2018年9月の私的シネマランキング
私が9月に映画館で鑑賞した新作映画について、個人的によかった順番に並べて感想をまとめました。
該当の新作は19本。
それでは、以下9月に観た新作の私的ベスト1位からです。
1.『かごの中の瞳』
『かごの中の瞳』、観応えすごすぎ。果敢で鮮烈な映像演出を連発しながら夫婦それぞれの心理を繊細かつ立体的に描き上げていく。極めて映像的に語られる心理描写に圧倒される前半から一転、際どく揺れる夫婦関係を絶妙な距離感から切り込むドラマチックな後半へと変貌する構成も含め、極上の映画体験。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月29日
『かごの中の瞳』夫婦関係の危機を描いた傑作として、テン年代前半に『ブルーバレンタイン』が、中頃には『ゴーン・ガール』 があったけど、本作はテン年代後半のそれに堂々値する映画だと思う。映像表現としてのスケール感、示唆に富む多面的な視点から語られる2人の関係性の変遷…完全惹き込まれた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月29日
『かごの中の瞳』原題の『All I See Is You』は主人公の彼女による自作曲の歌詞「私が幸せな時、私の瞳に映るのはあなただけ」から来てるけど、この一節が示唆するものの辛辣さと深みに大いに唸らされた。誰もが、自分の存在意義を証明してくれる誰かに依存しながら生きていることに気付かされる映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月29日
2.『クレイジー・リッチ!』
『クレイジー・リッチ!』を観た。抜け目のない完璧な面白さが清々しいほど炸裂してる。目にも、耳にも、心にもゴージャスで楽しく、ロマコメ王道のセンチメント行程も余すことなく押さえてる。観る人全員を笑顔にするオークワフィナの最強コメディエンヌぶりは『オーシャンズ8』の時より5億倍魅力的。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月29日
『クレイジー・リッチ!』期待以上の面白さと爽快感。タイトルで掲げた名目上のテーマの割に、中身は最も健全なロマコメのスタイル、誰かと心が通い合っていることが人類共通の幸せであり人間の永遠のテーマ、を思いっきりやり通してる。とにかく各々の親友キャラとその関係性に激萌え出来るのが強い。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月29日
『クレイジー・リッチ!』絢爛豪華なのは絵だけじゃなく音楽もめっちゃ気前よくて最高。「Material Girl」とか「Can’t Help Falling in Love」とか王道中の王道を連発することに全く躊躇がないどころか現代における楽曲の価値をさらに高めてるし、結婚式でのスウィングなディスコ空間には完全蕩けた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月29日
Lordeの詩が大好きなので『かごの中の瞳』の台詞で”Perfect Place”って単語が出てきた時、ハッとして、一見この世でもっともPerfect Placesと呼ぶに相応しい世界を舞台にしてるように窺える『クレイジー・リッチ!』でも描かれるのは、結局“What the fuck are perfect places anyway?”ってことだった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月30日
3.『1987、ある闘いの真実』
『1987、ある闘いの真実』を観た。多面的な群像劇として繰り広げられる物語のスケール感も、人間描写の濃厚さも、ドラマとしてのスリルも、全てが超高水準で圧巻の見応え。ラブコメの価値観で生きてる私みたいな奴だからこそ自己投影し得るキャラもしっかり主軸の一面として描かれる趣の深さに激惚れ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月17日
『1987、ある闘いの真実』隅々まで熱量が充満した濃密な映画であることは予告編から十分伝わってたし、実際完璧にそうだったけど、ただ社会構造的に社会問題に対して熱量が濃い階層を押す出すだけじゃなくて、個人主義的な一般階層まで交えて描く引きの上手さ、群像劇として的確さ、秀逸さに惹かれた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月17日
『1987、ある闘いの真実』社会情勢を描く物語・映画として、真に理想的な作品。原題が年号のみの『1987』であることに大納得しながら唸る。本人の意思はどうあれ政治や情勢はその時そこに生きる全員の暮らしを操る一方、同時に社会とはその全員の個々の意思の集合体であること。その描き方の超秀逸さ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月17日
『1987、ある闘いの真実』全体の割合からしたら少ないけどラブコメ要素もあってキュンとなれるし、何より最初から最後まで一瞬の隙なく惹きつけられる半端ない吸引力をもった映画なので、普段社会派映画は敬遠しがちな人にも自信を持ってお薦めできる。私的には靴屋のおばちゃんが一番カッコよかった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月17日
4.『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』
『バッド・ジーニアス』を観た。青春クライム映画の新傑作。このジャンルでここまでのめり込めたのは私的に『ピエロがお前を嘲笑う』以来かも。後で130分もあったって知り驚き。進めば進むほど右肩上がりに面白さが増し続けるから、時間感覚なんて忘れちゃう。誰にでも自信を持ってお薦め出来る映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月22日
『バッド・ジーニアス』学園映画にありがちな青臭いセンシティブなエモ描写はセンスよく端的に抑えられ、クライム作戦練り上げ&決行シーンのスリリングな面白さとクールネスを右肩上がりで磨き上げていく構成が、凛々しく瑞々しい青春クライム映画を生み出していて新鮮。大人が観ても完全に楽しめる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月22日
『バッド・ジーニアス』学校の定期試験から始まり、終いには時差を利用するため国境を跨いで挑む超厳格な国際入試まで、本気で“究極のカンニング”が追求されきった映画だし、その行為そのものの超リアル描写も、そこまで彼女たちを駆り立てるエモーショナルな背景描写も一級品。オンリーワンの金字塔。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月22日
『バッド・ジーニアス』庶民だけど秀才の彼女と、ボンボンリア充な“客”たちによる幾つかのカンニング決行作戦が臨場感全開で堪能できるけど、本作の一番の魅力は、ここに登場するカンニング手法は基本誰でも実践可能な現実感を保ち続ける点。もし中高生の時、本作を観ていたら生涯の一本になったはず。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月22日
5.『輝ける人生』
『輝ける人生』を観た。予告編とあらすじ見た時はこの邦題でもまぁ有りかなと思ったけど、本当にめちゃくちゃ良くて、逆にこの邦題なんとかならなかったのかと思った。最高にフィールグッド映画。後半のロマンチックさに心が澄んだ。人生を限界まで遊び尽くすことの尊さを説得力全開で肯定してくれる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月8日
『輝ける人生』自分のビジョンや欲望の外側にある喜びや幸福感に触れる度に、人の心は幾度も生まれ変われて、それまでの固定観念や価値観の呪縛から嘘のように解き放たれることが出来る。狭い欲望や安心に囚われず、未知の楽しさに飛び込むことの尊さ=個人的なお洒落の原理、が瑞々しく描かれた映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月8日
『輝ける人生』主人公が途中から容姿を意識的に変化させる映画が大好きなので、本作の主人公が気持ちの変化とぴったりな髪型チェンジをした朝は嬉しくなった。もし気分が低いところで滞ってどうしょもない時は、とりあえず思いきって髪型変えてみるという力技があることを思い出させる素敵な変身映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月8日
6.『寝ても覚めても』
『寝ても覚めても』を観た。確かに物語は恋愛を描いたものだけど、映画としての切り口・ジャンルは実に多角的で、そのどれもが味わい深く、且つそのマッシュアップセンスが独特で勇敢でクセになる。私的には素直に可笑しめるラブコメテイストの匙加減が本当に絶妙で、意外なほどニヤけられてしまった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月8日
『寝ても覚めても』過去の濱口作品ではあまり感じられなかった、シックなラブコメをベースにした継続的なムード、というが中盤で存分に味わえて、だからこそその差異として『PASSION』を思い出すような堪らないヒリヒリシーンや、本作の主題が託された大胆なシーン達がより際立っているように感じた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月8日
『寝ても覚めても』英題が『ASAKOI&II』であることが作品の理解を深めてくれるように感じる。人は感情や感覚の対象が誰かによって、幾つにも、驚くほど、キャラクターが変わって分裂してしまう生き物だから、その認識をもって作品を再見すると、新たに気付けることがありそう。何度も観たくなる映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月8日
『寝ても覚めても』亮平は男でも惚れ惚れするほど魅力的な人間性を終始見せてくれるし、朝子はどんな場面でも透明感(という演出)をまとい続けているので、性格完璧なイイ男の振る舞い例や、他人から透明感を見出せさせる言動の特徴をわんさか得られるという点でもとてもポイントが高い映画だと感じる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月8日
7.『センセイ君主』
『センセイ君主』を観た。このジャンルの新金字塔と言うしか。いい加減にしか見えなかった「ニッポンの恋を明るくします」のコピーに今なら思いっきり頭が下がる。この無理難題をいやどうして明らかに実現しちゃってると断言するに至る、王道ラブコメ愛のフルテンションコースにひたすら破顔し続けた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月10日
10代の頃、ジュディマリの音楽を青春描写の聖典として心底愛したけど、「Over Drive」は歌詞の掴み所がわからず私的なベストから外れていた。『センセイ君主』の中で大人になって初めてその曲をじっくり聴き返して、その全てが最強リアルな曲だったって今更ブッ飛んだ。『センセイ君主』は大人にも◎。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月10日
『センセイ君主』超超超王道の学園ラブコメを今、ここまで本気で徹底的に面白く刷新しようとする唯我独尊の心意気に本気で惚れた。一瞬の隙も与えない勢いでやり抜いてる。作り手も本気で楽しんでやってそうなところがいい。EDでモータウンの名曲「I WANT YOU BACK」をTWICEがカバーしてるのも象徴的。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月10日
『センセイ君主』「美少女が美少女に見えてしまったら負け!」という意地を感じるほど全身全霊のコメディエンヌをやり通す本作の浜辺美波は、美少女が美少女のまま隙のないぶりっ子を演じてた『君の膵臓をたべたい』と比較にならないほど輝いてるし、今年これ以上のコメディエンヌは観れない気がする。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月10日
8.『あみこ』
『あみこ』真にリアルな17歳マインドの奔放で生々しいダダ漏れを、ちょっと偏屈女子・あみこに突如訪れた恋落ち会話から彼との2度目の接触に至る1年間に託す、青春映画なんてズルイ言葉では収まりがきかない人間描写映画。スクリーンの上で旨味が絶えず続いているから何時間でも観ていられそうだった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月22日
『あみこ』17歳マインドの奔放にして痛烈な描写とヌーヴェルヴァーグ的表現との相性の良さを生き生きと更新しつつ、後半では物語のスケールが一気に広がり、映画があみこを躍らせてるのではなくあみこが映画を躍らせてる様に惹き込まれた。最強のあみこに成った瞬間の気まずさと爽快さの臨界点に痺れた
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月22日
『あみこ』同級生が聴いてるイヤホンを聞いてみた時に「お、Radioheadじゃん!」とは言わずに「お、Lotus Flowerじゃん!」と言うところに、彼の男女問わずモテる秘訣が窺い知れた気がした。なるほど〜そういう距離の縮め方があるなーと。個人的にもLotus FlowerがRadioheadで一番好きだから高まった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月22日
『あみこ』好きになった男子から帰り道に賢いと褒められたあみこが、夜それを思い出して枕を抱いてド派手に悶えるという定番シーンがあるんだけど、それをここまで異様なテンションでやってる人は見たことないレベルでかましてて最高すぎたし、死ぬほど共感したし、あのシーンだけで既に元が取れてた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月22日
『あみこ』アンコール上映初日、完成した本作品を観て欲しくて監督からDVDを送ったという向井秀徳が、予告なしのスペシャル登壇。おそらく向井秀徳の大ファンで緊張している様子の監督に対し、椅子を寄せ、めっちゃ距離を詰めて語り出す姿が流石で笑った。秀徳曰く「冒頭2分で大好きになった映画」。 pic.twitter.com/psdDVrAaZO
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月22日
9.『四月の永い夢』
『四月の永い夢』を観た。タイトルに反して物語の舞台は夏なことや、そこで描かれる世界観や境遇も相まって、夏の終わりと秋の始まりが重なるこの時期の鑑賞がピッタリの映画だった。映画館を出て外の景色に舞い戻った時にこそ、本当の意味で作品が完結を迎えた感覚が駆け巡り、この題名に深く頷いた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月23日
『四月の永い夢』甘美で優しい音楽と眼差しに包まれたノスタルジックで美しい世界観や、主人公の社会に対する距離感が、本作を現実を始める前の心のインターバルを写したリアルな幻想世界として出現させている感覚があり、それはまさに今自分が映画館でこの映画を観ている体験そのものと重なっていた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月23日
『四月の永い夢』本作を観た後では名曲にしか聞こえなくなる赤い靴「書を持ち僕は旅に出る」が、1回目、挿入歌として流れるシーンが超ハイライトなのは問答無用だとして、2回目にこの曲が流れる時にその1回目を超える感動を抱かせるところに本作の魅力が象徴されている気がしたhttps://t.co/8XpexIySVa
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月23日
10.『彼女の場所で』
韓国インディペンデント映画特集『彼女の場所で』を観た。特集テーマは「リアルと悪夢の中での葛藤」だけど本作は終始写実的でリアル風情。そして大変な力作だった。物語として理には叶っているし、予想の範疇でもあるけど、絵にすると非常に衝撃的な結末。その後の母親を捉えた描写が特に秀逸だった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月29日
『彼女の場所で』基本的には大人の視点から描かれていく物語だけど、これを(自業自得とはいえ)恋人から引き離され、携帯電話も10ヵ月隠され続けたまま、家の近所だけで過ごす少女の視点から観た時に、12月に劇場公開されるイタリア映画『シシリアン・ゴースト・ストーリー』とリンクする部分を感じた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月29日
『彼女の場所で』母子家庭で生きる少女と母親が仲良しなのが後から切ないし、悪者はいないのに悲劇になってしまうのは、よく出来ていて理に適っているように見える社会の仕組みも、実は大人達同士のメリットを拾い上げただけで、子供達自身が一番望むことはひどく見落とされている事実を示唆する映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月29日
11.『きみの鳥はうたえる』
『きみの鳥はうたえる』を観た。見たくないもの = 面倒な社会と自分との間に暗幕が降りて自由な気分で居られる、怠け者たちに甘い時間帯。そんな夜の時間帯とそこに生きる若者達の描写がリアル。太陽の光の下では、佐知子を悲しませるヘタな言葉も佐知子の傷ついた表情も隠せないことが印象的だった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月10日
『きみの鳥はうたえる』まだ夜に暮らす(社会と繋がらなくても許される)生活に甘んじてる僕と静雄にとって、佐知子は夜と昼を繋げる存在なんだと感じた。1対1の恋愛も十分社会的な活動だと思う。そこで相手を傷つけて反省しながら、少しずつ昼間に暮らすことも覚えていくのが、大人になる、かなと思う。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月10日
12.『500ページの夢の束』
『500ページの夢の束』を観た。劇中歌として「Take Me As I Am」を含むAu Revoir Simoneの楽曲が3曲も流れて、あの頃ナイーブなインディポップに酔っていたリスナーには堪らないけど、それがピッタリの世界観が創造された映画。丁寧に繊細に描かれたリアリティを宿したお伽話は、爽やかで優しい甘さ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月21日
『500ページの夢の束』類似設定の物語を描いた映画として『天才スピヴェット』を連想せずにいれなかったし、あのクオリティ並みを求めると、どうしても本作は物足りなく感じてしまうけれど、心地よい時間を過ごすという意味では十分豊かな映画体験だった。良くも悪くも、ザ・ダコタ・ファニング映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月21日
『500ページの夢の束』全編に渡ってダコタ・ファニングの表現力が際立ちすぎているのと、他の主要キャラの個性描写が薄めなこともあって、よく言えば全編がクライマックスの観応えとも言えるし、悪く言えば物語の変遷を通じて語ろうとしてるテーマが間延びして薄まりがち。爽やかなお伽話感に留まる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月21日
13.『顔たち、ところどころ』
『顔たち、ところどころ』を観た。この面子にしてスノッブなムードを微塵も感じさせない旅であり、映画であることに驚く。市井の人々の飾らない現実的な人生を真正面から受け止めていく2人の、その柔軟で広い心の在り方に、ジャンルも年代も異なる2人を結びつけたアーティストとしての特異性を窺える。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月16日
『顔たち、ところどころ』映画の終盤でアニエスが61年に監督した『マクドナルド橋のフィアンセ』の挿入と共に、ゴダールとアンナと夫ジャックの4人で過ごした青春を回想しながら、ゴダールに会うためアポイントを取った彼の自宅へ向かうシーンで炸裂する、ゴダールらしい気まずさが凄い後味をくれる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月16日
『顔たち、ところどころ』この邦題は作品の主題を的確ゆえに重く映し出していると思う。どんな場所でも誰もがそれぞれの手段で生計を立てながら一生を送っていることが、当事者自身の言葉と声と表情でまっすぐ素朴に語られていて、その当たり前の重さに何度も気が遠くなる思いが。30年後にまた観たい。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月16日
14.『純平、考え直せ』
『純平、考え直せ』を観た。イメージに反して甘い胸キュンラブコメのムードが根底を成していて、中盤までは予想以上に良かった。たとえB級でもこの映画ぜんぜん好きだし、余裕で観れるって感じた。『トゥルー・ロマンス』のムードを連想したり。だかこそ後半の安易でベタな感動描写は残念だし冷める。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月22日
『純平、考え直せ』純平と加奈の描写は、物語の設定故、多少リアリティからズレてしまっても許されるというか、そこに上手いこと乗っかって非日常的な甘いロマンス描写が説得力を得てるけど、SNSで2人を見てる群像劇の人たちやクライマックスの展開が安易なステレオタイプ感強めで、後半は冷めてしまう
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月22日
15.『リグレッション』
『リグレッション』を観た。ミステリ映画として見ると、良くない意味で“大人っぽい結末だな〜”という印象で全部が総括されてしまいそうな、ノンカタルシスなサスペンス作品。鈍感な私でも仕掛けは中盤で分かっちゃう。ということで中途半端感は否めない映画だけど、人間ドラマとしてはなかなか見れた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月17日
『リグレッション』寂れた田舎町のダークなムード作りは上手い映画だと感じた。程よく気分がざわつく色合いが好き。イーサン・ホーク演じる強面な一匹狼刑事と、エマ・ワトソン演じる事件を告発した孤独な少女との間に湧き上がる、仄暗く繊細な信頼関係が町のムードとマッチングしていて静かに官能的。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月17日
16.『2重螺旋の恋人』
『2重螺旋の恋人』を観た。ここ数作のポップなオゾン作品と比べると、本作は幾つもの点でえらくマニアックな一本に感じた。終盤はお待ちかねと言わんばかりにスリルな勝負を仕掛けてくるけど、それもどぎついホラー感仕様。それでもなぜか余韻は、あの安定・独特な“オゾンの映画を観た感”に包まれた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月8日
『2重螺旋の恋人』双子(との性愛とアイデンティティの危機)というテーマに執着し続ける展開もその描写具合もとてもマニアックで、これをどこまで引っ張っていくのだろうと思いながら観てたけど、意外にも見事に綺麗な帰着を用意してみせたのがベテラン監督らしくもあり、肩透かしを食らった感もあり。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月8日
17.『クワイエット・プレイス』
『クワイエット・プレイス』を観た。スリラーポイントの設定が類似する『ドント・ブリーズ』との出来を比べてやろうという態度で行くと思いきり肩透かしをくらう映画だと思う。後者はサバイバルスリラーがとにかくど真ん中にあったけど、本作は根幹である家族映画に付随するサービス要素としてのそれ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年10月2日
『クワイエット・プレイス』宣伝の仕方がとにかくホラー要素押しだけど、それを真に受けた上で『ドント・ブリーズ』と比較して見るとがっかり感あると思う。『ドンブリ』に比べるとけっこう音立てても平気な点とか。でも、人々が消え去った過酷な世界で健気に生きる家族を描いた映画として見れば強い。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年10月2日
『クワイエット・プレイス』単純にスリラー映画として見れば個人的に物足りなさはあったけど(それも後半になればクリア)、真摯なヒューマンドラマ要素が濃いシックなホラー映画としては、丁寧で繊細な親子心理描写による泣かせからド派手なスリラー体験劇まで手広く抜け目のない、まさに優等生的作品。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年10月2日
18.『西北西』
『西北西』を観た。シリアスムードのカット一辺倒で、どの場面も単刀直入に表現したいものをぶつけてくるから、とにかく息が詰まってしかたない。基本音楽がなくて静かな映画だから、余計に会話に込まれたプレッシャーが際立つ。余白の割に観客の想像力を削いでしまう要素が多く、押しが強すぎる印象。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月30日
19.『鳥類人間』
韓国インディペンデント映画特集『鳥類人間』インディ感控えめで資金豊かそうだし、とても観易くはあるけど、どえらく間が抜けた、かといってコメディでもない、ゆるゆるファンタジックサスペンスで、前の回の『彼女の場所で』がいかに良い映画だったかを逆説的に思い知らされてしまうような残念映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月29日
『彼女の場所で』の、あらゆる要素が極めて写実的で、ナチュラルなドラマ運びを堪能した後だと、『鳥類人間』の演技からストーリーに至るまでどこを見ても悪い意味での“作られた感”が気になってしまう。出てくる女性たちが不自然なくらい皆さん可愛く美人なのも物語と合ってなくて、笑えてきちゃった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2018年9月29日