2014年の私的年間ベストシネマ 60選 (No.41 ~ No.60)
私が2014年に映画館で鑑賞した作品の中から個人的なベストランキングをまとめました。
超私的な感覚で1位から60位までを勝手に選びました。
作品鑑賞直後のツイートと併せてまとめましたが、そうした書き殴ったタイミングの特性上、感情の土石流みたいなツイートばかりで恥ずかしい限りではありますが、素晴らしい映画を観て楽しんだ思い出の証としては微笑ましいかなと(苦笑)
基本的に日本での公開が2014年の作品を基準に選出しましたが、中にはそうでないものもあるかもしれません。そのあたりはご容赦ください。
それでは、私的60位から。
60.『愛の渦』
『愛の渦』を観た。これ完ッ全に予想外すぎた!こういう映画だったのか。セックスとか乱交パーティーはあくまで完全にフィールドでしかなくて、テーマではまったくないように感じた。我々ふつーの人間誰もが抱えるブルースと、それを受け入れて今日も廻っているこの街についてのまっとうな映画だった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) May 4, 2014
『愛の渦』は享楽的な乱交パーティーを通して描かれる男女の欲望みたいなのを想像したけど、100%覆された。すみませんでした。享楽性や多幸感という香りは全くしなかった。そもそもそういうのをテーマにした映画ではなかったのね。街の中で静かに生きる普通の人々の身近なブルースがそこにあった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) May 4, 2014
59.『マルタのことづけ』
『マルタのことづけ』着飾ったり気取っり全くしない、静かに正直にありのままを告げる作品。そういう意味で私的に『めぐり逢わせのお弁当』の雰囲気や作風を彷彿。そして、尽きゆく母の命とそれを見つめる子供達という物語を描くにあたって、それは本当に最適な描写の仕方だと深く実感させられた映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) October 18, 2014
『マルタのことづけ』予想以上に、序盤からいたたまれない心持ちにさせる作品。もう少し、甘やかとはいかないまでも、温かい幸福さの提示などを想像してたけど、ありもしない幻想を創らないこの映画は、そういう甘ったれに対してはなかなかシビア。でもそれゆえ本当に嘘がない。現実感で埋められてる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) October 18, 2014
『マルタのことづけ』まだ若い彼・彼女達にとって、母親がHIVのため死の近くにいることは非日常などではなく、生活感の染み付いた日常としてある。それが本当によく表現された、空気で語る映画。オープニングから一定の緊張感と不安を日常生活の中で通底させている。わざとらしさ皆無な誠実な作品。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) October 18, 2014
『マルタのことづけ』本編は音楽ほぼ皆無で、演出も物語も着飾ることはしていないので、重く辛い問題を抱えた日常の緊張感と疲労感がリアルな質感で入ってきて苦しかったけど、エンドロールに入ったら今年の映画でもNo.1級のお洒落さキュートさのクレジット映像が始まって、その明るさに救われた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) October 18, 2014
58.『her 世界でひとつの彼女』
『her/世界でひとつの彼女』を観た。劇中に登場する、“恋愛は社会的に受容された狂気”という台詞は、素晴らしい恋愛映画の存在そのものの本質を捉えたような心に刺さる言葉だったけど、この映画自体はそのレベルに達していないというのが正直な感想。題材のわりに新鮮な感覚はなく、長く感じた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 28, 2014
『her/世界でひとつの彼女』ロケーションも映し方も音楽もすべてが洗練されていて美しく、雰囲気はものすごく素敵。だけど、ストーリーや台詞からはあまりに新鮮さが感じられなかった。一番ハッとしたのが、最後にArcade Fireの「Supersymmetry」が流れ出した瞬間だった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 28, 2014
『her/世界でひとつの彼女』セオドアとの離婚を成立させるにやって来たルーニー・マーラ演じるキャサリンの綺麗可愛さが私的に究極すぎた。苦渋の中でやっと離婚を決めたのにあんな綺麗な姿で表れられたら、立ち直れないにも程があるだろと思った。 pic.twitter.com/Qgl4Vn9sBa
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 28, 2014
アーケイド・ファイアの『リフレクター』と『her』のサントラが同時期制作で、(米国では)公開も同時期だったのは必然としか思えない、とか考え調べてたらこんな記事を。やっぱりあの曲は元々AL収録用じゃなくて映画の為の書き下ろしだったよう。 http://t.co/mJWR3MDumK
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 30, 2014
『her』で度々登場するセックスは、互いのオナニーを想像の中で見せ合いながらのそれがデフォルトで、それはアーケイド・ファイアが反射鏡と名付けた新作で取り扱っている主要テーマと深い関連性がある。勿論セックスというのは分かり易い象徴にすぎず、現代における自我と愛情の成立のさせ方の話。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 30, 2014
57.『リュウグウノツカイ』
『リュウグウノツカイ』を観た。予想を遥かに超える見応えと興奮と楽しさと奥深さ。“女子高生たちの集団妊娠”という扇動的な題材をも軽々と凌駕する幾つもの多面的な刺激と問題提起を四方八方に放りつけながら、それを60分に濃縮させてしまう。今年の夏の映画の裏“台風”的存在。ぶっ飛ばされた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 13, 2014
『リュウグウノツカイ』道徳も背徳もすべて無邪気に蹴散らす少女たちの天真爛漫さと、幾つものシリアスな観点を生々しく見せつける作者の冷徹な思慮深さのとんでもなくマジカルなバランスが、本能を刺激するような絶大な興奮を生み出している。それは開始からたった5分間でこれでもかと明らかになる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 13, 2014
『リュウグウノツカイ』中森さんが指摘したように「愛」(という前時代的クリシェ)が出てこない珍しい映画で、さらには結末さえも拒否した作品。でもそれこそが本当の10代でしょう?終われない日々をがむしゃらに駆け抜けていく。希望は他人に期待するものでなく、自分で作るもの。新しい青春映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 13, 2014
56.『デビルズ・ノット』
『デビルズ・ノット』を観た。スリリングなミステリを構えて観始めた序盤はさらっと平坦なテンポ感と全体的に素っ気ない描写に微妙かもと感じたけど、これは繊細で神経質な駆け引きをじっくり満喫する上品な法廷バトル映画なんだと分かってからは途端に面白くなり、夢中で引き込まれた。心地よい熱量。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) November 16, 2014
行政や世相の抱える固定観念や悪意に対し、負け戦だとしても満身創痍で立ち向かう正しき真実を追求しようとする情熱。その行方を見届けた今年の映画といえば『チョコレートドーナツ』があるけど、『デビルズ・ノット』もまさにそういった映画。後者は感情的な部分は抑えて、より冷静に闘いを描写する。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) November 16, 2014
55.『チョコレートドーナツ』
『チョコレートドーナツ』を観た。予想を遥かに超えた“切実さ”を核心に抱えて重く迫ってくる痛切な一本。想像もつかなかった程これでもかと地に足の着いた作品。地に足を着けて希望を謳うにはどれだけの悲しみと痛みを見過ごすのか、又は受け入れなければならないのかという懸命で真摯な現実の描写。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) September 7, 2014
『チョコレートドーナツ』大変なロングランだし、あらすじ等の情報からも“温かいヒューマンドラマで泣ける感動作”だと勝手に思ってた。だけどそれはかなりズレていた。社会的なメッセージ性を非常に強く持ちながら、それも両立させたどんな観客にも確実に訴えかける力を保持した“強い”作品だった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) September 7, 2014
『チョコレートドーナツ』最近観た映画の中でも際立って、悲しみや痛みや不条理に対するやるせなさをそのままの重さと形状で観客に授ける映画だった。そういう感情を物語の中で別の何かに転化してしまわない、克明に痛みを私達に残して終わる。心もとなさを残す幕引きのタイミングもそれを象徴してた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) September 7, 2014
54.『アデル、ブルーは熱い色』
『アデル、ブルーは熱い色』を観た。同性愛を扱っていること、赤裸々なセックスシーンがあること等が掴みとして話題の作品だけど、もうそんなの構成要素のひとつであり、それ以上でもそれ以下でもないほど、誠実でまっすぐな「恋愛映画」としてしっかり完成し尽くしてる。その点で傑作なのだと感じた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 29, 2014
『アデル、ブルーは熱い色』、あえて同性同士の恋愛に標準を合わせてることも(主人公のアデルは同性愛者というわけじゃない)、赤裸々なセックスシーンを繰り返すことも、すべてはひたすら本質的で現実的な本物の「恋愛映画」を成立させるためなんじゃないかと思えるけど、まっすぐで純粋な恋愛映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 29, 2014
『アデル、ブルーは熱い色』は切実で嘘のない恋愛映画と青春映画の真ん中でもあると思う。アデルは寂しさから目を逸らされてくれる存在としてエマに惹かれ始め、その恋愛の寂しさから逃げずにはいられなかったためにエマを失ってしまう。未熟な時期の恋愛とは寂しさからの解放がテーマなんだと分かる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 29, 2014
53.『弾む心を道連れに』
『弾む心を道連れに』を観た。こちらも予想以上にずっと素晴らしい作品。前半と後半をインターミッションで分けて、前半のみでも十分ある程度の映画として発表できる内容を見せておき、そこにどんでん返し的内容の意外性を持った力作展開を繋げるというのがインド映画王道のようで。本作もまさにそう。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) October 19, 2014
『弾む心を道連れに』前半は未だインドでは根深い問題と思われる子の結婚相手を親が決めてしまうという壁を前に、報われない両思い大学生カップルが駆け落ちをキメてインド中を転々と逃避行し続ける壮大な恋愛ロードムービー。富裕層の2人が旅を通してインドの様々な景色を体験していく過程も面白い。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) October 19, 2014
『弾む心を道連れに』後半は、駆け落ちし始めの頃は輝かしかった2人の愛も、心身休まらない逃避行と尽きゆく資本の果てにボロボロになってゆき、逃避行も遂に…という前半の終わりから大きな傷を負って振り出しに戻った2人の行方をじっくりと描いていく。この作品もロードショーしないのは勿体ない。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) October 19, 2014
『弾む心を道連れに』は監督によるトークショーもあって、監督の穏やかで知的な人柄も併せてすごくよかった。『弾む心を道連れに』が駆け落ち逃避行ロードムービーなのも、映画としての楽しさという狙いだけではなく、インドにおける地方間の大きな貧富の格差を伝える為のロケ選びという意図を知れた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) October 19, 2014
52.『ダラス・バイヤーズクラブ』
『ダラス・バイヤーズクラブ』を観た。買春・薬・賭博に浸かりきった下衆い毎日を描くありふれた序盤から、まさに本作の肝である中盤以降の、絶体絶命だからこそ今まで着ることもなかったスーツを着こなし世界中を飛び回る、どんな時も必死で生きる男に変貌した姿に時を忘れて夢中になった。良い映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 28, 2014
『ダラス・バイヤーズクラブ』ウッドルーフとレイヨンは一緒の道を歩み始めたのに、それでもウッドルーフには出来て、レイヨンには出来なかったことがあって、その違いが最終的には…っていうところで、レイヨンの気持ちとか心理を考えることが一番そそられる。自分がどっちか本当に分からないから。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 28, 2014
51.『ジャージー・ボーイズ』
『ジャージー・ボーイズ』4人の奏でる音楽の素晴らしさに心底酔いしれた。実話ベースの物語なので、映画的に派手な演出は控え目な作品だけど、その分バンドにぴったり寄り添う丁寧な親密さに貫かれていて、甘い音楽と背中合わせのビターな音楽家人生が互いに引き立て合って豊潤な味わいを生んでいる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) October 5, 2014
50.『FORMA』
『FORMA』を観た。エンドロールが始まった瞬間、ええええぇぇぇ〜これで終わりですか!!!2H25Mの映画だけど、あと1時間続いていいからどうかその先を見せてくれお願いだ!!と切望せずにはいられず、エンドロールをこんなに前屈みになって眺めた映画も初めて。あの後が気になりすぎる。。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 28, 2014
『FORMA』好評につき来週もレイトショーで上映続行とのこと。大阪や九州でも上映されるよう。本日の上映後のトークショーでは作中の最重要シーンの脚本コピーが配られ、監督と脚本担当による完成までの道のりを聞くことができて、とても楽しめた。 pic.twitter.com/3dMMpDMwUr
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 28, 2014
『FORMA』を観て感じた事が、1ヶ月前に観た映画の感想ととても近かった。近しいところのある2作だけど見応えは『FORMA』が圧倒的。私達の人間関係を正確に描写しようとすれば、それはそうしようとせずともサスペンスやミステリの型を成す https://t.co/GiZ0ZBO14n
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 28, 2014
『FORMA』を敷き詰める心臓に悪い(のに映画と分かれば虜になってしまう)不安感は、この映画がサスペンスの演出としてそれを創造しているからではない。そんなヤラしいことは全くされていない。だからこの映画は魅力的で特別。私達全員は人間関係に不安だし、心臓に悪い。その極めて真摯な描写。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 28, 2014
49.『鬼灯さん家のアネキ』
『鬼灯さん家のアネキ』後半の堪らなく絶妙なラブフールズドラマは、最近新作を観たのもありホン・ サンスを彷彿したけど、ここまで普通の人間が抱える普通の愚かさを愛しく、楽しく、優しく描けるのは今泉監督だからこそと感じた。人が人を愛しく思う時、きっとそれは情けなさを愛しく思うんだろう。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) September 6, 2014
『サッドティー』は沢山の愛すべきラブフール達が次々にリレーしていって、それが進む度に尋常じゃなく面白くなっていく傑作なので、その構造の放つ魅了の方によりゾッコンだったけど、『鬼灯さん家のアネキ』は特定のカップルに的を絞っている分“好きって何?”を巡るドラマとしてより深く味わえた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) September 6, 2014
48.『共犯』
東京国際映画祭で『共犯』を観た。リアルな青春映画とサスペンスが見事に溶け合った期待を裏切らない観応え。まさに上半期私的3位に選んでいた英国映画『ユー・ウォント・ミー・トゥ・キル・ヒム』 https://t.co/t8cMF5WHm8 に対する台湾映画からの堂々の回答といった印象。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) October 25, 2014
『共犯』前作『光にふれる』の優しい木漏れ日を浴びたような透明感溢れる美さと清らかな情緒が溢れる画面から一転、遺体の血液までリアルに映すグロテスクさの許容は一見作風が真逆にいったように思えるけど、少し観れば分かる。映像や音楽への細やかで洗練されたあの素敵センスは俄然生き生きと鮮明。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) October 25, 2014
『共犯』ある女子高生の飛び降り自殺現場に偶然居合わせた男子高生のデコボコトリオが真犯人の解明に挑もうとするが…という物語。サスペンス要素以上に、現代を生きる普通の高校生達の生活と心にフォーカスを当てていて、現代の10代のコミュニケーションの在り方を紡ぎながら物語を進行させていく。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) October 25, 2014
東京国際映画祭で上映された『共犯』、エンディングテーマを担当しているのが日本のポップバンドflumpoolなので(この映画のために元々は日本語詞で作られた曲を中国語詞で歌唱)今後、日本でロードショー上映されることが確実と思われます。 pic.twitter.com/Pko6TMxFTa
— SunCityGarden (@SunCityGarden) October 25, 2014
今日のTIFF『共犯』で、チャン・ロンジー監督が台湾映画業界の転換点として2008年の『海角七号 君想う、国境の南』をあげて、この作品を機にそれまで映画を創ってこなかった人も創るようになったと話していた。未鑑賞なので早急に観ます。 pic.twitter.com/9t8crcp1r8
— SunCityGarden (@SunCityGarden) October 25, 2014
『共犯』“嘘も皆が信じれば真実になる”、“教師のキャラを冷たくしたのは生徒に共犯感覚をもたらすため”など、事件上の共犯というフレームを超えて、もっと広義の“共犯”を意味しているところが面白かった。SNSで文字を打って誰かの事を書けば、自分の知らないところで誰かの共犯者になってる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) October 25, 2014
秘密主義的な人にとっては誰を好きになるきっかけに、それが一方の思い込みだとしても共犯関係感はもの凄く重要だと思う。まぁ自分のことなんだけど(苦笑) 共犯感覚を持てるかどうかでは愛おしさの次元も性的な魅惑度の次元も桁違いだから、裏の顔を予感させる人にいつも惹かれる。腹黒さ大好き。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) October 25, 2014
47.『ソニはご機嫌ななめ』
『ソニはご機嫌ななめ』を観た。個人的に不機嫌な映画は好きではなくて、なので正直『ヘウォン』のついでくらいの気持ちで入ったところあったんだけど、完全に良い意味で期待を裏切られた。面白い映画、楽しい映画なら『ソニ』の方だったんですね、これはやられた。よかったー。ロメール好きはマスト。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 24, 2014
エリック・ロメールの『夏物語』に見る男子の情けなくて滑稽などうしょもない可笑しみがツボの方なら、ホン・サンスの新作『ソニはご機嫌ななめ』は本当にお薦め。ラストの感じは、『夏物語』で止むを得ず3股になってしまい、電話がかかりまくってくるシーンの楽しさを連想せずにはいられなかった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 24, 2014
46.『渇き。』
『渇き。』を観た。私達は映画の中なら何をやっても許されるし、どんな映画を観ても許される。ぶっ殺しまくりぶん殴りまくりシャブ漬けで血塗れで車ごと突っ込みまくる。その全てが強烈な興奮として襲いかかってくる本作はもはや合法ドラッグか人体実験の如くハイパーな体験。極限的にエネルギッシュ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 29, 2014
『渇き。』はひたすら強烈なアンモラルシーンの連続に次ぐ連続で、後半はお腹いっぱいなりかけたけど、それでも最後まで付き合えて、さらにはあんなクソ親父でさえ味方したくなったのは、ここぞというシーンでの音楽の使い方がキマってたから。屋上シーンでのソウルミュージックの肯定力は最高だった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 29, 2014
45.『インターステラー』
『インターステラー』を観た。もうぉとんでもない怪物だこれは!!怪物映画じゃなく怪物そのもの、宇宙そのもの。幾度もビッグバンを繰り返す宇宙のごとくどんな映画か掴めたと悦に浸るも束の間否応無しに次々と全く違う種類の体験へと観客を誘う。観る映画ではなく、これは体験そのもの。究極の体験。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) November 24, 2014
『インターステラー』“SF超大作”とか“感動の父娘愛”等のベタで大袈裟な枕詞に引き気味な人をまずは前半で完全に黙らせる。これはSFというより純粋な科学映画と感じたほどに、徹底的に嘘っぽさを排除した極めて冷静で現実的な宇宙体験描写に、映画的想像力と科学的接近の臨界点を感じて震えた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) November 24, 2014
本作はヒューマンドラマとしては序盤から粗さが目立つし、物語は突っ込みどころが多い。それでも、これだけ不自然さなく現実感と臨場感を全開にして観客に宇宙移動体験や次元突破体験、地球外惑星体験の数々を体感させる緻密な根拠と想像に基づいた徹底された描写は疑いなくクラシックの風格を感じた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) November 24, 2014
『インターステラー』感情的な描写を抑え、努めて冷静に科学的アプローチと想像の臨界を試みた前半の宇宙体験再現の見事さに感動していると、感情の露出がありがちな物語を回し始めることでクールに保たれていた画面の温度を無駄に上げてしまう中盤以降は映画としてやや失速してしまう感があった。が、
— SunCityGarden (@SunCityGarden) November 24, 2014
そこから本作はまさかの変態を遂げる。SFかと思ったら意外にも地に足の着いたミステリ→あまりに魅力的な必見の科学映画→定番すぎる人間ドラマときて、その果てには予想だにしなかったウルトラサイケデリック覚醒体験に包まれた。もうそれで細部は全てぶっとんでしまい怪物だとしか思えなくなった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) November 24, 2014
『インターステラー』とにかくズルい映画だと思った。非の打ち所がない、じゃなく、ちょっとやそっとの非くらい全部忘れさせちゃうほど幾つもの直感トリップガチ体験をもたらす映画。SFだからって敬遠してる人も、本作は子供騙しっぽさ徹底排除で、それでいて極上の宇宙体験が出来るので観て損なし。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) November 24, 2014
44.『天才スピヴェット』
『天才スピヴェット』を観た。膨らんでた期待に完璧に応えてくれた非の打ち所のない素晴らしい一本。心に傷を抱える10歳の天才科学少年がたった独りで決行する、米西部モンタナからワシントンへの壮大な大陸横断の大家出を瑞々しさと楽しさいっぱいに美しく描く。この秋一番誰にでも薦められる映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) November 16, 2014
『天才スピヴェット』親子連れにも、デートにも最適だし、熟年の映画ファンが一人で観ても物語は素朴ながら細かいところまで楽しさいっぱいに丁寧に作り込まれてるので、これほど幅広い層を等しく高い満足度で満たしてくれる映画は貴重だと思う。よっぽど濃いのオンリーな方以外は外すことがないはず。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) November 16, 2014
43.『サンシャイン 歌声が響く街』
『サンシャイン 歌声が響く街』を観た。英国リースの仲良し家族を中心とした人間関係とそれぞれが新たに向き合うことになる人生問題を温かい視線で繊細に描く心優しい映画。老若男女の主要人物達に対して全員に等しくフォーカスを当てているので、誰が見ても自分の胸に刺さる描写を見つけられるはず。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 2, 2014
『サンシャイン 歌声が響く街』映画は厳しい兵役を終えた若者達が故郷の街へ帰ってくるところから始まるのだけど、その勢いまかせ感もありつつの希望に満ちた開放感が本当によく表現されていて、序盤の健気な明るさには心から魅せられた。金曜土曜の夜に観たらめっちゃ癒されるであろう最初の30分。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 2, 2014
『サンシャイン 歌声が響く街』ミュージカル映画でありつつも、唄によって逆に物語や人物の心の機微を繊細に観客へ届けるということが埋れてしまうというミュージカル映画にありがちなことを華麗に回避している点が素敵。特に前半は唄の登場が普通の映画の挿入歌のように感じられるほど絶妙な自然さ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 2, 2014
[https://twitter.com/SunCityGarden/status/495563231990001664:embed#『サンシャイン 歌声が響く街』ミュージカル映画だけどミュージカル映画王道の野暮ったさは極力抑えて、それでも数々の唄が優秀な演出で物語を盛り立てていくという洗練されたバランスにずっと魅せられていたけど、終盤に近づくに従ってどんどん王道のミュージカル映画になっていったのは惜しかった。
42.『ほとりの朔子』
『ほとりの朔子』私的上半期ベストの一本にも選んだ『プールサイド・デイズ』と通じ合うところが多々ある作品。夏休みの数週間を親の家族が住む海沿いの田舎の町で過ごす、移動は勝手に借りた自転車、クライマックスでは大人を許せずプチ家出、小さな恋、そしてタイトルは水辺…いっぱいリンクしてる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 5, 2014
『ほとりの朔子』主人公である朔子には実は目に見える形ではほぼ何も起きず、物語に波を立てる出来事を演出していくのは周りの登場人物達。でも、それを見つめる眼差しの持ち主が、若くて人格形成の途上にある「普通の少女」の朔子であるという点こそが、この作品が特別に素敵なものである主因と思う。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 5, 2014
『ほとりの朔子』こうした映画の主人公が少年少女であることは重大で、なぜなら子供は大人と違って、物事を簡単にジャンル分け(判別/区別)しない/できないからだと思う。本作も朔子を純粋な少女とすることで、家族も将来も仕事も恋も震災も原発も平等な温度で並列に扱えている。そこがとても好き。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 5, 2014
『ほとりの朔子』では深田監督のトークショーもあり、ロメール狂いと言えるほどエリック・ロメールが一番好きな監督と。スタンダード・サイズの採用や、『夏物語』を彷彿とさせる日付の仕切り挿入や衣装などなど、春に早稲田松竹で『四季の物語』を観れたおかげで、そういう楽しみ方も出来てよかった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 5, 2014
41.『ショート・ターム』
『ショート・ターム』を観た。本作が賞レースでも観客の採点でも圧倒的評価を得た理由は、描かれるべきテーマが、描かれるべき視点から描かれているから。映画にこうあるべきなど無い。それでも本作は鑑賞した誰もから“一人でも多くの大人に観て欲しい”という切実な思いを引き出すと信じて疑わない。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) November 15, 2014
『ショート・ターム』大人は一時の愛情に魅せられて、子供を作る。だけど、作った後自分の子にどんな対応をしてる?子の視点からは決して許せない行動を取ってしまう親がいて、子は傷つき、大人になっても心は治らない。本作はそれに対してそういう子供たちだけで立ち向かった闘いの掛け替えのない証。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) November 15, 2014
『6才のボクが、大人になるまで。』は子供達が両親の不和や家庭内暴力に振り回されながらも、母さんがいざという時行動力があるので幾度か父親が入れ替わりつつも家庭の中で18才まで育つ作品、『ショート・ターム』は家庭では生活できない18才以下の子供達が集められて短い期間を共に過ごす映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) November 15, 2014
『6才のボク』タイプの子に『ショート・ターム』を観て欲しいって凄く思った。独りぼっちじゃないって思えるので。『6才のボク』タイプは帰る家も通う学校もあるけど、親から受ける苦しみや悩みなんて学校の友達には到底打ち明けられないし、家を出ることもできないから、本当に孤独な苦しみがある。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) November 15, 2014
『ショート・ターム』主人公の女子が婚約した彼から「話してくれないと君が心を開けない理由も分からないから、どうか悩みを話して」と懇願する場面があるけど、子供の頃に親や家庭のことで苦しんだ痛みについてなんて、本当に誰にも言えない。言えっこない。だからこの映画の存在は本当に意義がある。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) November 15, 2014
『ショート・ターム』は心ない親の元に生まれて孤独な苦しみに囚われてきた施設入居者の子供達や今は大人になりスタッフとして働く主人公のグレイス達が、それでも明日も続くタフな現実に決してやられてしまわぬように、深い傷跡で繋がり合いながら生きる希望を紡いでいく姿を丁寧に優しく描いた映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) November 15, 2014
『ショート・ターム』には、胸に秘めた耐え難い苦しみを自作のラップで表現する少年も登場して、まさに目の前で本物のヒップホップが生まれる瞬間にも立ち会えるのでラップファンにもお薦め。このエンディング曲も素敵なラップソング。ポスターに涙目。 http://t.co/DpiRu9sphZ
— SunCityGarden (@SunCityGarden) November 15, 2014
悩みや本当の気持ちを話すべき人には話た方がいいし、そうすべきこともよく理解してる。だけど、逃げ出す術のない子供の頃に親から痛みを受けた経験は、本心を奥の奥まで追いやってしまって、誰にも心を打ち明けられない体質にしてしまう。そんな者にとって映画や音楽はただの娯楽を超えた心の支えだ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) November 15, 2014
なので独り暮らしを始めた瞬間に色々なものの趣味が途端にチャラく(軽く)なり出したり、自分の方から軽やかにしてくれるものを求め出したりする。それでもたまに『ショート・ターム』や『6才のボク』みたいな映画を観る機会があると昔を思い出して、今でも本質は変わってないなーとか考えたりする。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) November 15, 2014
私的40位から21位まではこちらを。
私的21位から1位まではこちらを。