MOOSIC LAB 2017 全18作品の私的感想まとめと私的ランキング
MOOSIC LAB 2017のエントリー作品、全18作品を観ることができたので、個人的によかった順番に並べて感想をまとめました。長編と短編の区別はしていません。
今年はとにかく『少女邂逅』、『聖なるもの』、『なっちゃんはまだ新宿』という、もはやムーラボという次元を超えに超えて、年間を通してもこれほどの感慨を抱ける映画体験はどれだけあるのだろうか、というレベルの(邦画に限れば、この3本は年間でも最上位級だと思う。)ずば抜けた3本を筆頭に、良作が多かった印象です。通うのが本当に楽しかった。
特に『少女邂逅』と『聖なるもの』に関しては、例えば2年前のムーラボで『いいにおいのする映画』や『劇場版 復讐のドミノマスク』を観たときの圧倒的な高揚感を思い出させる、宙に浮くような映画体験の幸福感に酔いしれました。きっと賞を獲るのでしょう。ムーラボはスルーしている映画ファンにも響く2作品であると確信します。
短編では『ぱん』が個人的には最高で、次点の『左京区ガールズブラボー』も大好きな長編に出会ったときのような満足感と幸福感でいっぱいになりました、15分でこんなに充足感を得られるなんて。
というわけで、以下、ムーラボ2017の私的ベスト1位から感想をまとめました。
1.『少女邂逅』 (Fプログラム 長編)
『少女邂逅』ムーラボの範疇に収まりようのない、2017年の青春映画の金字塔。ここまでキャラクターの心理に親密かつ真摯に添い遂げることのできる長編がどれだけあるのだろうか、という頭抜けたレベルの描写力に飲み込まれた。すべてのシーンに観客を引き込む理想的な緊張感がたぎっている。破格。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
『少女邂逅』物語の設定やあらすじからは、邦画のシリアス寄りの青春映画にありがちな題材の更新に見えるけど、そういう次元で観せる映画ではない。私的には『キャロル』への邦画からの回答と呼べる到達度。あの作品でテレーズとキャロルに注がれていた真に親密な眼差しが、本作からも絶えず見出せる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
『少女邂逅』現代の日本を舞台にしたの青春物語においても『キャロル』という映画表現に見た幾多の精神と人物描写は活かされることを証明した、偉大な映画。テレーズとキャロルが必要とし合ったことと、ミユリと紬が必要とし合ったこと。女性に課せられる戦いと、人と人の繋がりの意義は時を超えて不変
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
『少女邂逅』「虫には痛覚がないの、何故だと思う?寿命が短くてすぐ死んじゃうから痛みを感じる意味がないんだよ」とか「蚕を一匹一匹狭い部屋に区切るのは、近すぎる場所で壁がないと互いが吐き出す生糸で絡まり合ってダメになってしまうからだよ」とか、ミユリが大切な人達から貰う言葉が刺さった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
『少女邂逅』作品のテーマを委ねる存在として、随所で蚕がフィーチャーされてたのが私的に嬉しかった。去年、パジャマシャツを使った着こなしにハマったのに端を発して、シルク製ジャケットまで手を出すようになり、あげく蚕について調べるまでになったら昆虫嫌いが若干克服されてきた最近だったので。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
『少女邂逅』いじめられっ子で化粧気のなかったミユリが、紬にメイクを手ほどきされて明るい表情になっていく描写が凄くよい。友達にリップを塗られたミユリを、紬がカーテンの中に連れ行って「君にはこっちの方が似合うよ」と違う色で塗り直してあげるシーンとポニーテールになったミユリに打たれた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
『少女邂逅』発する言葉は少ないけれど、紬との出会いによって計り知れない内面の揺れと変化を経験したミユリを、体当たりな演技とそれ以上に圧巻なあまりに繊細で複雑な内面描写を体現しきって、それを本作の魅力そのものまでに昇華した保紫萌香は、ムーラボ限りの最優秀女優賞どころではないレベル。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
『少女邂逅』一見誰より不安げに映るミユリ以上に、実は複雑な内面と背景を抱え、それをミユリにさえ殆ど見せない紬。本作のストーリーテラーがミユリから、本作の奥深い核心は紬にある。そんな深刻に見せてはいけない深刻さを抱える難しい役を、生き生きと体現したモトーラ世理奈も本当に素晴らしい。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
2.『聖なるもの』 (Gプログラム 長編)
『少女邂逅』を観た時、あまりの超ド級さにまだ全作観てないのに、きっとこれがグランプリか観客賞だし、最優秀女優賞も待った無しで、さらに劇場公開も不可避のクオリティだと昇天の心地だった。なのに直後の『聖なるもの』が全く負けてない、むしろ最高で、この2つが賞を分け合うことになるのでは。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『聖なるもの』私的に年ベス級。映画としてのスタイルは監督の前作『花に嵐』を完全に踏襲していて、物語の設定も前作へのオマージュか続編風に要所要所で韻を踏む。だけど、その内容のいかに洗練を遂げていることか!娯楽作として駆け抜けることに一切の迷いがなく最高にポップ。そして完璧な観応え。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『聖なるもの』前作『花に嵐』と同じ撮影スタイルを踏襲しているけど、フェイクドキュメントというジャンルの特殊性を強調したことで物語の演出が不安定な印象だった前作に対し、今回は序盤から完全フェイクだろうが面白ければ問題なしという思いきりの良さがあって、爽快な程ひたすら面白く観通せた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『聖なるもの』撮影スタイルや物語設定は『花に嵐』と共通するけど、監督自身が幸薄感を拗らせてた前作とは対照的に、今作は南美櫻と小川紗良という2大ヒロインに囲まれるばかりか同居までして、さらにそこに降りかかるのがボンジュール鈴木による激甘官能ゴスロリポップのシャワーだから多幸感が凄い
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『聖なるもの』前作よりも遥かに娯楽度を上げ、物語の面でも笑い所の面でも面白さを格段に高めながらも「映画づくりとは何なのか?」という前作から継承するテーマについては、シリアスムードだった前作以上に深い次元で探求がされていて、タイトルワード出現以降の展開には遥か彼方へぶっ飛ばされた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『聖なるもの』男性の岩切監督にとっての、女の子という存在と映画という存在の関係性を自身で解き明かそうとした作品であるように見えた。それを下心や助平心ではなく“聖なるもの”と呼べるだけの、映像による捉え方が本作には詰まっていると思えたし、人間とは何かの追求さえ同時に実現されている。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『聖なるもの』南美櫻と小川紗良がそれぞれ演じるキャラが監督にとって対照的なやりとりで繋がる人物であることが、映画づくりの本質探求のヒントを女性との関係性に見出そうとする後半に効いてきて痺れた。まさか2人とも自分から離れてしまった時、人間を止めキングコングになってしまうのが印象的。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
F・Gの組み合わせは『好きだから死んでください、お願い。』→『少女邂逅』→『デゾレ』と来て、作品内容からもキャストの異様な美女だらけ度からも、驚くほど完璧にガールズムービーDayだったけど、流石に岩切監督はそうはならないだろうと読んでたら『聖なるもの』まで真摯にそこに並びきった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『聖なるもの』自分の独りよがりな希望を厳しく打ち砕くものとして、映画づくりもドキュメントも2人のヒロインも出てきて、その度に挫折感を味わうけど、結局は自分の独りよがりな希望を打ち砕くものにこそ真の希望を、人間として生きていく気概を見出せることに気付くような終盤の展開がとても好き。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『聖なるもの』でこの曲が降臨した瞬間の幸福が忘れられず、先週発売されたボンジュール鈴木のベスト盤を手に取る。ここまで甘美なときめきと官能を極めたハイパーロリータポップは未踏の域。致死量の甘さで放たれる「baby × 3」に我を忘れ恍惚https://t.co/709kNrl1pS
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
1位、2位つけましたが、この2作のスバ抜けた良さは本当に均衡でした。『聖なるもの』も最大級の好きさです。ただ、『聖なるもの』は岩切監督王道スタイルの踏襲の上にあるということで、今後さらにこの上をいく作品が期待できることと、『少女邂逅』のあまりにパーフェクトなムードづくりは今年のムーラボにおける最も美しくかけがけのない特別な時間だったと感じているので、『少女邂逅』をトップにしました。
3.『なっちゃんはまだ新宿』 (Aプログラム 長編)
『なっちゃんはまだ新宿』めっっっちゃくちゃよかった!!!今年のムーラボはホントにヤバイなと思った。『少女邂逅』や『聖なるもの』のようなザ・傑作感とはまた違った質感だけど - もっと柔らかく人懐こくて、それ故の不器用さも見える -心から好きにならずにいられない、オンリーワンの映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『なっちゃんはまだ新宿』脅威の2部構成。前半だけでもうお腹いっぱいになるくらい最高で、というかそこで終わると疑ってなかったので、今年最高の映画を観てしまった、という至福の心地に酔っていた。でもまさか、そこから10年後の物語が再開するとは。どエライ映画。半端ないし、容赦ない。凄い。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『なっちゃんはまだ新宿』世界一可愛い映画だと思った。そう思える瞬間しか存在しなかった。私的に、可愛い、とはベースに切なさがあるのが前提で、その上でなお尊い在り方だと感じられることの意で、目の前で起こる全てがあまりに可愛いかった。でも、そんな“可愛さ”の10年後が試されてたなんて!
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『なっちゃんはまだ新宿』片思い中の彼の恋人を想像しすぎて、空想の中で仲良しの友達として毎日を一緒に過ごすようになる。というとクレイジーに聞こえるけど、本作が凄いのは、クレイジーなんて感じる余地もないほど、可愛すぎて、微笑ましすぎて、そのいじらしさを享受するしか成す術がないこと。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『なっちゃんはまだ新宿』一番驚いたのが、これだけの健気な可愛さと優しい愛しさが詰まった本作が、監督が4年間恨み続けためちゃくちゃムカつく女をモチーフに創られていたことと、脚本を読んでその真意を見抜けたと出演者が話していたことで、だとしたら、なお驚異の、放っておけない映画だと思う。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『なっちゃんはまだ新宿』片思い中の彼の恋人や、彼氏の元カノに対する声は、世の中断然ネガティブなものが多いけど、本作では主人公の若さや優しくまっすぐな性格から、こんな大好きな彼の恋人なんだから、きっとこんな風に素敵な女の子に違いない、という絶えぬ空想が彼女の心に“アイドル”を育む。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『なっちゃんはまだ新宿』片思い中の彼の恋人に対して、直接話したこともなく知らないことばかりだけど、数少ない断片的な情報から空想を広げ、毎日想うことで、心の中のかけがえのない友達になる。本作はアイドルについての映画ではないけど、アイドル=偶像に想いを寄せるとは何なのかを真摯に示す。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『なっちゃんはまだ新宿』作品の内側に迫ろうとすると、深くて複雑な人間や人間関係についての本当に奥深い視点と示唆に満ちた映画なのに、それを表面上では発見される隙を与えないほど、柔らかな可愛らしさやキュンとする愛しさ、優しさで埋め尽くしてるのが凄い。見せつけるものをわきまえ過ぎてる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『なっちゃんはまだ新宿』10年後の28歳編をどう解釈するかが観る人によって本当に十人十色になるだろうし、安定の幸福映画体験(18歳編)の上にそれだけ無数に思いを巡らせる深みと想像の余地を備えた本作なので、ムーラボ上映だけでは済まないと思う。多くの人に観られてこそ完成する映画、感。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『なっちゃんはまだ新宿』池田夏海演じる主人公の秋乃も、菅本裕子演じるなっちゃんも、それぞれ一本の映画に一人いてくれれば大感謝級の最高可愛さ&優しさのキャラクターで、その上で可愛さの種類が異なる2人が一緒に「花より男子」読みながらタイプのキャラを当て合うシーンとかあって脳が溶けた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
今年のムーラボ、『少女邂逅』とか『なっちゃんはまだ新宿』とか『左京区ガールズブラボー』とか『デゾレ』とか『聖なるもの』とか、ひとりでも圧倒的に魅力的な女の子のキャラクターがふたりで仲良く遊んだり、メイクし合ったり、相手の唇に目を奪われたりする映画が多くて、本当に最高だったです。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『なっちゃんはまだ新宿』もね、正直なフィーリングを書くと、後半のライブ演奏パートがもっと短かったとしたら、はっきりいって1位だったように思います。前半の18歳パートが終わった時点では、『少女邂逅』や『聖なるもの』をも超えて惹かれきりました。後半の28歳パートの物語も充分観応えがあり良いのですが、ライブシーンが長すぎて、そこでそれまでパーフェクトだった観てる側の緊張感が途切れてしまう。バンドも歌も良いですが、後半になって極端に長くなるバンド演奏シーンをもう少し2人のドラマを邪魔しないような長さにしていてくれたら…と思うと惜しいですが、ホントにそれ以外は完璧なほど良くて、今回のムーラボエントリー作品の中でも図抜けた映画体験でした。もっとも語りたいことが多いのはこの映画です。
4.『ぱん。』 (Dプログラム 短編)
『ぱん。』15分の魅せ方としては破れタイツと近くて、息もつかせぬ面白展開をハイテンポでひたすら繰り出し続け、楽しさと明るさの洪水で短編とは思えぬ時間感覚と多幸感に連れ出してくれる大良作。破れタイツが後半のMVまでの前哨戦色が強いのに対し、こちらは最後の最後までガチ映画。素晴らしい
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
『ぱん。』短編映画のコメディとしてここまでやられると圧巻としかいいようのないほど、隙間なく驚きの面白展開と楽しさが詰まりに詰まってる。小さなパン屋で女子高生がバイトする話からまさか15分間でここまで世界をめちゃくちゃに素敵にしてしまうなんて。本当に魅力的な発想力の塊のような作品。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
『ぱん。』この作品にフライデイフライデーの音楽をチョイスするセンスも本当に素晴らしくて、オーケストラルポップの祝祭感が柔らかに広がるフライデイフライデーの歌が響き渡る地下室のシーンは、慎ましくも気高く美しい若者達と音楽の重なり合いがとんでもなく尊い空間を生み出していて心底痺れた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
『ぱん。』今日まで観たCDEプログラムの中では長短編合わせた中で一番好き。まるで大所帯インディポップバンドによる冒険劇のような熱い精神・高揚感と、矢継ぎ早に放たれる驚きの楽しさと可笑しさをぎゅうぎゅうに詰め込んだ愛らしいジャパニーズ青春コメディが見事に融合したような多幸感。絶品。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
5.『BEATOPIA』 (Bプログラム 長編)
Bプロは『左京区ガールズブラボー』→『BEATOPIA』の流れが、全編に渡りインディロックへの愛に満ちた前者から、後者のオープニングカットが渋谷タワレコの正面から始まり、店内→エスカレーター→視聴機の前、という切り替り部分の極上マッチング以上の対比が内容面で実現されていて興奮した
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
都会で一人暮らししてて何でも出来る自由はあるのに「何かした方がいいのかな?」と悩む大学生にはインディロックが輝く『左京区ガールズブラボー』と、地方の漁村で超本気でやりたいことがあるのに親の手伝いと跡継ぎで自由を得難い漁村の高校生にはヒップホップの必然性があった『BEATOPIA』
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
インディポップは覚悟が決まるまでの、決まる前の者の感情に寄り添う音楽で、ヒップホップは覚悟が決まった者に相応しい音楽。短く言うと乱暴な言い回しになってしまうけど、『BEATOPIA』と『左京区ガールズブラボー』は青春物語と音楽を重ねることで、それぞれの音楽の特性までを肯定的に示す
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
インディ・ポップ/ロックは覚悟が決まるまでの・決まる前の人間の感情に寄り添う音楽、というのはネガティブな意味じゃなくて、柔軟で、だから世の中で勝つことよりも素直な感情の方を選ぶ余裕や風情があって、故に迷える若者の心に甘美に響く音楽。『左京区ガールズブラボー』を観て、そう気付いた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
インディロックを「世の中で勝つことよりも素直な感情の方を選ぶ余裕や柔軟さ」に添う音楽と捉えるなら、生きている環境という必然性によって「自分らしく生きるには世の中に勝つしかない。余裕とか柔軟さとかここで通用する言葉じゃない」という精神の音楽を求む人もいて、それがヒップホップだと思う
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『BEATOPIA』凄く良いのが、ヒップホップをフィーチャーしたリアルな青春映画でありながら、「ザ・ヒップホップ的なライフスタイル」を象徴する人物や環境というのが一切存在しない自然豊かでのどかな漁村で、男子高生がラップに惹かれ将来を託す必然性を描ききった点。これこそがリアルだよ。 https://t.co/RjdvPIPF05
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『BEATOPIA』日本で本当にヒップホップという音楽の力・可能性に惹かれ、自らの揺れる未来を託しているのは誰なのか。日本で海外ほどラップが主流の音楽でないのは、先入観からその本質を見ていない人が多いからでは。小川紗良監督が鹿児島の和やかな漁村でナチュラルにその答えに迫った力作。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『BEATOPIA』監督自身を投影した人物と思われる女子大生の手持ちカメラが備う、漁村で暮らす様々な老若男女の誰もの生活も肯定的に映す思慮深く親密な眼差しからは、ドキュメント撮影という名目の裏側にある、人生の在り方や撮るべき映画のヒントを探る青春の真心が透けて見えて、そこが良い。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『BEATOPIA』監督が演じるドキュメント映像を撮りにきた女子大生は、取材カメラマンに徹していて殆ど自身のことは話さないけど、カメラの眼差しや現地の人々と交わす会話・声色の端に添え残こす繊細な印象が、間接的に綴られた女子大生(監督)の等身大の青春物語として最後に完成するのが凄い
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『BEATOPIA』のパンフレット付属サントラに収録されている、映画ではお蔵入りになった小川紗良監督自身がラップする楽曲「生まれる」が、映画を撮りに単身で田舎町まで来た女子大生(監督が演じる自身の投影)の、作品創りに寄せる生々しくシリアスな内省と情熱を吐露した本気のラップで驚く。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月24日
『BEATOPIA』真摯かつ赤裸々に監督が本作に寄せる本心を表明した、監督自身によるラップ楽曲「生まれる」をあえて映画では使わないという英断あってこそ、本作はこうした得難く素晴らしい感慨を引き寄せる作品になり、男子高生ラッパーズも監督の鏡としてではなく、独立した個性として輝いた。 https://t.co/X8psRQceXJ
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月24日
6.『左京区ガールズブラボー』 (Bプログラム 短編)
『左京区ガールズブラボー』これはもうインディロック、インディポップ愛好家(兼、ミニシアター系胸キュン青春洋画愛好家なら尚更)には問答無用で堪らなすぎる。もうこんなの大降参ですわ。めっっっっちゃ好き!Homecomingsの音楽もこれでもかと魅力的に映えていて、冷静に観ることムリ!
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『左京区ガールズブラボー』仲良し文化系女子大生2人の暮らしと成長を描くのだけど、着こなしはヴァンパイア・ウィークエンドのフローラルスウェットに、ストロークスのロゴT、部屋に飾ってあるのはジャパニーズ・ブレックファスト1st、ヤック1st、ジェイミーxxのアナログ盤とか反則でしょ!
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『左京区ガールズブラボー』もう一人の子の部屋に貼ってあるポスターが、ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール、グッバイ、サマー、シンプル・シモン等で、執念とも呼べるほどの小物への徹底ぶりが凄かった。レッティング・アップ・ディスパイト・グレイト・フォールツのデカいロゴが部屋の壁に貼ってあったり。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『左京区ガールズブラボー』主人公の女子大生2人が愛聴しているプレイリストが幾らなんでも最高 of 最高。ユミゾウマ→ヴェロニカフォールズ→トップスの神流れにホイットニーにxxにキュアーとか、要は私の大好きな音楽が網羅されきってしまってる。そしてまさに本作は紛れもなくそういう映画! https://t.co/1rNYWg4eG7
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
7.『Groovy』 (Cプログラム 長編)
『Groovy』人間の自殺願望を食い止める為の音楽を研究し創り出そうとしている今泉力哉演じる音楽研究家のぶっとんだ試みを、ニコニコ動画配信者による騙し取材のカメラを通して描くフェイクドキュメンタリータッチの作品で、アバンギャルドな斬新性を終始携えながらも最後まで面白く観せる映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
『Groovy』自殺願望の抑制に作用する音楽創りについての映画であることは説明文を読んで分かっていたけど、それがメロディーやリズムといった発想し易いものではなくて、グルーヴに的を絞って眼差しが向けらていたことが、この映画に深みと斬新さと実験性の加味を同時にもたらしていて良かった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
『Groovy』グルーヴという概念について、音符と音符の間隔のズレのこと、という根本から実例を用いながら丁寧に解説しているそばから、突拍子もないぶっとびネタをぶち込んで笑わせるという、ドキュメンタリータッチとしての説得力と、フェイクとしてブラックジョーク描写のバランスが大変絶妙。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
『Groovy』今泉力哉演じる音楽研究家が、人間を救う音楽の創り方が遂に分かったと告げると、全裸の女性にローションを派手に塗りたくりながら、奏者の脈拍と楽器に見立てた女性が得るエクスタシータイミングによってグルーヴを生み出すとか言い出した時には本作の予想外の奥深さに笑うしかなく。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
『Groovy』ニコ動の配信者が受けネタ狙いで、頭がイッちゃってる音楽研究家周辺を騙し取材して収録したフェイクドキュメンタリー映像があって、それをさらに外側から映し出した本作はフェイクドキュメンタリーのフェイクドキュメンタリーというどエライ構造と緻密な仕掛けを随所に仕込んだ力作。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
8.『破れタイツのビリビリラップ』 (Cプログラム 短編)
『破れタイツのビリビリラップ』2年前のムーラボではベッド・インの撮影に振り回されてた彼女達が、今回はPV撮影から逃げ出す売り出し中のアイドルに振り回されカーチェイスと化す中で、ラップ好きタクシー運転手に感化され自らがラッパーになるまでを相変わらず一点の曇りもない完璧楽しさで描く。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
『破れタイツのビリビリラップ』2年前の『101回目のベッド・イン』出品時に同じ回で併映されてた『ライブハウス レクイエム』で作品の核となる拗らせラッパーを演じていたマチーデフが、今回は破れタイツの作品でメインキャラとして共演し、彼女達の明るく楽しい映画に入り込んでる絵に高まった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
『破れタイツのビリビリラップ』もはやどこまでがラップで、どこからが普通の会話なのか判別不能なほど(関西弁による早口やりとりのほぼラップ感は異常w)全編が軽快にして強烈な言葉の応酬もとい女同士の笑える罵り合いの高速回転で、15分という時間感覚が完全麻痺するほど面白さに飲み込まれた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
『破れタイツのビリビリラップ』併映作品の『Groovy』では主演を務めている今泉力哉監督が、今作では売り出し中アイドルの追っかけをしている限界オタク兼カメコ役で登場していて(他のキャストも殆どが映画監督)、『Groovy』共々俳優に徹する今泉力哉を続けて観られる貴重なプログラム。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
9.『デゾレ』 (Gプログラム 短編)
『デゾレ』草原のロッジで音楽や絵画を創りながら共同生活を営む、3人のナチュかわ白ワンピ女子たちによる三角関係の行方を情緒豊かに描く。目に甘い百合感と真摯な失恋描写のバランスが絶妙。「伝えることが防御ならば、あなたから聞かされるばかりの私は何で自分を守ればいいの」という歌詞が刺さる
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
『デゾレ』絵的にはピュアで可愛らしい本物の森ガールたちによる透明感と愛しさに溢れた胸キュンテイストなのに、そんな佇まいを100%キープしたまま繰り広げられるのが、三角関係を成す痛烈な恋情のすれ違いで、それぞれ三者三様の声と言葉と仕草で正直な内面を吐露し合う姿が、切なくも凛々しい。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
10.『GREAT ROMANCE Ⅱ』 (Hプログラム 短編)
『GREAT ROMANCE II』想像以上に素晴らしく、目を見張る驚き。「人間と人形が織りなすロマンス」という紹介文からは怪しさを浮かべたが、とんでもない。超王道の恋愛映画だった。2人の出会いから別れまでを走馬灯で駆け抜ける純愛の5分間。“人形故の説得力”の域にさえ達した発明。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月22日
11.『KILLER TUNE RADIO』 (Eプログラム 長編)
『KILLER TUNE RADIO』弱小ラジオ局で働く若手スタッフ2人が、看板番組のテーマである「最高のキラーチューンとはどんな曲か?」を探しながら奇妙な人々と遭遇するデートを重ねることで、やがてそれが音楽論を超えて青春・人生の命題に辿り着くまでを果敢で斬新な演出によって描く。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『KILLER TUNE RADIO』シャープなビートをDJのように操る音楽の垢抜け感と、ムーラボでこんなの観れちゃうのかと驚く最高にクールなオープニング映像は圧巻。中盤で主人公ゆかりが落胆を振り払うように夜の街をぐるぐる踊りながら走り抜けていくシーンは洗練の極みで惚れ惚れした。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『KILLER TUNE RADIO』素直な性格と明るい声が可愛い主人公ゆかりと好青年DJ小山の会話は毎回とても素敵で優しい気持ちになるし、もう一組の主人公である地方の仲良し女子高生2人のやりとりも素朴な中に繊細な心理が見えて良いのに、随所に出る奇をてらったキャラ達が非常に残念。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
『KILLER TUNE RADIO』演出面では先進のセンスを披露する一方、物語に登場するのは弱小ラジオ局、爪を折ったマイベストカセット、CDショップ巡り、ラジカセ、レコ屋…と旧時代的なアイテムが揃っていて、あえてそうすることでメディアと記録(記憶)そのものの関係性を問い掛ける。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月15日
12.『好きだから死んでください、お願い。』 (Fプログラム 短編)
『好きだから死んでください、お願い。』これはもう内容もタイトル並みの超・潔さがあって、私は好き、なぜなら美男と美女が好き合う絵はそれだけで夢があると思えるタイプだから 笑。そこで好みが分かれるのでは。それくらい、ストーリーは単純だし、明らかな美女と明らかな美男。ご馳走さまでした。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
『好きだから死んでください、お願い』一番シンプルな、独りよがり系少女漫画的ストーリー。好きなあなたを目にするとそれだけで気絶しちゃうから、申し訳ないけど好きだから死んでください、お願い。この単純さがイイじゃん!と言えるのは結局、主人公の女の子が美人で可愛いから、だろうなー自分…。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月16日
13.『意味なし人生ちゃん、宇宙へ』 (Aプログラム 短編)
『意味なし人生ちゃん、宇宙へ』大事な人との別れや失くした人を思い出すことの切なさが、様々な姿や言葉にかたちを変えて全編を通して描かれている。と書くとありきたりだけど、主題はそんな極中の極個人的な感情でさえ、人は誰かに訴えたい生き物であることの難しさで、独自性が凝らされた短編作品。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
『意味なし人生ちゃん、宇宙へ』大事な人を失くす切なさや悲しみ、というのは意外と独りよがりでも許されてる印象、映画でも、現実でも。でもそれをもっと成熟した角度から捉え直そうとする視線が印象的。「忘れてないけど思い出さないように努力してる人もいるんだよ。」というお姉さんの言葉が好き。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
14.『中の人』 (Eプログラム 短編)
『中の人』題材や展開に新鮮さはないけれど、短編に沿うテンポ感とメリハリの効いた編集は活きていた。だけど最後のいかにも用意しました風な優等生的モノローグが作品に対する印象を全て残念なものに変えてしまう。ここまで派手に展開し続けてきたものを教科書的で形式的な言葉でまとめるなんて冷める
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
15.『処女について』 (Bプログラム 短編)
『処女について』まるでコラージュのようにタイプやムードの異なるカットを繋げて物語のイメージを方向づけていく実験性の高い作品。音楽を楽曲という定義に限定せず、生活音や話し声にも音楽の持つ“記憶”という本質を見出せるため、それらをサンプリングしてサントラを創ったという発想が果敢で良い
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月17日
16.『アイムクレイジー』 (Hプログラム 長編)
『アイムクレイジー』ロックミュージシャンの主人公の独りよがりに尖った性格がかなり痛々しくて序盤はキツかったけど、彼とは対照的な性格の、曽我部恵一演じるカフェの店長とヒロインが加わると一気に映画の世界観が立体的になり、驚くほどだった。まるで群像劇みたく一人一人の視点に意識的な映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月22日
『アイムクレイジー』ミュージシャンを引退する日を迎えた主人公が24時間の内に体験する物語、という時間軸あってこそ最後まで見届けようという気持ちになれた。各キャラの性格付けはかなり明確に表現されているけれど、ステレオタイプな言動も多く、押しの強さでくぐり抜けているシーンが多い印象。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月22日
17.『ねえこの凹にハマる音をちょうだい』 (Dプログラム 長編)
『ねえこの凹にハマる音をちょうだい』正直これを長編の尺で観るのはだいぶキツかった。内容に対してカッコつけすぎのタイトルも思わせぶり的でマイナスの印象。主演の伊藤修子の創り込みは素晴らしくて出だしは期待できそうだったけど、進めば進むほど心が離れていった。後半は一番嫌いなタイプ来た。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月14日
18.『; the eternal /spring』 (Hプログラム 短編)
『; the eternal /spring』Mステ・武道館・印税・ロッキンへの執着がポリシーで、J-RAPをバンドで再現したい衝動に駆られ、何より顔の可愛さが絶対条件の女子バンド映画、と一見『アイムクレージー』と正反対の音楽家像を追ってると見せて、実は共鳴する魂が鳴ってる併映。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月24日
『; the eternal /spring』若く尖った音楽家が競争社会へ投げ込むパフォーマンスが、たゆまず挑発的で独りよがりであることは魅力になる。でも、いくらそんなバンドを追ったフェイクドキュメントとはいえ、映画自体まで絶えずドヤ顔感でそこに完全同化しているのは軽薄でキツイ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月24日
以上、相対的な並べ方をしましたので、どうしても個人的な好みで上位下位が出てしまっていますが、普段は自分から観ないタイプの作品も沢山観られて、全部の上映が楽しかったです。ありがとうございます。
来年の開催も楽しみにしています。
・2017年上半期の私的ベストシネマ