2017年1月の私的ベストアルバム ~ James Vincent McMorrow 『We Move』

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2017年1月の個人的なベストアルバムは、The xxの『I See You』と同率で(つまり、それはもうズバ抜けて目を見張る素晴らしさということです)James Vincent McMorrowの3rdアルバム『We Move』に決定。

 

まずはアーバン・スウィートとも形容できそうなアルバムの中でも、とりわけスウィートでエレガントなこの曲を。

そもそもこのアルバムのオリジナルリリースは2016年9月なので、なにが2017年1月のベストアルバムだとつっこまれそうですが、P-VINEから日本盤がリリースされたのが2016年の12月23日だったので勘弁してください。今年に入ってからタワレコの試聴機で出会いました。

 

例えばThe xxの新作『I See You』では、彼らの楽曲ではかつて存在しなかったほどスウィートでハートウォーミングなムードを纏った側面、「On Hold」や「On Hold」や「Say Something Loving」といった最高の楽曲たちが印象付けるムードが特徴的ですが、もうその3曲がドストライク!という私みたいなリスナーからしたら、このJames Vincent McMorrow の『We Move』というアルバムは、全曲が好みのど真ん中みたいな作品です。

好みのど真ん中、というか、今個人的に一番聴きたいポップミュージックのスタイル、を体現してるのが、先に挙げたThe xxの新曲群であり、このJames Vincent McMorrowの新作でした。


アルバムのオープニングを飾るこの曲などは、The xxが新作で披露した軽やかでポップな面が好みのリスナーなら、けっこうイイ感触を感じるのではないかと思います。軽やかすぎるかもしれませんが…

 

James Vincent McMorrow がこの新作で披露しているスタイルこそが、現在のインディ・ポップの一番ド真ん中を体現しているように感じています。ただの好みだと言われればそれまでですが、個人的に今のインディ・ポップはこういう在り方が標準形になったのかなと。

当たり前のようにR&Bエレクトロニカの要素がベースを通底するムードとなっていて、その上でソウル・ミュージックにアーバンでモダンな独自の解釈を加えているもの。

そういったもの(旧来であれば“インディ”からは遠かったはずの音像)が、インディ・ポップにおけるメインストリームまでやってきたのが今。そう感じています。

そして、それを目を見張るクオリティーと洗練された親しみ易さで実現している、象徴的な作品こそが、このJames Vincent McMorrow の3rdアルバム『We Move』であるとすることで、月に1枚で会えたら歓喜レベルの傑作として今月のベストアルバムに選びました。


私なんかはこのアルバムを聴いていると、これはFrank Oceanの『Blonde』へのインディ・ポップ側からの回答ともいえるテイストがあるなーとすら感じる時があります。

リリース時期を見るとそれは現実的な考えではないのかもしれませんが、サウンド的にはまさにそういった旬なスタイルをインディ・ロック的に継承してる面があるように思います。

とにかく、あまり話題になってないようなので、多少強引な説も交えながら、それでも確かなこのアルバムの魅力を伝えるべく、この記事を書いてみました。

今月はShy Girlsの新作も出ましたね。すごく期待してたのですが、正直微妙で。2013年の「Still Not Falling」や「Second Heartbeat」のとろけるようなスウィートさを透き通った洗練さで表現したハートフルなソウルが大好きだったのですが、Shy Girlsの新作からはそれを感じられず、それを感じられたのが、まさにこの James Vincent McMorrow の『We Move』だったという。だから余計このアルバムを推してるところもあるのかもしれません。Shy Girlsに勝手に寄せていた期待に、完璧に答えてくれたアルバムが同じ時期に出ていて満足しちゃった。

それからCloud Nothingsの新作も個人的には微妙で。アルバムから一番最初に公開されたリード曲はすごくよかったんですが。

一方、期待をずっと超えてよかったのが、Foxygenの新作『Hang』。これはね、先行で公開されたリード曲「Follow the Leader」もよかったんだけど、アルバムはまったくもってそんな比じゃなかった。というか、良い意味で時代錯誤感もとい、タイムスリップ感がすごいアルバムで、とにかくアルバムとして世界観がデキ上がりまくってるから、キラートラックを探すなんてセコイことは向かない、全曲を通して浸りきることに味わいがある力作。音楽的に非常に楽しくゴージャスなので、すんなりアルバム1枚聴き切っちゃうと思います。そして、David Bowie生まれ変わったのか!?なんていう錯覚を楽しめます、声も歌い方もまんまBowieがあってすごいの。

 

というわけで2017年1月の新作音楽、私的ベストは

1. The xx 『I See You』

1. James Vincent McMorrow 『We Move』

3. Foxygen 『Hang』

の3枚を挙げておきます。

 



そして私、Spotifyを始めた後の方が、タワレコの意義が向上した、というか、タワレコに行くのが楽しみになった。

最初からリリースを楽しみにしてるような知ってる作品の場合は、すぐにフルでSpotifyで聴けてしまうからこそ、存在を知らない作品に出会うために行く場所になった、完全に。

だから目的がはっきりして行くのが楽しくなったんだと思う。

自分の中でタワレコは完全に音楽のセレクトショップになった。現実は最初からもちろんそうだったんだけど、その意義がSpotifyを使うようになってすごくはっきりしたと思う。

知ってるアルバムは店頭では試聴しなくなったから。

あと、それはネットで知らない音楽を知ろうとする行為とは違うと思う。特に自分はそう。

映画館で映画を観るのと、自宅で映画を観るのとの違いに近いところがあって、集中して音楽を聴けるのはやっぱりCDショップとかレコード店なんだと思う。

だからこれからも、CDは買い続けるんだろうなーとは思います。そういう場所を提供してくれることへの、お店へのサービス料金でもあると思う。だからやっぱり1週間に1枚は新品を買いたい。そんな風に感じているこの頃です。