青春、ミュージカル、ミステリ、ホラー、戦争、社会…数多のジャンルの側面を揃えているけど、それぞれの捉え方の独自性がジャンルの壁など容易く融解させた、真新しい圧倒的な一本
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『隣人のゆくえ』こんなに絶対的な美しさに貫かれたミュージカル映画は観たことなかったし、こんな美しいミステリ映画も初めて観た。中高生の女子達が可愛らしく唄ったり踊ったりする映画、という次元には一瞬たりともいない。戦争への怒りを新たなリアリティで体現し、聖なる力で訴える終盤は震えた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『隣人のゆくえ』72年前までこの国が戦地だったことに、現代の若者がリアリティを抱けないのは時間と文化の経過として認めた上で、72年前まで自分と同じ年頃の友だち達も一瞬で若く尊い命を奪われていたことの実感を、幾つものジャンルを新しい感覚で更新し紡ぎあげた青春映画によって呼び覚ます。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『隣人のゆくえ』当時出会っていたらきっと仲良しの友達になれていた、70年前の空襲で亡くなった同じ校舎で生きた学友達を、“隣人”と感じさせ得る演出と物語の説得力。彼女達が短い青春を生きた1930s〜40sはミュージカル映画最盛期であること、その上での本作のあの音楽表現の在り方に唸る
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
1930s〜40sのミュージカル映画最盛期に対する率直な敬愛と賛辞の域でMAXをやってる『ラ・ラ・ランド』よりも、本当に30s〜40s当時と今を同一線上に並べる強く深い動機と必要性があり、歌唱の在り方までミュージカル王道と異なる独自性を貫くことでそれを達成した『隣人のゆくえ』派。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『隣人のゆくえ』キャストどころか助監督や撮影、録音、メイクといったあらゆるスタッフ業までを中高生で手掛けてるのが、作品内容故になおさら尊いし、ミュージカルパートで唯一の伴奏を担うピアノ演奏や重要楽曲の作曲は12歳の方が担当しているとエンドロールで明らかになり仰け反った。凄い映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『隣人のゆくえ』戦争への憎しみを中核に携えた映画は今期も沢山あるけど、その怒りや憎しみを回想や呼び覚ましではなく、現代の15歳がゼロから新たに生まれるリアルな感情としてそれを手に入れ、静かなのに圧倒的な強みで世界に訴える怒りとして真に迫る次元に到達させる、表現力に打ちのめされた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
3.『少女ファニーと運命の旅』
『少女ファニーと運命の旅』予想を超える素晴らしさ。圧巻の観応えと心が澄み渡る深い感動に痺れる。ナチスドイツのユダヤ人迫害を逃れる為、幼い子ども達だけで挑む命懸けの逃亡劇をこれだけ表情豊かで心から成功を祈らずにいられない映画へと昇華するファニーの凛々しさ、繊細さ、可愛さに打たれた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
『少女ファニーと運命の旅』ユダヤ人の幼い子ども達がナチスに支配されたフランスから、ナチスを防いだスイスへと過酷な逃亡を試みる話、と聞くと先が読める優等生映画に思えるけど、ファニーを筆頭とした子ども達の感情豊かな表情や行動を密捉えた繊細なカメラが、極上ヒューマン映画に仕立て上げる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
『少女ファニーと運命の旅』ナチス侵略のため両親から離れて暮らす3姉妹の長女として妹達を守る優しくしっかり者のファニーが、9人の幼い子ども達を引っ張って国境を目指すという突如の使命を通して凛々しいリーダー性を開花させていく姿が、本当に生き生き、切なく表現されていて心奪われる。名作。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
『少女ファニーと運命の旅』本作で強く印象に残ったのは、2つの大戦のどちらでも中立の立場を取ったことで数万人のユダヤ難民や戦争難民の受け皿となっていたスイスという凄い国の存在。子ども達だけで遥か国境を目指しドイツ兵から隠れながら歩き続ける姿は勿論、スイスという国も眩しく尊く映った。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
『少女ファニーと運命の旅』子ども達の一生懸命で切ない冒険を通して、幼い子ども達に絶対にこんなこと言わせてはいけないし、させたくないと何度も強く感じ人種迫害の最悪さに打たれる部分と、無邪気さと凛々しさを併せ持つ子ども達の愛おしさに心奪われる部分が最高に理想的なバランスで両立してる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
4.『聖なるもの』
『聖なるもの』私的に年ベス級。映画としてのスタイルは監督の前作『花に嵐』を完全に踏襲していて、物語の設定も前作へのオマージュか続編風に要所要所で韻を踏む。だけど、その内容のいかに洗練を遂げていることか!娯楽作として駆け抜けることに一切の迷いがなく最高にポップ。そして完璧な観応え。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『聖なるもの』前作『花に嵐』と同じ撮影スタイルを踏襲しているけど、フェイクドキュメントというジャンルの特殊性を強調したことで物語の演出が不安定な印象だった前作に対し、今回は序盤から完全フェイクだろうが面白ければ問題なしという思いきりの良さがあって、爽快な程ひたすら面白く観通せた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『聖なるもの』撮影スタイルや物語設定は『花に嵐』と共通するけど、監督自身が幸薄感を拗らせてた前作とは対照的に、今作は南美櫻と小川紗良という2大ヒロインに囲まれるばかりか同居までして、さらにそこに降りかかるのがボンジュール鈴木による激甘官能ゴスロリポップのシャワーだから多幸感が凄い
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『聖なるもの』前作よりも遥かに娯楽度を上げ、物語の面でも笑い所の面でも面白さを格段に高めながらも「映画づくりとは何なのか?」という前作から継承するテーマについては、シリアスムードだった前作以上に深い次元で探求がされていて、タイトルワード出現以降の展開には遥か彼方へぶっ飛ばされた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『聖なるもの』男性の岩切監督にとっての、女の子という存在と映画という存在の関係性を自身で解き明かそうとした作品であるように見えた。それを下心や助平心ではなく“聖なるもの”と呼べるだけの、映像による捉え方が本作には詰まっていると思えたし、人間とは何かの追求さえ同時に実現されている。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『聖なるもの』南美櫻と小川紗良がそれぞれ演じるキャラが監督にとって対照的なやりとりで繋がる人物であることが、映画づくりの本質探求のヒントを女性との関係性に見出そうとする後半に効いてきて痺れた。まさか2人とも自分から離れてしまった時、人間を止めキングコングになってしまうのが印象的。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『聖なるもの』自分の独りよがりな希望を厳しく打ち砕くものとして、映画づくりもドキュメントも2人のヒロインも出てきて、その度に挫折感を味わうけど、結局は自分の独りよがりな希望を打ち砕くものにこそ真の希望を、人間として生きていく気概を見出せることに気付くような終盤の展開がとても好き。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『聖なるもの』でこの曲が降臨した瞬間の幸福が忘れられず、先週発売されたボンジュール鈴木のベスト盤を手に取る。ここまで甘美なときめきと官能を極めたハイパーロリータポップは未踏の域。致死量の甘さで放たれる「baby × 3」に我を忘れ恍惚https://t.co/709kNrl1pS
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
F・Gの組み合わせは『好きだから死んでください、お願い。』→『少女邂逅』→『デゾレ』と来て、作品内容からもキャストの異様な美女だらけ度からも、驚くほど完璧にガールズムービーDayだったけど、流石に岩切監督はそうはならないだろうと読んでたら『聖なるもの』まで真摯にそこに並びきった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『少女邂逅』を観た時、あまりの超ド級さにまだ全作観てないのに、きっとこれがグランプリか観客賞だし、最優秀女優賞も待った無しで、さらに劇場公開も不可避のクオリティだと昇天の心地だった。なのに直後の『聖なるもの』が全く負けてない、むしろ最高で、この2つが賞を分け合うことになるのでは。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
5.『なっちゃんはまだ新宿』
『なっちゃんはまだ新宿』めっっっちゃくちゃよかった!!!今年のムーラボはホントにヤバイなと思った。『少女邂逅』や『聖なるもの』のようなザ・傑作感とはまた違った質感だけど - もっと柔らかく人懐こくて、それ故の不器用さも見える -心から好きにならずにいられない、オンリーワンの映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『なっちゃんはまだ新宿』脅威の2部構成。前半だけでもうお腹いっぱいになるくらい最高で、というかそこで終わると疑ってなかったので、今年最高の映画を観てしまった、という至福の心地に酔っていた。でもまさか、そこから10年後の物語が再開するとは。どエライ映画。半端ないし、容赦ない。凄い。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『なっちゃんはまだ新宿』世界一可愛い映画だと思った。そう思える瞬間しか存在しなかった。私的に、可愛い、とはベースに切なさがあるのが前提で、その上でなお尊い在り方だと感じられることの意で、目の前で起こる全てがあまりに可愛いかった。でも、そんな“可愛さ”の10年後が試されてたなんて!
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『なっちゃんはまだ新宿』片思い中の彼の恋人を想像しすぎて、空想の中で仲良しの友達として毎日を一緒に過ごすようになる。というとクレイジーに聞こえるけど、本作が凄いのは、クレイジーなんて感じる余地もないほど、可愛すぎて、微笑ましすぎて、そのいじらしさを享受するしか成す術がないこと。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『なっちゃんはまだ新宿』一番驚いたのが、これだけの健気な可愛さと優しい愛しさが詰まった本作が、監督が4年間恨み続けためちゃくちゃムカつく女をモチーフに創られていたことと、脚本を読んでその真意を見抜けたと出演者が話していたことで、だとしたら、なお驚異の、放っておけない映画だと思う。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『なっちゃんはまだ新宿』片思い中の彼の恋人や、彼氏の元カノに対する声は、世の中断然ネガティブなものが多いけど、本作では主人公の若さや優しくまっすぐな性格から、こんな大好きな彼の恋人なんだから、きっとこんな風に素敵な女の子に違いない、という絶えぬ空想が彼女の心に“アイドル”を育む。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『なっちゃんはまだ新宿』片思い中の彼の恋人に対して、直接話したこともなく知らないことばかりだけど、数少ない断片的な情報から空想を広げ、毎日想うことで、心の中のかけがえのない友達になる。本作はアイドルについての映画ではないけど、アイドル=偶像に想いを寄せるとは何なのかを真摯に示す。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『なっちゃんはまだ新宿』作品の内側に迫ろうとすると、深くて複雑な人間や人間関係についての本当に奥深い視点と示唆に満ちた映画なのに、それを表面上では発見される隙を与えないほど、柔らかな可愛らしさやキュンとする愛しさ、優しさで埋め尽くしてるのが凄い。見せつけるものをわきまえ過ぎてる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『なっちゃんはまだ新宿』10年後の28歳編をどう解釈するかが観る人によって本当に十人十色になるだろうし、安定の幸福映画体験(18歳編)の上にそれだけ無数に思いを巡らせる深みと想像の余地を備えた本作なので、ムーラボ上映だけでは済まないと思う。多くの人に観られてこそ完成する映画、感。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『なっちゃんはまだ新宿』池田夏海演じる主人公の秋乃も、菅本裕子演じるなっちゃんも、それぞれ一本の映画に一人いてくれれば大感謝級の最高可愛さ&優しさのキャラクターで、その上で可愛さの種類が異なる2人が一緒に「花より男子」読みながらタイプのキャラを当て合うシーンとかあって脳が溶けた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
今年のムーラボ、『少女邂逅』とか『なっちゃんはまだ新宿』とか『左京区ガールズブラボー』とか『デゾレ』とか『聖なるもの』とか、ひとりでも圧倒的に魅力的な女の子のキャラクターがふたりで仲良く遊んだり、メイクし合ったり、相手の唇に目を奪われたりする映画が多くて、本当に最高だったです。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
6.『わさび』
現在、ユーロスペースにて9月15日まで上映中の「映画監督 外山文治短編作品集」。新作の『わさび』と『春なれや』の2本に、2010年の傑作『此の岸のこと』を加えた3本立ての上映となっています。私は『此の岸のこと』も今回の特集で初めて観て、その図抜けた素晴らしさに衝撃を受けました。しかしながら7年前に公開された作品ということで、『此の岸のこと』は今回のランキングに入れていません。また、その分を『わさび』に加点するようなこともしていません。『わさび』単独でもこれだけ優れた、大変得難い映画体験でした。一方で『此の岸のこと』についても感想を残していましたので、せっかくですので『わさび』に併せて掲載します。
外山文治短編作品集、本当に素晴らしかった。1本目の『此の岸のこと』を観ながら、これこそが映画の理想形では、と感嘆しまくって、次の『わさび』でもその感触はいたって不変で(もっと奥深くなってさえいて)、これは自分にとってとんでもなく特別な上映体験だと確信してやまなかった。珠玉の感銘。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月27日
外山文治作品集、これほど自分自身が真剣に向き合える映画たちに出会えたこと、説教臭さも良いお話感もなく、ただ、本当に向き合わずにはいられない、私自身の未来があって、それは他の映画がハッピーエンドで閉じた先にある映画で、本当に語られるべき、問われるべき物語、テーマばかりで最高だった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月27日
『此の岸のこと』圧巻の映画体験だった。ハッピーエンドで終わる恋愛映画が大好きな私にとって、間違いなくこれはその続きにある物語で、本来ならここまで描かれる映画がもっと上映されていなければおかしいのだと気付かされる。それをこれほどのリアリティで突き詰めている本作の貴重さと尊さ。傑作。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月27日
『此の岸のこと』こうしたあまりの傑作を前にすると、少子高齢化の世の中でなお、カップルの関係を描いた映画というと青春モノばかり上映されてる現実は、想像力を限られた範囲に集中させられすぎてるように感じるし、想像力をどんな方向に使ったらより良いのか、というのを考えさせられずにいれない。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月27日
『此の岸のこと』これほどシリアスに、リアルに、自分自身の未来を感じられた映画体験はとても久々。真の意味で未来とは、ただ想像することでのみ感じられるものだと気付く。快楽の方向しか向いてない自分がどれだけ見ない振りをしている世界があるのかを、あまりに真摯に優しく教えられた。偉大すぎ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月27日
『わさび』先の『此の岸のこと』に続いて、外山文治作品の孤高の素晴らしさを全編から満喫。なんでここまで、他の邦画のヒューマン映画や家族映画とは質感もきめ細かさも違うのだろうか、というくらい、観ていて心地よいほど感情が丁寧にこちらに届き続けるし、それが全くやらせ感ゼロでリアル。凄い。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月27日
『わさび』本作に見る、キャラクターたちに注がれる眼差しこそが、本当に理想的な優しさなのだと感じた。登場人物全員に肯定的な眼差しで、勝手に感情を都合よく想像したり、感動の操作をしたりせず、最後までそっと丁寧に彼女たちの言動を見守る。真に豊潤な人間ドラマに触れられた30分。良すぎる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月27日
外山文治作品集、映画の中でこんな風に人々の営みとそこに宿る感情や意思を映せたら、描けたら最高だ、という私的基準を押し上げられる、凄く貴重な体験だった。ドラマを作り出すのではなく、ドラマを見出す。その眼差しの芯からの親密さと思慮深さが語るものの豊かさは、1秒も途切れない贅沢だった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月27日
7.『ヒトラーへの285枚の葉書』
『ヒトラーへの285枚の葉書』まさかの!この夏一番、二人の繋がりが切に胸に刺さったラブストーリー。原題は『Alone in Berlin』だけど、劇中の台詞からこの前には「We’re」が付くことが分かって堪らない気持ちに。数多の反ナチス映画とは一線を画す、繊細に情緒を捉えた作品。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月18日
『ヒトラーへの285枚の葉書』息子を戦争で失ったドイツ人夫婦が、ドイツ圧勝でヒトラー賞賛に沸く国のムードに対して知的な反撃に挑む映画なので、基本ムードは静かな緊張感や悲しみや怒りが通底してるけど、幾度か登場するロマンチックなシーンのそのあまりに真摯なロマンチックさに毎回涙が出た。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月18日
『ヒトラーへの285枚の葉書』息子の戦死の悲しみと失意で一度は途切れかけた夫婦の繋がりだけど、密かに街中を敵に回しながら続行する2人だけの命懸けの作戦が、互いの存在の尊さを蘇らせていく。真に“ロマンチックな繋がり”とは何なのかを、身体の芯に響く切なる体感でもって教えてくれる映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月18日
『ヒトラーへの285枚の葉書』反ナチス映画というと反ドイツ側からの視点による作品が断然多い中で、ベルリン在住のドイツ人夫婦による四面楚歌な2人だけの知性と勇気を凝らしたナチス批判作戦というのが新鮮な視点で素晴らしかったし、社会描写とヒューマン映画とラブストーリーのバランスも理想的
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月18日
『ヒトラーへの285枚の葉書』と『ハイドリヒを撃て!』は、どちらも第二次大戦中のナチスへの復讐を描いた作品だけど、映画のムードや質感は正反対なほど違う。銃声が鳴りまくる激しくマッチョな抗争の後者よりも、夫婦2人のペンとポストカードによる秘密の作戦を静かに情緒的に描いた前者が好み。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月18日
8.『俺たちポップスター』
『俺たちポップスター』想像してたよりずっと良く出来てたし、楽しめた。数々のミュージシャンが本人役で登場し、真顔でいい加減なフェイク証言をしてるのは盛り上がるし、何よりポップスターとして成り上がることをブラコメ視線を基調にしつつも爽快な面白さで描き通していて、お泊まり映画に最適感。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
『俺たちポップスター』ヒップホップトリオとして成り上がったチャラいラッパーが自信満々で放つソロ2作目のアルバムとツアーの行方が物語の中心なんだけど、ピッチフォークで「マイナス4.0点」を叩き出したり、5つ星で評価されるローリングストーン誌で「うんちマーク」評価だったシーンは爆笑。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
『俺たちポップスター』主人公の功績を証言するフェイクインタビューの場面では、ナズや50セント、アッシャー、ファレル等、数々のヒップスターが本人役で登場するのだけど、デンジャー・マウスやリンゴ・スターまで出てくるのには驚いたし、しまいにアーケイド・ファイアまで出演していて驚愕した。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
『俺たちポップスター』広告では「彼らの失敗と挫折と転落を描いたしくじりコメディ」と謳っていて、基本的なあらすじはその通りだけど、最後まで観ている方を散々たる気持ちにさせることは全くないし、後味も非常に爽快でハッピーなので良かった。リラックスして楽しめるコメディという意味では満点。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
9.『アメリカから来たモーリス』
『アメリカから来たモーリス』これはもうラップ版『シング・ストリート』&『イエスタデイ』!!しかも本作は皆スタイルがよくてリア充なドイツ人の中に、アメリカから越して来た内気でぽっちゃりな13才黒人少年が完璧ヒロインへの恋とラップに孤軍奮闘だから、尚更愛おしさと親密さが凄い。大好き。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月20日
『アメリカから来たモーリス』お父さんとドイツに引っ越して来た、内気でぽっちゃりでラップ好きな13才黒人少年が、15才のリア充ドイツ人美少女に思いっきり一目惚れしちゃう話だけど、『シングストリート』しかり『ごめん』しかり、この年代の男子が年上の高嶺の花女子に全力で恋する物語は最高。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月20日
『アメリカから来たモーリス』内気な転校生で一人も友達ができないモーリスに、ただ一人いつも気に掛けて話しかけてくれる最高天使なのに、毎回ここぞというタイミングで堪らない踵の返し方を披露するヒロインの天然小悪魔ぶりは、かつて観たことがないレベルの優しさと罪深さだった。そりゃ惚れるわ。 pic.twitter.com/g0TzEJsjRc
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月22日
『アメリカから来たモーリス』「親は誰よりも夢を壊す」と書かれたポスターを部屋に飾る本作のヒロインや、その問題自体を中心テーマを従え、共感必至の事例を詰め込んだ『キングス・オブ・サマー』が上映される傍で、モーリスの父親はその言動の全てを永遠に憶えておきたいほど理想的な親像で痺れた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月22日
『アメリカから来たモーリス』妻を病気で亡くし、仕事のため異国に移りながらも、思春期のひとり息子とヒップホップという共通の趣味を通して明るい関係を保ちながらも、息子が無我夢中の恋に落ちた時に、ただ気のいい父というだけじゃない真摯で奥深い行動に心から震えたし、モーリスと一緒に泣けた。 pic.twitter.com/Ej3x6wU2H4
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月22日
10.『ベイビー・ドライバー』
『ベイビー・ドライバー』強烈に惹きつけられるシーンの無限連続で、完璧な観応えは予想以上。後半になるとカーチェイスをやめて車を使った殴り合いになってしまったのが唯一残念。最後まで熱いカーチェイスを観せてくれてたら、きっと我を忘れて沸き上がっていたと思う。カーチェイスはロマンチック。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月28日
『ベイビー・ドライバー』タフなロックに載せて車を走らすシーンよりも、ご機嫌なファンクやスウィートなソウルが舞い降りたシーンの洒落感やロマンチックに胸が踊った。今年断トツで1位のオープニングクレジットシーンに惚れたし、カーラ・トーマス「B-A-B-Y」の使い方には昇天不可避だった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月28日
『ベイビー・ドライバー』事前情報で『トゥルー・ロマンス』がよく彷彿作品に上げられているのを見ていて、確かに外形的には近いシーンもあるけど、フィーリングは全然違うなと思った。『トゥルー・ロマンス』はうっとり陶酔のロマンチックで、本作はカラッとしてて健全な恋心。私は前者の感触が好き。 https://t.co/7EgpYkfPrg
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月28日
『トゥルー・ロマンス』は暴力シーンさえ包み込んでしまう程に甘いロマンチックムードが強烈で、理屈を超えたハピネス感覚映画という印象だけど、『ベイビー・ドライバー』は実は底の部分ではしっかり正気を保っていて真面目だから、暴力シーンは本当の暴力で辛い気持ちになる。若くて純情で優等生的。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月28日
11.『ぱん。』
『ぱん。』短編映画のコメディとしてここまでやられると圧巻としかいいようのないほど、隙間なく驚きの面白展開と楽しさが詰まりに詰まってる。小さなパン屋で女子高生がバイトする話からまさか15分間でここまで世界をめちゃくちゃに素敵にしてしまうなんて。本当に魅力的な発想力の塊のような作品。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
『ぱん。』この作品にフライデイフライデーの音楽をチョイスするセンスも本当に素晴らしくて、オーケストラルポップの祝祭感が柔らかに広がるフライデイフライデーの歌が響き渡る地下室のシーンは、慎ましくも気高く美しい若者達と音楽の重なり合いがとんでもなく尊い空間を生み出していて心底痺れた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
『ぱん。』今日まで観たCDEプログラムの中では長短編合わせた中で一番好き。まるで大所帯インディポップバンドによる冒険劇のような熱い精神・高揚感と、矢継ぎ早に放たれる驚きの楽しさと可笑しさをぎゅうぎゅうに詰め込んだ愛らしいジャパニーズ青春コメディが見事に融合したような多幸感。絶品。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
『ぱん。』15分の魅せ方としては破れタイツと近くて、息もつかせぬ面白展開をハイテンポでひたすら繰り出し続け、楽しさと明るさの洪水で短編とは思えぬ時間感覚と多幸感に連れ出してくれる大良作。破れタイツが後半のMVまでの前哨戦色が強いのに対し、こちらは最後の最後までガチ映画。素晴らしい
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
12.『BEATOPIA』
Bプロは『左京区ガールズブラボー』→『BEATOPIA』の流れが、全編に渡りインディロックへの愛に満ちた前者から、後者のオープニングカットが渋谷タワレコの正面から始まり、店内→エスカレーター→視聴機の前、という切り替り部分の極上マッチング以上の対比が内容面で実現されていて興奮した
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
都会で一人暮らししてて何でも出来る自由はあるのに「何かした方がいいのかな?」と悩む大学生にはインディロックが輝く『左京区ガールズブラボー』と、地方の漁村で超本気でやりたいことがあるのに親の手伝いと跡継ぎで自由を得難い漁村の高校生にはヒップホップの必然性があった『BEATOPIA』
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
インディポップは覚悟が決まるまでの、決まる前の者の感情に寄り添う音楽で、ヒップホップは覚悟が決まった者に相応しい音楽。短く言うと乱暴な言い回しになってしまうけど、『BEATOPIA』と『左京区ガールズブラボー』は青春物語と音楽を重ねることで、それぞれの音楽の特性までを肯定的に示す
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
インディ・ポップ/ロックは覚悟が決まるまでの・決まる前の人間の感情に寄り添う音楽、というのはネガティブな意味じゃなくて、柔軟で、だから世の中で勝つことよりも素直な感情の方を選ぶ余裕や風情があって、故に迷える若者の心に甘美に響く音楽。『左京区ガールズブラボー』を観て、そう気付いた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
インディロックを「世の中で勝つことよりも素直な感情の方を選ぶ余裕や柔軟さ」に添う音楽と捉えるなら、生きている環境という必然性によって「自分らしく生きるには世の中に勝つしかない。余裕とか柔軟さとかここで通用する言葉じゃない」という精神の音楽を求む人もいて、それがヒップホップだと思う
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『BEATOPIA』凄く良いのが、ヒップホップをフィーチャーしたリアルな青春映画でありながら、「ザ・ヒップホップ的なライフスタイル」を象徴する人物や環境というのが一切存在しない自然豊かでのどかな漁村で、男子高生がラップに惹かれ将来を託す必然性を描ききった点。これこそがリアルだよ。 https://t.co/RjdvPIPF05
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『BEATOPIA』日本で本当にヒップホップという音楽の力・可能性に惹かれ、自らの揺れる未来を託しているのは誰なのか。日本で海外ほどラップが主流の音楽でないのは、先入観からその本質を見ていない人が多いからでは。小川紗良監督が鹿児島の和やかな漁村でナチュラルにその答えに迫った力作。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『BEATOPIA』監督自身を投影した人物と思われる女子大生の手持ちカメラが備う、漁村で暮らす様々な老若男女の誰もの生活も肯定的に映す思慮深く親密な眼差しからは、ドキュメント撮影という名目の裏側にある、人生の在り方や撮るべき映画のヒントを探る青春の真心が透けて見えて、そこが良い。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『BEATOPIA』監督が演じるドキュメント映像を撮りにきた女子大生は、取材カメラマンに徹していて殆ど自身のことは話さないけど、カメラの眼差しや現地の人々と交わす会話・声色の端に添え残こす繊細な印象が、間接的に綴られた女子大生(監督)の等身大の青春物語として最後に完成するのが凄い
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『BEATOPIA』のパンフレット付属サントラに収録されている、映画ではお蔵入りになった小川紗良監督自身がラップする楽曲「生まれる」が、映画を撮りに単身で田舎町まで来た女子大生(監督が演じる自身の投影)の、作品創りに寄せる生々しくシリアスな内省と情熱を吐露した本気のラップで驚く。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月24日
『BEATOPIA』真摯かつ赤裸々に監督が本作に寄せる本心を表明した、監督自身によるラップ楽曲「生まれる」をあえて映画では使わないという英断あってこそ、本作はこうした得難く素晴らしい感慨を引き寄せる作品になり、男子高生ラッパーズも監督の鏡としてではなく、独立した個性として輝いた。 https://t.co/X8psRQceXJ
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月24日
13.『エブリシング』
『エブリシング』古典的ムードの物語や映画を想像してたけど、モダンで爽やかに垢抜けた映像、数々のインディポップを使用した選曲センス、青春恋愛物語を心優しい眼差しで捉えた視線など、『きっと、星のせいじゃない。』や『ハッピーエンドが書けるまで』のジョシュ・ブーン作品を彷彿させる。好き。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『エブリシング』物語の設定からは悲痛でヒリヒリした恋物語を想像してたけど、良い意味で爽やかで良心的な優しさで貫かれた、より軽やかで甘さを増した『きっと、星のせいじゃない。』という印象。ジョシュ・ブーン監督作品や昨秋の『世界一キライなあなたに』を楽しめた人なら今作も満喫できるはず。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『エブリシング』、『きっと、星のせいじゃない』と同様にYA小説原作らしく、現代のナイーブティーンにとっての王子さま物語的な側面が特徴的で、彼氏が本当に優しくて理想的な男子像を貫く。誰でも惚れるでしょ。それを嫌味なく、洒脱で思慮深そうなムードの映像にしちゃうのがジョシュ・ブーン的。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『エブリシング』劇中で流れる音楽が、カリッド、フランシス・アンド・ザ・ライツ、マック・デマルコ、ザ・インターネット、スカイラー・ステッカー、アンダーソン・パーク、アラバマ・シェイクス、ゼッドとアレッシア・カーラのコラボ…で、最近観た映画の中で一番若々しく垢抜けてた。心地よかった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
私的14位から26位まではこちらを。
・2017年上半期の私的ベストシネマ
・2017年7月の私的ベストシネマ