2018年11月の私的シネマランキング (No.1 ~ No.17)

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私が11月に映画館で鑑賞した新作映画について、個人的によかった順番に並べて感想をまとめました。

11月はMOOSIC LABで短編作品を含む数多くの作品を観たこともあり、37作品を観ました。

出来ればMOOSIC LABのエントリー作品はそれだけでひとつにまとめたかったのですが、11月中に全部を観ることが出来ず、未鑑賞2プログラムを残した状態で、今となってはちゃんとチケットを入手して観られるのか自信がなくなってきつつある状況。特にHプログラム…。出来るだけがんばりたい。

 

今年のムーラボの印象は、現在までのところ、昨年の私的ベスト2本『少女邂逅』や『聖なるもの』級の異次元レベルの傑作には出会えていない印象です。『なっちゃんはまだ新宿』と拮抗するかな、という観応えのものが『下鴨ボーイズドントクライ』と『無限ファンデーション』の2本。だけど、今年は短編のレベルが総じて高めなので、とても楽しめるムーラボになっている印象。

ムーラボは作家が若いので、必然的に青春映画が多くなってきます。それらを観比べる中で、優れた青春映画に共通する要素が実感として分かってくるようになる気がします。

例えばそのひとつとして、「今という瞬間に注がれる、切実なる喪失の予感」というものがあるのではないかと感じています。

少女邂逅』や『なっちゃんはまだ新宿』に充満していて、篠田和典監督の前作『左京区ガールズブラボー』に薄かったものがそれではないかと思います。

左京区ガールズブラボー』にも青春の喪失が描かれていましたが、そこまで切実なそれではなくて、まだまだモラトリアムを謳歌する大らかさが全編にあり、それがまた作品の魅力でもありました。

篠田監督の今年の新作『下鴨ボーイズドントクライ』は、遂にそれを手に入れた、というより、全編が「今という瞬間に注がれる、切実なる喪失の予感」そのもので出来ている、凄まじく堪らない観応えでした。

前作は魅力の半分がセンスで構成されている印象も受けましたが、今回はそこも全く違って、センス描写が小物演出の域を出ないほど、物語の本質描写に力が注がれていて、それに大成功している印象。というわけで、現時点で個人的なムーラボ2018のベストは『下鴨ボーイズドントクライ』です。

 

前置きが長くなりましたが、以下11月に観た新作の私的ベスト1位からです。

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2018年10月の私的シネマランキング (No.1 ~ No.12)

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私が10月に映画館で鑑賞した新作映画について、個人的によかった順番に並べて感想をまとめました。

10月は東京国際映画祭の勢いも借りて、26作品を観ました。

なお、ジョージア映画祭で鑑賞した『微笑んで』は、厳密には2013年の大阪ヨーロッパ映画祭で日本上陸を果てしていますが、関東の映画館では今回が初上映だったかと思うので入れています。

 

加えて、10月の新作以外でのトピックは念願中の念願だった、ミカエル・アース監督の前作『サマー・フィーリング / この夏の感じ』を遂に、遂に、遂に、スクリーンで観ることが叶った事です。

『サマー・フィーリング / この夏の感じ』は昨年1月~2月に開催された「マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル2017」で初鑑賞し、瞬く間に心の底から恋に落ちた1本でした。

当時の記事でも「とにかく!『サマー・フィーリング』をどうか映画館で観られる機会をください!!去年『彼らについて』とか『カプリス』といった大変素敵なmyFFF上映作品を、大きなスクリーンで流してくださったアンスティチュ・フランセ東京さんに期待。。。」と、本作をスクリーン体験することの渇望を記していましたが、まさかそれがそのまま現実になるなんて!しかも、ミカエル・アース監督のさらに素晴らしい最新作『アマンダ』を観た次の日にそれが叶うなんて!さらに2日間とも監督、プロデューサーの実り多きトークショー付と、本当に高まった2日間でした。アンスティチュ・フランセ東京さんに心から感謝。『この夏の感じ』が終わっても、まだまだボルドー国際インディペンデント映画祭シリーズにとても観たい作品がたくさん!去年のカイエ週間特集での上映時は英語字幕だった『ヴァンサンには鱗がない』が、今回は日本語字幕になってるのも嬉しい。行けるだけ行きます。

 

というわけで前置きはこの辺にして、以下10月に観た新作の私的ベスト1位からです。

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