2017年2月の私的シネマランキング (No.1 ~ No.14)
私が2月に映画館で鑑賞した新作映画について、個人的によかった順番に並べて感想をまとめました。
今月は28本観れました。
映画館で、といいつつも2月分はマイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル(通称・myFFF。毎年1月から2月にかけてオンライン上で全世界同時開催されている、フランス映画の新作が集まる映画祭)で鑑賞した2本も含めました。その内の1本が本当に本当にアレなので、ここは抜かすわけにはいきませんでした。
とりあえず2月は『たかが世界の終わり』と『ラ・ラ・ランド』の2大超期待作が自分の中でもスゴいことになるんだろうな~と去年から覚悟していたのですが、意外といつもの自分らしい結果になりました。
とにかく!
『サマー・フィーリング』をどうか映画館で観られる機会をください!!去年『彼らについて』とか『カプリス』といった大変素敵なmyFFF上映作品を、大きなスクリーンで流してくださったアンスティチュ・フランセ東京さんに期待。。。
1.『サマー・フィーリング』
myFFF『サマー・フィーリング』を観た。ほんっっっっっとに完璧に幸福な映画体験。こういうのだよ〜〜最高なのは。一瞬一瞬に心を満たす物語が宿ってる。映像と音楽とそこにいる人々。本当に居心地の良い、優しく美しい時間。とんでもなく洗練されたセンスが隅々まで行き届いた真に理想的な映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月2日
『サマー・フィーリング』愛する人の死から始まる物語。(その死の描写すら美しい。というか100分全編の全瞬間が心を満たす美しさで貫かれてる。画面にひたすら惹きつけられっぱなし)なのに、果てしなくスウィート…それもベタベタした優しさじゃない。究極的に心地よい澄んだ優しさの集合体映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月2日
『サマー・フィーリング』愛された者の死が遺した、同じ悲しみを知る者同士の優しい関係をそっと見守るような穏やかな視点で描いた映画で、映し方・切り取り方・音楽の使い方・演出される雰囲気の純度の高さが、研ぎ澄まされたセンスの元で甘美なものとして心に響くから、どの瞬間も幸せで満たされた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月2日
『サマー・フィーリング』マンハッタンを舞台にしたパートでは、主人公の友達の弟のミュージシャン役(本人役)としてマック・デマルコが登場して、クラブで2曲もライブを披露したのには驚きつつ高まった。本作のサントラにはそのライブバージョンで「チャンバー〜」と「ブラザー」が収録されている。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月2日
『サマー・フィーリング』マック・デマルコ以外にもピクシーズ「Motorway〜」やラーズ「Son of a Gun」アンダートーンズ「Teenage Kicks」が使われていて高まるし、随所で挿入されるインストでは一転して透明感と甘美な情緒に溢れた静けさを演出していて魅了される。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月2日
『サマー・フィーリング』若くして急逝した女性の恋人と、彼女の姉との折々の交流が1年ごとの夏の日に、毎回様々な街を舞台に描かれていく。毎度久しぶりの再会の中で互いの内面にある悲しみをそっと優しく思いやりながらも、楽しみにしていた再会のひと時を幸せに過ごそうとする描写が本当に素敵で。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月2日
↑ これは私が打ち間違えていて、姉は間違い。実際は「妹」です。突然病死してしまった恋人の妹(もちろん姉妹なので、恋人とよく似た面影をもつ…)と、恋人の死を機にして繊細な心同士の交流が始まっていくという映画です…。シックさと若々しさが甘美に同居した、瑞々しく心に沁みる、最高な映画なんです…。もう一度観たい…。
『サマー・フィーリング』こんなにも全編に渡ってズバ抜けてセンスが良い映画にはなかなか出会えない気がする。こんなに良心的でオリジナリティのある、高品位な映像演出を標準仕様で編み出し続けるなんて凄いなー、とシーンが変わる度に感嘆と深い満足感に溜息をついてた。酔いしれ続けた100分間。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月2日
2.『静かなる叫び』
『静かなる叫び』を観た。もうさ、全然“未体験ゾーン”レベルじゃないんですが!!なんなのこの特大のド傑作は!!今年の未体験ゾーン凄すぎ。なんて奥行き、なんて深み、そしてなんて果敢で洗練された強き意志。驚くべき多角性を持つ物語を内包する、毅然とした映画表現の手捌きと力強さにガチ唸り。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月17日
『静かなる叫び』1989年にモントリオール工科大学で起きた反フェミニズム青年による女性無差別虐殺事件を物語のベースにした映画であるものの、そうした前情報から想像し得たものとはスケールも深みも普遍性も全然桁違いで、映画表現としての幅も質も意志も全部が揃い、見事に相乗し切った大傑作。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月17日
『静かなる叫び』文芸の素晴らしさを心底訴えかけられた。実際に起きたショッキングな殺害事件をモチーフにしていると聞くとルポルタージュ色が強めかと想像しがちだけど、本作はそれをあまりに見事に覆す、圧巻なほどの文芸面での踏み込みが特徴的で、メディアとしての映画という意味でも極めて秀逸。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月17日
『静かなる叫び』ルポやドキュメンタリーでは到達できない、人間の心を人間の心で想像することで創り上げる物語故の真に観客の内心に迫る深い魅力が文芸作品にはあるけど、本作はその題材にして、まさかの最強文芸作品だった。洗練された映画表現の中で実現されるそれに、後半は息を呑むばかりだった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月17日
『静かなる叫び』何か残虐な事件が起こった時に、後年まで参照されていくパーソナルな事項は犯人の動機とか性格ばかりなのが現実だと思う。本作の素晴らしさは、普段着目される機会が少ない、当日そこにいた被害者たちのパーソナルや残された者たちの未来まで、力強く誠実に深い視点から描いている点。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月17日
『静かなる叫び』犯行のおぞましさや無慈悲さを臨場感を伴って描いた上で、その行為が壊そうとしたもの、けれども絶対に壊せないもの、誰かが誰かを愛しく思うこと=人間に与えられた根源的な希望を、様々な在り方でどこまでも凛と力強く描いていて、優しさとは人間が持ち得る最大の強さであると知る。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月17日
3.『ラ・ラ・ランド』
『ラ・ラ・ランド』最っっっっ高おおおぉぉぉぉ!!!死ぬほどロマンチックな映画だった。ものすごい幸福感で満たしていただいた。(初日鑑賞時は連日の夜更かしが祟り、眠らないように努めることに神経の8割を注ぐような有様でしたすみません。2回目万全の体調でIMAX、大満足な映画体験でした)
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月26日
『ラ・ラ・ランド』(私の体調面も大きいけど)2回目の鑑賞でめちゃくちゃ良さがリアルに分かってくるというか、作品全体としての魅力が再鑑賞でどっと押し寄せてくる部分が大きい作品だなーと。だって、オープニングのあのシーンが、まるで大団円のエンディングでもあるように感じられるからしてね。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月26日
『ラ・ラ・ランド』LAで、世界中の都会で、何十年前から今夜も何十年後も循環していく物語。4つの季節が巡りきっても、また次の年の四季が繰り返していくように。オープングの歌で全ての答えはもう出ている。それでもそんな普遍を一人一人の物語として今日も誰かが光に手を伸ばす。それに注ぐ祝福。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月26日
『ラ・ラ・ランド』オープニングで唄われるように、夢のために恋人と離れても、どんなに打ちひしがれても、明日の訪れと共に何度でも這い上がっていく。そんな夢を追う強者たちのタフネスが描かれつつも、記憶に対しては人間誰しも感傷的になるもの。その絶妙な描写が大人を惹きつける青春映画の所以。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月26日
『ラ・ラ・ランド』感想。往年の定番楽曲を、新たなセンスと解釈によって幾度もアップデートさせてきたジャズの名演のように、夢追い人たちの青春が築く永遠の循環の中に息づく1人1人の物語を、映画が持ち得る最大限の想像力で讃えた、祝福の映画。 pic.twitter.com/0ddkxQU2vw
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月26日
『ラ・ラ・ランド』本当に隅々まで映画の贅沢が詰まりまくった、その素晴らしさにも評価の高さにも納得の映画体験だったけど、恋愛に意味を見出したい人・恋愛に意味があって欲しいと思ってしまう人には、なかなか評価に戸惑う映画なのかなとも思った。恋愛映画としては過度な期待はお薦めできない。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月24日
『ラ・ラ・ランド』リアリストが観たらロマンチックな映画、ロマンチストが観たら期待の割にそっけない映画に感じるんじゃないかと思う。映画が持ちうるファンタジックな創造力をこれでもかと大大放出しながらも、物語自体は色々ととても現実的。だからこそ作品全体のドリーミーな部分がより際立つ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月24日
4.『スプリング、ハズ、カム!』
『スプリング、ハズ、カム』めちゃくちゃ良かった!!しっとりした映画かと思いきや全編に渡って面白くて魅力的なキャラが続々登場する絶品笑わせ映画でありながら、優しく明るい父親と優しく素直な一人娘の互いを思いやる理想的な姿を随所に描き、温かく泣かせる。笑って泣けてさらに本当に良い映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月19日
『スプリング、ハズ、カム』切なさを覗かせる設定の割に、こんなあっけらかんと笑わせる映画だったの?と柳家喬太郎も本領を発揮しまくりのお気楽ムードに序盤は不意を突かれたけど、しんみりはせず前を向いてる2人を捉えた映画でありながら、後半はずっとうるうるしっぱなしで観せられた事の偉大さ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月19日
『スプリング、ハズ、カム』ここまで笑える映画だとも思ってなかったし、ここまで泣ける映画だとも思ってなかったし、ここまでガチの良さで包まれた映画だとも思ってなかった。ちょっとじゃなく、かなり良い映画。朝の回1度の上映だけでは本当に勿体ないと思う。こんな心温かく、澄んだ涙は久しぶり。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月19日
『スプリング、ハズ、カム』わざとらしく感動を狙った描写はどこにもなく、涙腺を刺激するものは全てがさり気なく、示唆的なやりとりの中にあることが、本当に素敵な親子映画。観終わった時には、この父と娘を誰もが好きになってしまうと思う。そして全ての登場人物が愛すべき魅力的な人たちばかり。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月19日
『エリザのために』の原題訳は「卒業」で、大学進学を機にもうすぐ親元を遠く離れる一人娘とその父親には、高校を修了すること以上に、親子が別々に暮らし始めることが「卒業」の意味を持つ。同時期の娘の新居探しの1日を描いた『スプリング、ハズ、カム』もそうで、これは父親と娘の“卒業式”映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月19日
『スプリング、ハズ、カム』の真に光ってる魅力は、互いに一人親・一人娘の父と娘が、もうすぐ離れて暮らすのが寂しいよねって部分で感傷を誘うなんて安易なことはせず、その機会を互いにとっての「卒業」と捉え、互いの今日までを讃え、互いの今日からを心からの愛情で祈ってる。その温かい前向きさ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月19日
『スプリング、ハズ、カム』春から東京で大学生になる娘の新居を探しながら親子で東京散策する話、だと狭い世界の映画になりそうだけど、道中で出会う様々な背景を持つ人達との時間や会話が、驚くほど2人の関係を多面的に照らして、観客自身の親子観を尋ねるような深いスケールと親密さを獲得してる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月19日
『スプリング、ハズ、カム』パンフレットの代わりにそれに引けを取らない情報量を詰め込んだリーフレットを300円で販売してるのは非常に商才があると思った。売店が行列になるのも分かる。これだけ最高の余韻をくれる映画だとむしろ300円くらいなら追加で払いたくなる心理が働かざる得ないもの。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月19日
『たかが世界の終わり』や『サバイバルファミリー』のように家族関係のままならなさを綴った映画も流れる一方で、『スプリング、ハズ、カム』『王様のためのホログラム』『ナイスガイズ』の3本はどれも母親不在の映画ながら、父と娘の心が温かくなる素敵な関係が各々描かれていて幸せな気分になれる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月25日
5.『オリ・マキの人生で最も幸せな日』
『オリ・マキの人生で最も幸せな日』フィンランド史上初の世界チャンピオンとの対決試合を前に、国中からの注目とマネージャーからの神経質な激励を浴びる毎日ながら、心の向かう先は愛する恋人ばかりな繊細なボクサーのビターな奮闘をラブリーかつシックに描く。これぞ一番共感できる恋愛史上主義感。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月17日
『オリ・マキの人生で最も幸せな日』主人公は欧州を代表するボクサーという印象からかけ離れた大人しくて繊細な人柄だし、心を開ける恋人と過ごしてる時とはスイッチを切り替えたように無表情・無関心になってしまう、仕事関係の人たちと過ごしてる時の感情を失くしてる感とか、共感の極み映画だった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月17日
『オリ・マキの人生で最も幸せな日』劇中26歳のオリ・マキと彼女が手を繋ぎながら道を歩くラストシーン、同じく仲睦まじく歩く老夫婦とすれ違う。「私たちもあんな風になりたいね」この時の老夫婦こそ、現在80歳になったオリ・マキとあの時の彼女だとエンドロールで知って、どんだけ素敵映画かと!
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月17日
『オリ・マキの人生で最も幸せな日』タイトルの印象的な言葉は、試合に勝ち名誉を掴むことしか頭にないマネージャーが序盤でマキに言う“試合に勝って人生で最も幸せな日にしてみせろ”から来てるけど、それに対するマキ自身の解答という角度でその後の展開を観れるから、洒落た仕掛けだなーと思った。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月17日
どれだけ恋人が好きでも、どれだけ好きな人がいても、どれだけ恋愛に関することだけしてたいと思っていても、実際の社会生活にはそんな願望を邪魔されてばかり、でもいつだってロマンチストになれる隙を狙ってる。そんな人にとって『オリ・マキの人生で最も幸せな日』は最高に親しみを感じられる映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月17日
『オリ・マキの人生で最も幸せな日』のポスター、作品の精神をズバリ拾い上げていてとても素敵。国民的な注目を集める記者会見中でも練習中でも、笑顔で見つめてくれている彼女の姿を発見すると完全に心ここに在らずになるマキが本当に愛おしかった。 pic.twitter.com/TszHjK7YQa
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月17日
6.『王様のためのホログラム』
『王様のためのホログラム』を観た。タイトルやあらすじから抱いていたイメージを超絶良い意味で覆す、洒脱でシックな味わいが贅沢なヒューマン映画の良品。広大な異国の地で訪れた人生の停滞期から学ぶ、スランプの楽しみ方と世界との向き合い方を終始軽やかかつ意味深く描いていて、本当に清々しい。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月20日
『王様のためのホログラム』王様もホログラムも脇役でしかなく、それがIT企業の中年セールスマンにもたらしたもの=サウジアラビアでの終わりも分からなければ、やるべきことも尽きてしまった、自由と束縛の狭間で揺れる滞在期間に、異文化に出会いながらスランプの突破口を見つけていくことが主題。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月20日
『王様のためのホログラム』ラグジュアリーなホテルと仕事場である“国王の経済・貿易新都市”とを車で片道1時間かけて行き来する、気の抜けちゃう変なトラブルだらけの異国での毎日が描かれていくけれど、そのタッチは全く重苦しくなく、実に軽やかでユーモアに富む。観ていて気持ちが癒されるほど。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月20日
『王様のためのホログラム』街と街との間に広がるサウジアラビアの広大な風景も相まって、仕事の重圧や離婚によって硬直していた主人公の心が、異国の文化に出会うことで徐々に解きほぐされ、自分自身を取り戻すのとピッタリシンクロするように、本当に心が解放されて、とても爽快な余韻をくれる映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月20日
たまにパッと遊んで我を忘れても、夜になって翌日は仕事だと気付くと、結局自分は小さい檻の中で生きる人間だよなって気分に陰が差すときがあるけど、『王様のためのホログラム』はそんな気持ちを救いあげて、本当の自由の意味のもとで解放してくれる映画だと思う。こんなに清々しい気持ちは忘れてた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月20日
『王様のためのホログラム』仕事の面からも、家族の面からも、世界文化との向き合い方の面からも、恋愛の面からも、あらゆる角度から風通しよく軽妙に“中年の危機”を描きあげていて、そこにトム・ハンクスの鉄板さも加勢して、それでもそんな停滞の時期も悪くないじゃないと思わせる趣味の良い映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月20日
『王様のためのホログラム』先進国の様々な企業が、自国で生き残るために中国で商品の製造をするようになったら、どのブランドも作ってるのは同じ中国や東南アジアの工場で、出来上がったものに違うロゴをくっつけてるだけ、とか現代の世界経済を巡る多様な問題も軽やかに見せてくれる映画。面白い。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月20日
そのあげくに今アメリカ国内の橋を建てているのも中国企業になってしまった、という中年主人公の父親(古いイメージのアメリカを愛する愛国者のイメージ)によるボヤキも出てきて、そういう状況的な下地があってトランプが選ばれたんだなって、現行のアメリカとリンクするポイントも多々出現する映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月20日
7.『キス・ミー!』
『キス・ミー!』最高最高!去年の『イエスタデイ』に続き今年も北欧映画祭で満点の青春恋愛映画を満喫。絶品胸キュン描写の連なりを経て、原題『Kiss Me You Fucking Moron』キスしてよ、このマヌケ!の意味が明らかになるラストに辿り着い時の爽快な幸福感ときたら!完璧!
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月11日
『キス・ミー!』演劇部の高校生たちが初めて大人向けの恋愛の戯曲に挑戦しようと思い立ったことから始まる予想外の出会いと交流が、彼女たちに本当の恋愛の戸惑いやもどかしさをもたらしていく。その瑞々しく生き生きとした心理描写の豊かさや大人の視点も交えた物語の立体性にじっくり心を奪われた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月11日
『キス・ミー!』演劇俳優を目指してるまっすぐな女の子と、サッカー選手を目指すチャラい男の子の相容れないペアが、役作りの為にデートを繰り返すうち徐々に心が揺れていく描写が素敵で、そこにピッタリ寄り添う北欧らしい透明感溢れるギターポップに酔っていたらTeam Meまで流れ出して最高。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月11日
『キス・ミー!』初めて本格的な恋愛戯曲に挑む高校生たちの監督をすることになった、落ちぶれプロ俳優コーチの存在が凄く良い味を出してる。彼の存在が作品に軽妙に深みを与えている。彼女たちの最初の動機も単純で素敵。文化系青春恋愛映画としての豊かさは“演劇版『シング・ストリート』”な感触。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月11日
『キス・ミー!』物語のテンポ感と、じっくり感情を切り取るカットとのバランスがとても絶妙な作品。特に演劇練習のミラーリングを通して相手に初めて心を開いていく描写にグッときた。そして幾つもの感情が重なり合い辿り着いた本番シーンの極上さ。 pic.twitter.com/uPtQehlG6n
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月11日
8.『たかが世界の終わり』
『たかが世界の終わり』さすがドラン作品!!と唸らずにはいられない圧巻の魅せっぷりに大満足。キャラクターたちの内面にたぎる鬼気迫る感情を、限りない生々しさで観客の五感を奪い尽くして同時体感させる、あのドランマジックは今作でもいっそう全開。どんなスリラー映画より痺れるヒューマン映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月12日
『たかが世界の終わり』を観て改めて“戦場のスリル”を初めて体感した場所は・その定義そのものを憶えた場所は、他ならぬ生まれついた家庭だったと気付いた。切っても切れない縁・どこへ行っても抜け出せない檻、そんな家族というバトルフィールド、独特のスリル。それが余すことなく作品化されてる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月12日
『たかが世界の終わり』とにかく今回も音楽の使い方が巧みすぎて、映画における音楽表現の最洗練術はホントにドランの独壇場だなーと息を呑むばかり。ブリンク182やグライムスや恋のマイアヒという、世間ではとっくにイメージが定められた音楽が、全く新しい感触と表情で蘇る。それが最高にクール。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月12日
『たかが世界の終わり』家族の関係に一定のルールやマナーなどなくて、それはその家庭内で認められてしまえば、他人が何と言ったところで無意義だから。だからこそ、人間は自分の家族や家庭について一生惑い続ける。比較で判断できないものだから。本作はそんな苦悩に対する、深く力強い抱擁だと思う。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月12日
『たかが世界の終わり』生々しく、スリリングで、立体的に迫る人間描写や空間演出で観客を圧倒する一方で、意外性の強いラストを用意することで、一番気になるところの解釈は観客に預けたままクールに締めちゃうところも心ニクい。アレどう思う?と誰かと語りたくならずにいられない絶妙な余韻が残る。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月12日
『マリアンヌ』でのマリオン・コティヤールがセクシーに映るのは演じてるキャラ自体がそういう設定だから当然として、でも、そんなタイプとはかけ離れた設定のキャラを演じているはずの『たかが世界の終わり』での兄嫁役の彼女の方にこそ、むしろ生々しいリアルな色気を感じてしまった。あの瞳の色気。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月13日
『たかが世界の終わり』で、主人公と兄嫁の視線だけで語られる無言の会話を執拗にクローズアップする演出は、どう考えも(良い意味で)むっつりエロすぎると思ったし、どうぞ好きなように妄想してください的な、あのシリアスな作品の中における作者からのオアシスタイム提供に感じたのは私だけでいい。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月13日
9.『バンコクナイツ』
『バンコクナイツ』ネオンカラーの欲望が交差する夜のバンコクで生きる女達・男達の人間らしい柔で歪な陰謀合戦と、東南アジアの田舎町を巡るスピリチュアルで壮大な旅路とを結ぶ真摯なまなざしを通して、世界が、日本が、日本に生まれ育った今の自分が、幾つもの視点から再定義されていく深い映画体験
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月25日
『バンコクナイツ』東南アジアの風俗業の相手は多くが日本人という想定内の始まりから、やがて東南アジアの田舎町を巡る壮大なロードムービーとの交差を通じて、その視点の対象は予想だにしなかった世界的スケールを帯び、果てしなく深みを増していく。全く途切れない映画としての説得力が素晴らしい。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月25日
『バンコクナイツ』バンコクからラオスへ巡る雄大な旅路を彩る、ローカルテイスト溢れたソウルフルな音楽の数々と、その使い方がとても魅力的で、浮かび上がるテーマはどれも深く複雑なのに、それを難解に映すのではなく、親しみ易く生き生きとしたドラマの中で、そっと問いかけるようなムードが好き。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月25日
『バンコクナイツ』戦争は絶対に愚かだけど、一方でかつて戦争の果てに日本が一時的に連合国に占領されたからこそ、日本で生まれた自分は今こんな生活が出来ているのでは。戦争と豊かさとの関係や、家族とは何か、偶然豊かな国に生まれて世界をどう捉えたらいいのか等、色々思いを巡らす3時間の贅沢。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月25日
『バンコクナイツ』非凡な示唆を孕んだ、これほどのスケールとクオリティの作品が発表されたことは日本映画にとってとても重大では。ご都合主義で小さな世界に収まりがちな邦画作品が多い中、オール海外ロケで、完全に外側からの視点で日本を・世界を見つめ直す。宇宙に行くような映画より壮大で圧巻。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月25日
10.『国王への手紙』
北欧映画祭『国王への手紙』ノルウェーの地方にある共同施設で暮らす様々な背景を抱えた老若男女が、オスロで自由に過ごす時間を与えられた1日の様子を描いた群像劇。ネットで知り合った異性と初面会する者、復讐を果たそうとする者…パーソナルな描写を通して社会問題を多角的に見せる手捌きが秀逸。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月12日
『国王への手紙』風通しの良いムードの中で爽やかなタッチで描かれる観易い群像劇でありながら、ノルウェーが紛争地帯からの難民の受け皿となっていて、私たちが北欧都市という言葉から想像する虚像とは異なった、多民族・多宗教国家としての実態も適切に描かれていて、とても豊かな表情を持った映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月12日
『国王への手紙』群像劇として本当に理想的な作品。同じ街の同じ時刻のドラマ達を交差させながらも、ピックアップされたキャラクターは出身国も年齢も極めて多様で、それをここまで自然な形で味わえるのは外国映画の特権。分かり易いパッピーエンドではないところもセンスの良さを感じられて快かった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月12日
北欧映画祭『雪が降る前に』と『国王への手紙』は同じ監督が1年のインターバルで発表した2本とは思えないほど、ムードも質感もまったく異なる映画だけど、両作とも、もはや北欧映画の枠には全く収まらない、中東〜ヨーロッパの国境を越えて存在する社会の表情と問題を捉えた、スケールの大きな作品。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月12日
11.『ナイスガイズ!』
『ナイスガイズ!』を観た。ご機嫌なソウルやディスコがお似合いの1970年代LAを舞台に、何かと運の悪い私立探偵が対照的キャラの出来合いの相棒とともに、ガチヤバ迷宮が後ろに構える危険案件に乗り込んでいくパワフルサスペンス。クリーンになった『インヒアレント・ヴァイス』感で面白かった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月21日
『ナイスガイズ!』本題に入っていくまでの序盤はいきなり暴力描写が連発されて私的に入りきれなかったけど、
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月21日
潜入したセレブパーティーでEW&Fが「September」をプレイし出した辺りから物語も一気にレールに乗り出して、その後はエンディングまでひたすら面白く楽しかった。熱くなれた。
『ナイスガイズ!』売れない私立探偵の主人公がひょんなことからポルノ映画製作の世界に引き寄せられ、やがてそれは国家を揺るがす陰謀を孕んだ未発表映画を巡るスリリングな駆け引きとバトルに発展していく物語なので、映画好きの人にはなお楽しい、映画の深さ・魅力がさり気なく充満してる娯楽作品。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月21日
『ナイスガイズ!』アンガーリー・ライス演じる主人公の一人娘がとにかくクールでキュート。彼女の大活躍ぶりに本作をバディムービーと形容するのが心苦しい程。13歳なのにおませでバトルアクションも完璧な一方で、大人よりも大人で優しい心の持ち主。ヒットガールを更新する新しいアイドルの登場。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月21日
12.『マリアンヌ』
『マリアンヌ』を観た。(嬉しい気持ちを添えた褒め言葉として)めっちゃハワード・ホークス的な映画だなと、良くも悪くも。妙な(良い意味で“ヤらしい”)深みなんかで釣るよりも、ひたすら明確な面白さを絶えず敷き詰める力技で、最後には誰もを大満足させちゃう、執念的な説得力に降参。良かった!
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月13日
『マリアンヌ』悪く捉えれば湿り気に足りない、良く捉えればネチョってない、つまりサバサバしてるからこそ、スパイ要素も戦争要素もロマンス要素もぶつかり合わない範疇でストンと全部が面白さを最大限に発揮できてる。そして全面的に男性的なロマンティシズムが貫かれる。その辺がホークス的だなと。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月13日
『マリアンヌ』正直言えばオープニングから映し方の質感が好みじゃなかったというか、表面だけ取り繕ったまがい物みたいな映像演出が多いなと粗の方が気になってたけど、一方で一瞬も目を離せないほど間違いなく面白くて、後半にはすっかり虜になり、エンドロールは良い映画を観れた幸福感に浸ってた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月13日
『マリアンヌ』とりあえず、まず完璧にマリオン・コティヤール映画で、もはやそれはズルイだろってレベルで観入る他ないカット連発の、麗しの美女映画として断然強い。コティヤールをモデルにしたファッションショーとしても余裕で観切れちゃうほど目にも幸せで、かつ面白いんだから、これは強い映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月13日
『マリアンヌ』はロマンチックな映画だけど、男っぽいロマンチックさなのが印象的で、鑑賞後にそこを語り合うのが楽しいと思う。例えば、主人公は真実を知るために恐らくは残り少ないであろう、愛する女性と一緒に過ごせる時間を捨ててるわけで、そういうとこは偏見だけど男性的だよなーと面白く観た。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月13日
https://twitter.com/SunCityGarden/status/831165893048561664
13.『恋愛奇譚集』
『恋愛奇譚集』を観た。いかにも恋愛映画を想像させるタイトルのイメージからは想像できないほど、それぞれに密やかな悩みを抱えながら暮らす、福島の小さな町の人々の人生模様とその交差を群像劇として丁寧にまとめ上げた、堂々の力作。期待以上のスケール。どの年齢層にも響く、深みのある人間描写。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月11日
『恋愛奇譚集』高校生同士の甘酸っぱい三角関係(ヤオ・ アイニンの無敵の可愛さ!)に思わず頬が緩む10代の爽やかな恋愛模様から、打算的な結婚もデフォルトな30代の将来模索まで、本当に幅広く人と人との関係を拾い上げながら、その全てが丁寧に描写され、群像劇として連鎖させる手捌きも見事。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月11日
『恋愛奇譚集』登場人物の誰もが人には伝えようのない悩みや思い煩いを抱えていて、決して晴れやかなムードで進む映画ではない。だけど、決して重苦しくなくて、むしろ親しみ易く、心地よい。そして空気が澄んでいて、優しい映画。それには劇中の音楽を蓮沼執太が担当しているのも大きな要因だと思う。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月11日
『恋愛奇譚集』あるロケーションの元でさりげなく繰り広げられる、様々な立場にある人々の密かな交流たちを、シックな空気感の中で優しげにまとめ上げた群像劇という点では、昨年公開の仏映画『アスファルト』にムードが近い作品だと思う。台湾からの留学生と宇宙飛行士の存在も意味合いがリンクする。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月11日
『恋愛奇譚集』作中で描かれるどの関係性も魅力的な描写で引き込まれるけど、やっぱりヤオ・ アイニンを中心とした王道青春恋愛パートがすごくキュートで素敵。彼女のいる大人びた男子を好きになってしまい、三角関係にイラつきつつも意外と積極的にアピールしていく姿が可愛い。エンディングも秀逸。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月11日
『恋愛奇譚集』舞台挨拶、ヤオ・ アイニンさん(台湾の青春サスペンス映画『共犯』のミステリアスガール役)が死にそうになるほどの可愛さで素敵だった。日本に留学に来た高校生を演じる映画内でもその可愛さは不変だけど、作品の魅力はさらに深い。 pic.twitter.com/yVOS8hklGw
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月4日
14.『愚行録』
『愚行録』を観た。犯人が見つからず1年が経つ一家殺人事件を追う週刊誌記者の聞き込み取材を通して、第3者の視点から被害夫婦の知られざる人物像が徐々に明らかになっていく。サスペンスとしての物語性に期待してると肩透かしを食らう程、とにかく全面を人物描写に注いでいて、そこは確かに面白い。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月22日
『愚行録』旧知の第3者たちに対する聞き込みによって、1人の人間が様々な立場・角度から観察され、それぞれの言葉で性格付けされていくのは面白いし、そこをとてもじっくり、風通しの良い語り口で描いているのも好印象。だけどそれだけ人物描写が優秀だから、一方の物語描写の大人しさに燃えきれず。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月22日
『愚行録』主人公が事件を追う記事を書いてるのは写真週刊誌だけど、映画自体はそういう見せ物的な軽薄なノリとは正反対の、シックで落ち着いた思慮深いタッチ。『怒り』がハマった人は本作もお気に召すと思うけど『怒り』よりぐっと大人っぽい、良い意味でアンニュイな枯れた感触が終始貫かれた映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月22日
『愚行録』観る前はけっこう濃いのを覚悟してたけど、そこに関してはかなり肩透かし感。流れてる瞬間瞬間に対しては間違いなく面白さを感じるけど、連続性のある物語として見たときにパンチが弱い。全体的にアンニュイで脱力気味のムードが、良くも悪くもそこで何が語られようとも、こざっぱりと映す。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年2月22日
私的15位から28位まではこちらを。
・2017年1月の私的ベストシネマ