2017年6月の私的シネマランキング
私が6月に映画館で鑑賞した新作映画について、個人的によかった順番に並べて感想をまとめました。
とはいえ6月に観た新作の中からTwitterで感想を書いてあった作品は14本という結果に…。
ここにないものだと『22年目の告白』(前半は正直“はい、はい”って感じだったんですが、後半はまさかのサスペンス、ミステリとしての本領発揮といえるググッと飲み込まれる展開になだれ込み、観応え全開、観てよかった!)、
『オリーブの樹は呼んでいる』(少し予想と違った。思った以上にシリアス。)、
『日々と雲行き』(正確には新作ではないですが、個人的には「Viva!イタリア」シリーズの括りでこの内容を上映するとは、かなり衝撃だなーと感じたシリアスさでした。生活感に溢れた、リアルなシリアスさなのでヘンな重苦しさはなかったけど、例えば併映の『Viva!公務員』の呑気さとは対照的な容赦ないヒューマン(夫婦)映画です。)
等々、今月も色々と観たのですが、その都度あまり感想を残せず…。
後からこっそり追加できたらしておきたいです。
というわけで6月の感想録は半数ほどがフランス映画祭上映作品になってしまいましたが、その中でもとりわけ素晴らしかったのがアンヌ・フォンテーヌ監督の新作『夜明けの祈り』。アンヌ・フォンテーヌ監督は前作の『ボヴァリー夫人とパン屋』が個人的にめちゃくちゃ大好きで、2015年に観た映画の中でも数々の力作を抑え私的年間1位に選んでいたほどでした。
とはいえ今回の新作はジャンルがまったく違うということで贔屓目も皆無で鑑賞しましたが、それでも最高でしたのでこの監督は素晴らしいな!と心底思い直しました。
そしてヒロインを演じたルー・ドゥ・ラージュの圧倒的魅力に感服。いま1番好きな女優のひとりになりました。素敵すぎた!
というわけで、以下6月に観た新作の私的ベスト1位からです。
1.『20センチュリー・ウーマン』
『20センチュリー・ウーマン』今年の新作映画の中でも私的ナンバー1を更新する最高の映画だった。映画の中の物語を超えて、ここまで自分自身の在り方や振る舞い方を反省し、驚くほど心理的なリセットがもたらされた体験は、あまりに意義深くて大感謝。一生を通して出会えてよかったバイブル的一本。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月4日
『20センチュリー・ウーマン』脚本が本当に素晴らしくて覚えておきたい台詞だらけだった。「男は問題が起きた時に、解決することに躍起になるか何もしないかで、解決できなかった時に寄り添って隣に居るってことが出来ない」等々、都合の悪さから見えない振りしてた切り口ばかりでぐうの音もでない。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月4日
『20センチュリー・ウーマン』主人公の少年が15歳という設定がとても活きてると思った。相手が15歳だからこそ、周りの3人の女性たちは本心から男性に知っておいて欲しいことをフラットに話せるのでは。“見せかけの男”止まりにならない、“本物の男”に成るための心に刺さるアドバイスの数々。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月4日
『20センチュリー・ウーマン』まだ家庭と地元と同時代が自らの世界の全てである少年が、その場で“自己”と“世界”を獲得していく過程において、女性との対話によって女性のことを知ることがどれほど意義深く尊いものであるか、という鋭利な思慮深さをこれほどナチュナルに描けている点が凄く良い。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月4日
『20センチュリー・ウーマン』トーキングヘッズとブラックフラッグのファンは犬猿の仲だったというエピソードが事件になって登場したり、物語の舞台である1979年当時のニューウェーブ旋風が全編でフィーチャーされていて、NWナンバーが10曲近く挿入される。NWの精神は物語とも深くリンク。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月4日
『20センチュリー・ウーマン』マイク・ミルズ監督がジュリーを演じるエル・ファニングに役作りのため読ませた本で、作中でも彼女の愛読者として引用される『愛と心理療法』を読了。想像を遥かに超える人間心理の圧倒的な掘り下げ方に唸りっぱなし。 pic.twitter.com/NabKp6dPS1
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月26日
『20センチュリー・ウーマン』に出会った後で『春のソナタ』を観られたことが大きかった。親子と同居人と恋人を成す、3人の女性と1人の男性が一つ屋根の下で交差する、という類似点を上げるまでもなく(それは少し強引だし)、もっと本質的な部分における実り多いリンクから大切な気付きがあった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月17日
人は誰かに自分を理解してもらえた時が一番幸せなのかも。男女限らず好意を寄せている人であれば尚更に。自分のことを分かっていて欲しい人に自分のことを分かってもらえている、という実感をもっと大切に扱っていきたい。『春のソナタ』や『20センチュリー・ウーマン』を観てそんな思いを強くした。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月17日
2.『夜明けの祈り』
『夜明けの祈り』大傑作!!アンヌ・フォンテーヌ監督の前作『ボヴァリー夫人とパン屋』とは全くテイストが異なるけど、個人的年ベス級の圧巻ぶりは不変。というかそれ以上。そして本作でのルー・ドゥ・ラージュは私の映画体験史上、最高のヒロイン。 pic.twitter.com/mLGT584Sli
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月24日
『夜明けの祈り』アンヌ・フォンテーヌといえば前作『ボヴァリー夫人とパン屋』で内気系エロティシズムとロマンを軽妙なユーモアで極シックに描き出した手腕に激惚れしたので、新作はシリアス路線と聞き正直惜しいと思った。だけど完全に杞憂すぎたどころか、前作を凌駕して果てなく心に響きまくった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月24日
『夜明けの祈り』とにかくヒロインを演じるルー・ドゥ・ラージュのひと時も目を離せなくなる表情、眼差し、佇まいに宿るものの、圧倒的尊さときたら!凛々しさ、美しさ、格好よさ、切なさ、優しさの最高純度の在り方に絶えず打たれ続けた。そしてオフの場面で見せる素の可愛さとのギャップがまた最高!
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月24日
『夜明けの祈り』が8/5の劇場公開を迎えたら、ルー・ドゥ・ラージュに魅了される人がさらに爆誕することは確実で、去年アンスティチュで観た6年前のヒロイン作『女の子が好き』でも魅力的すぎたし『呼吸 友情と破壊』共々再上映して欲しすぎる。 https://t.co/F3JaAp3R8K
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月24日
『夜明けの祈り』戦時中に軍隊から集団暴行を受けてしまったポーランドの修道女たちが抱える、集団妊娠という誰にも明かせずにいる壮絶な苦悩に対して、フランス赤十字のポーランド支所に勤めていた若き女医がたった一人で向き合い、沢山の命を救っていく。その気高い心と行動の尊さにひれ伏すばかり。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月25日
『夜明けの祈り』チラシや紹介文を見ると、シリアス一辺倒な堅物映画に取られてしまうかもしれないけど、そこはアンヌ・フォンテーヌ監督にルー・ドゥ・ラージュにヴァンサン・マケーニュであり、実に理想的な緩急のバランスで物語の中に完全に惹き込まれる。基本ラブコメ専門の私でも完全に楽しめた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月25日
『夜明けの祈り』自分の快楽に直接結び付かないこと、自分に都合の悪いこととは無関係な素振りをしても、特に居心地悪くなく暮らせる今かもしれない。それでも、凛々しくあること、気高くあることの尊さを感じる心ははっきりあって、そんな感情を見出すことから人は変わる。それを実現する本作は偉大。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月25日
3.『ありがとう、トニ・エルドマン』
『ありがとう、トニ・エルドマン』160分の長さも、すっきり澄んだ時間の流れに疲れるどころか幾度も笑いながら癒される心地だったし、父の行動にイラつきながら観ることになりそうという予告編での予感もほぼ杞憂だったし、何といってもクライマックスが奇跡的に最高すぎて時を忘れてブチ上がった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月25日
『ありがとう、トニ・エルドマン』自分にとって一番心地よい穏やかさの空気感で統一された作品で、それでいて直感で思いきり笑えるカットが沢山あって、あぁ愛すべき映画だなーなんて観てたら、最後に極上ぶっ込みがきて完全理性超えた。こんなに爆笑し続けてたのは本当に久しぶり。笑いが止まらない。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月25日
『ありがとう、トニ・エルドマン』ここまで色々を最高にひっくり返してしまう極上クライマックス映画は本当に久しぶり。しかもクライマックスの中のさらなるクライマックスまである!自分でも制御できなくなるほど笑い声が止まってくれなかった。そしてその後の一瞬で泣いた。まさしく映画の力だった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月25日
『ありがとう、トニ・エルドマン』序盤はひとまず父を悪者として扱う的な視線が全くなかったのがすごく優してシックだと思ったし、父親側・娘側という相反的な描き方は一切せず、常に同じ繋がりの中で互いを思いやっているというのがとても伝わってくる映画で、想像の比じゃないほど優しさに溢れてた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月25日
『ありがとう、トニ・エルドマン』大人同士の複雑にこじれた父娘の仲直り映画ということで、少しくらいは絵に描いたお餅的感動描写もやむを得ないし、避けられないのでは、と思ってたけど、そこに全く陥っていないのが本当に素晴らしいし、それとは別の次元の感動を大爆発させるクライマックスの尊さ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月25日
4.『ラテン・ラバー』
「映画で旅するイタリア」で『ラテン・ラバー』と『アラスカ』を観た。主催者さんは「裏イタリア映画祭」と言っていたけど、作品のレベルからすると「裏」なんてとんでもなく「続イタリア映画祭」と呼べる程の力作揃い。好みでは特に前者。イタリア映画祭で流れたらスゴく愛されそうな豊潤なラブコメ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月4日
『ラテン・ラバー』イタリア映画黄金期に一世を風靡した好色俳優の10周忌に集結した、彼の元妻2人と腹違いの娘たち4人による行き場のないジェラシーが織りなす足の引っ張り合いから、一筋縄ではいかぬ男たちも絡めた大騒動へと駆け抜ける、永遠のガールズトークと映画への愛に満ちた絶品ラブコメ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月4日
『ラテン・ラバー』プレイボーイの女性遍歴を面白おかしく描いた映画を想像してたけど、同じ男を愛した沢山の妻や娘たち同士の交流の場を通して、今は亡き彼との恋のノスタルジーではなく、今なおここで更新し続けるガールズトークの生き生きとした機微を圧巻の手さばきで描き上げる。シックな幸福感。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月4日
『ラテン・ラバー』キャストも豪華で、2作品続けて大傑作となったパオロ・ビルツィ『人間の値打ち』『歓びのトスカーナ』でも主役を務めたバレリア・ブルーニ・テデスキが、その2作のイメージを笑ってしまうほど完全に踏襲する情緒不安定で自爆気味の女性を完璧に演じきっていて、逆に安定感が凄い。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月4日
5.『あさがくるまえに』
フランス映画祭『あさがくるまえに』交通事故で脳死患者になってしまったハイティーンで青春真っ盛りの少年と彼の両親。同じ年頃の兄弟を息子にもつ、心臓移植しか延命が見込まれない中年女性。ひとつの心臓を軸に、2つの家族映画、眩しさ故に切ない青春映画が、見事に優しく編み込まれる。心が澄む。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月24日
『あさがくるまえに』カメラワークが本当に魅力的な映画で、序盤の仲良し男子高生トリオが夜明けの海でサーフィンに打ち込むシーンから思いっきり惚れ惚れ惹き込まれた。波や海の映し方の極上さ。だからといって全編に渡る映像演出の美麗さで、物語のテーマをボヤかさず、正面から向き合う素晴らしさ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月24日
『あさがくるまえに』事前の想像とは違い、7割ほどが病院を舞台にしている医療を軸に綴られるヒューマン映画としての色が濃い。心臓移植について自分は言葉しか知らなかったことを本作を観てすごく実感した。心臓移植手術の繊細さと技術力、そして家族の葛藤と切なる願いを克明に描いた、偉大な作品。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月24日
6.『おとなの恋の測り方』
『おとなの恋の測り方』を観た。シックな遊び心と洒落感に満ちたラブコメとしての楽しさは予告編からの期待をまったく裏切らずキープしつつ、予想以上に社会的な意味合いを十分に伴いながら描かれるソーシャル恋愛映画だった。それを重苦しくならず大人の洗練とユーモアで軽やかエレガントに描いてる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月18日
『おとなの恋の測り方』身体的なハンディキャップを抱えながらも理想的な人間性と社交性をもつ恋人のパートナーとして暮らしていくこと。その知られざる葛藤を絵に描いたお餅を超えたリアリティで、周囲の差別への苦悩までじっくり描いてる。それを軽やかで楽しいラブコメに溶け込ませてるのがシック。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月18日
『おとなの恋の測り方』予告編で最高に素敵な印象を残してたEmilie Gassinの「Break You as I Go」が序盤からフルで流れてテンション上がるし、クライマックスではCat Powerの名曲「The Greatest」が挿入されたりと全編を通して音楽も凄く魅力的。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月18日
7.『エル ELLE』
フランス映画祭『エル』ピンクのセットアップで登壇したイザベル・ユペールが、撮影の中で大変なシーンはどこだった?という質問に「大変なシーンはなかった。観るのが大変なシーンはあるでしょうけど。」とこんな怪作を前にさらっと答えたのが最高。 pic.twitter.com/go9ifw7o19
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月23日
『エル ELLE』これはホントに最高のイザベル・ユペール映画。もちろん『未来よ こんにちは』も一目瞭然の圧巻さでその無限連続であったけど、ユペールだからこそコレができるというナチュラル故にスペシャルな体現ぶりという意味では『未来よ こんにちは』をも上回る。というか数段際立ってる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月24日
『エル ELLE』突如自宅に侵入してきた男からレイプに遭い、復習の計画をなぞるうちサド・マゾ関係に踏み込む彼女には、幼少期から引きずる壮絶な背景がある_というハードなはずの物語さえも柔らかなユーモアさえ湛えた自然体の映画に変えてしまうユペールの軽やかなナチュラルさがホントに圧巻。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月24日
『エル ELLE』Q&Aでユペールは本作の撮影で大変に感じたシーンはどこも無かったと話したけど、その回答がまさに本作一番の魅力の謎を解き明かしてる。あらすじからは過激なはずの物語に対して、風通しのよい自然体を貫く彼女の佇まいが、作品の持つ豊かで深みある多面性を立体的に浮かばせる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月24日
『エル ELLE』レイプ体験を軸にしたミステリアスで官能的な男女映画を想像してたけど、そんな狭い映画では全くなかった。事件を機に、父親や息子や部下、不倫中の親友の旦那といった身の回りの男性たちに対し、今までとは違った能動的な眼差しで見つめ直し、行動を起こす、一級のヒューマン映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月24日
『エル ELLE』狭義の男女映画では全くなくて、ゲーム製作会社に就く女性社長が、突如遭遇したレイプ体験や女性を性的に扱ったゲーム作製という男性的な体験を通して向かう先は、犯人との情愛ではなく、父親や息子や元旦那や不倫相手といった身近な男性たちとの関係の見直しと前進。立体感が見事。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月24日
今『22年目の告白』という連続殺人犯と被害者遺族とマスコミの関係性を前面に押し出した邦画がやってるけど、『エル ELLE』にはそういう側面さえもあって、どれだけ視点を豊かに備えた映画なんだと。そんな重層さを全くムリなく自然体に同居させてるのがこの映画の凄さであり、ユペールの神技。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月24日
『エル ELLE』でも『あさがくるまえに』でも、車の運転は本当にちゃんとしなきゃダメだなと改めて。『ELLE』はユペールがアウディA4を乗り回すシーンが多々あってその似合いさは超素敵だけど運転荒すぎ 笑 フランス人は縦列駐車でぶつけても気にしないイメージだけど、あれには爆笑した。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月24日
8.『素敵な遺産相続』
『素敵な遺産相続』コメディとシリアスなリアリティのバランスが1番心地よいレベルの絶妙さで、観ていると自然と心が元気になってくる、気の置けない優しさがある。寂しさや不安が消えないのは事実でも、そのことに楽しむことまで邪魔される必要はないじゃない?と力強く手を引いてくれるような映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年7月17日
『歓びのトスカーナ』は大傑作だと思うけど、「最高の友情を手にした女たちによる、人生賛歌!」というコピーは正直ちょっと作品からズレてるように感じる。このコピーがピッタリ合うのが、同じく女性2人で自由すぎる冒険を繰り広げる『素敵な遺産相続』だと思う。ラストの爽やかな深みは共通してる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年7月17日
9.『ポリーナ、私を踊る』
『ポリーナ、私を踊る』前半は予想を裏切らないバレエ少女のサクセスストーリー風だったけど、後半のポスターや紹介文からは想像だにしなかった、バレエ映画という枠を完全に逸脱した先にある王道の青春映画との同化に惹き込まれた。ラストは超圧巻。 pic.twitter.com/ZUHSbli5wh
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月25日
『ポリーナ、私を踊る』ロシアで過ごした少女時代の古典バレエ、南仏に旅立った青春期の現代バレエ、挫折の果てに辿り着いたベルギーで出会った創作ダンスと、少女が大人に成長する過程とそれぞれの時期に向き合ったダンスや教師、パートナーから見出した感銘が重なり合い、青春映画に深みをもたらす。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月25日
『ポリーナ、私を踊る』中盤まではバレエ青春映画王道という感じで随分あれよあれよと突き進む印象だったけど、そこから真に独自性を持った生々しい青春映画へと飛び出す後半の意外な展開が良かった。かつてのバレエ少女の面影を完全に失くした彼女の中に眠るものに再び火が灯るまでの過程描写が好き。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月25日
『ポリーナ、私を踊る』既存のバレエ青春映画と本作を分かつ魅力のひとつとして、男女のデュエットが大フィーチャーされてる点があって。南仏の劇場バレリーナとして踊る青春期と、バーで働くようになったベルギーでペアダンスに活路を見出す大人期での、彼女の舞の変貌が本作随一の見どころだと思う。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月25日
10.『アラスカ』
『アラスカ』説明文を軽く読んだ時点では軽めのコメディ調かと思ってたけど、全然違った。境遇も性格も正反対の2人の恋という点では『ジュリアの世界』が、刑務所や犯罪を介した恋という点では『花咲く恋』がそれぞれリンクするけど、ヘヴィさ、シリアスさ、スケール感共々、それらの比じゃなかった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月4日
『アラスカ』互いにとって孤独を明かせる無二の存在として、破滅寸前の関係であっても求め合うことを避けられない男女の長年に渡る恋愛関係を描く。さすがに彼女に同情するばかりの中盤までを経て、さらに奥深くスケールアップしていく映画として力強さと奥行き感に感心。まさかのエンディングも良い。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月4日
11.『フィフティ・シェイズ・ダーカー』
『フィフティ・シェイズ・ ダーカー』を観た。予想以上に良くて充分満足。本作のエンドロールでもその予告編が流れるように、来年公開されるシリーズ3作目で本シリーズは完結するんだけど、そんな時にこの2作目はシリーズ中もっとも幸せなムードを持つチャプターだったと、きっと後に語られるはず。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月26日
『フィフティ・シェイズ・ ダーカー』“ダーカー”っていうから身構えてたけど、前作の後半に比べれば悲痛なムードはだいぶ後退しているしハードSMもない。そりゃあの彼なので色々彼女を悩ませまくりだけど、全体的にはラブラブな2人が貫かれた映画で、うっとり観られる人には充分素敵な映画体験。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月26日
『フィフティ・シェイズ・ ダーカー』一部映画ファンからはご都合主義連発の似非映画扱いされてて気まずさもあったけど、幕開けと同時に流れ出すこのコリーヌ・ベイリー・レイによるコールドプレイカバーを耳にした一瞬で「やっぱ好き!」ってなった。https://t.co/F5OZNLgBSp
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月26日
『フィフティ・シェイズ・ ダーカー』私が前作を好きになったのは、2人が一番幸せで甘美な夜を明かした朝に、寝起きの2人を包み込んだのが大好きな曲の頭からの贅沢な挿入にあったのだけど、今回はそんな朝に流れるのがポリス「ソー・ロンリー」。 https://t.co/Vh6xFhW3OO
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月26日
『フィフティ・シェイズ・ ダーカー』導入パートの正直な印象がダコタ・ジョンソンも2年で老けたな〜(ごめんなさい)だったのだけど、これが物語上のメイク演習で、クリスチャンとよりを戻して恋人関係に戻っていく=映画が進めば進むほど肌ツヤがどんどん若くなっていくのを見て、おお〜と唸った。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月26日
『フィフティ・シェイズ・ ダーカー』音楽と衣装、メイクの素敵さは前作以上で、それだけでも心がうきうき幸せになった。セックスにおけるランジェリーの映し方というか画としての扱い方が本当に魅力的。ラブシーンはもとより、その手前のおめかししてのデートシーンや食事シーンが心地よく官能的。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月26日
12.『ハーフネルソン』
『ハーフネルソン』は今年これでもかと話題作が続々日本上映されているゴズリング出演シリーズとしての11年越し上陸だとは思うけど、作品自体の中身としては『ムーンライト』関連特集としての初来日とされていたとしても全く思いっきり頷くしかないほど、『ムーンライト』に近しい物語の状況や背景。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年7月11日
『ハーフネルソン』中学の歴史教師に就きながらも、家に帰ると人知れずコカインに溺れて放心してしまう主人公の毎日が描かれていくけど、本作の絶妙な生活感描写にはドラッグにとどまらず、何かしらの依存症や中毒状態に陥った経験のある人なら大いに共感できるであろう、親密なリアリティが宿ってる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年7月11日
『ハーフネルソン』リアリティを前面に描かれる、間違った幸福だと知りながらも、その空虚な快楽と現実逃避性から抜け出せないことへの甘く怠惰な自滅感は、ドラッグとは縁のない暮らしをしていても他人事とは思えない生活感があって、それを助長する「孤独を愛すること」の罪深さも凄く浮かんでくる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年7月11日
13.『愛を綴る女』
『愛を綴る女』今回の仏映画祭上映作品の中でも、とりわけフランス恋愛映画王道といった趣を放つ作品。内には収まりきれない情欲と渇愛を、時に激しく、時に繊細なタッチで相手に伝えようとするマリオン・コティヤール演じる主人公が官能的。不器用すぎる人と器用すぎる人が織りなす成熟した三角関係。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月25日
『愛を綴る女』2人の出会いと夫婦になるまでを描く前半は、お、お、大味…という印象だったけど、妻が人里離れた診療施設に長期入寮したことで始まる夫婦の別居とプラトニックな不倫関係の幕が上がる後半にはすっかり惹き込まれた。最後に明らかになる真相には大いに唸ったし、過程の描写も良かった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月25日
『愛を綴る女』前半は正直引力に弱さを感じるけど、後半はエレガントな三角関係ラブストーリーとミステリが溶け合うことでグングンと観る者を惹きつける。エメラルドグリーン〜ターコイズブルーで統一された衣装や小物、背景等の色彩感も素敵だった。 pic.twitter.com/7CJqXKionL
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月25日
今年の仏映画祭は『エル』や『夜明けの祈り』に代表されるように(それは勿論個人の問題ではあるけど)男性特有の最悪な部分に直面させられるシーンが多かったのが印象的だったけど、そんな中にあって『愛を綴る女』の旦那さんの物静かさの裏に広がっていた思慮深さと思いやりには救われる思いがした。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月25日
14.『パリは今夜も開演中』
『パリは今夜も開演中』監督も主演も務めるエドゥアール・ベールによる舞台挨拶は今までに観た全部の舞台挨拶の中でも一番面白すぎた。いくらコメディ俳優でもここまで振り切れるものなのかってレベルの、発言オールギャグの上に突然歌い出したり、客席を走り抜けて去っていったり、ぶっ飛びすぎ!!笑
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月25日
『パリは今夜も開演中』普通の劇場公開作品を観るように、平常心からスッと入って観たらもっと面白かったのでしょう。きっと。でもね、上映前舞台挨拶の監督兼俳優の全てがありえないくらい面白すぎて、困ったことにコメディ映画としての作品のハードル上げちゃってたと思う。少〜し期待はずれ。正直。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月25日
『パリは今夜も開演中』観ながらリンクが呼び覚まされたのがホークスの『特急二十世紀』で、物語設定的には『バードマン』も近い。だけど本作はそういった作品のように洗練されていない。コメディとしても洗練されてなくて、むしろそれを目論んでるように思う。がむしゃら行き当たりばったりコメディ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月25日
『パリは今夜も開演中』笑いも物語展開も緻密に計算された洗練の成果という感触を感じさせず、勢いまかせのその場しのぎ的ギャグとご都合主義上等な暴走ぶりで突き進む“いい加減”具合に、監督がオマージュを捧げたと話す、詩人が町を徘徊していた60〜70年代のパリの自由さが託されているのかも。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年6月25日
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