2017年7月の私的シネマランキング
私が7月に映画館で鑑賞した新作映画について、個人的によかった順番に並べて感想をまとめました。
厳密には8月初旬に観たものも含まれていますが、7月公開作品ということでこちらの中に入れています。該当の新作は20本。
それでは、以下7月に観た新作の私的ベスト1位からです。
1.『夏の娘たち ひめごと』
『夏の娘たち ひめごと』を観た。めちゃくちゃ良かった!!期待を遥かに超えてた。少し暗めで陰鬱としたムードを覚悟してたけど、大きく違った。“ラブコメディ”と呼んでしまいたいくらい肯定的で力強く、幸せの在り処へと正直に向かっていく男女の姿を柔らかく、色っぽく、優しく描いてる。大好き。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 23, 2017
『夏の娘たち ひめごと』まるで茅ヶ崎から長野に場所を移した『3泊4日、5時の鐘』のようだなという印象で、それはもちろん良い意味で、やっぱりこういう優しいイジワルさ的な視点から色事に揺れる男女を赤裸々に柔らかく描いた、肯定的なムードに包まれた映画というのは好きにならずにいられない。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 23, 2017
『夏の娘たち ひめごと』「夏だからセックスしちゃってもいいんじゃないか」という何がいいんだかよく分からないけどきっと誰もが感じ得る、熱にほだされた浮き足立つ冒険心のようなもので、全編が艶っぽく包まれている。時折驚くほど能天気で力強い展開を仕掛けるけど、それを幸せに感じられる映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 23, 2017
『夏の娘たち ひめごと』やっぱりこういう恋愛映画が好き。スリラー映画で味わうどきどきとは、全く違う種類のどきどきで溢れてる。女性たちの男性に対する心理が、気の置けないガールズトークによってちょっと驚くレベルまで明け透けにされた時に感じる、妙な喜びと柔らかな刺激をもたらすどきどき。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 23, 2017
『夏の娘たち ひめごと』私的にこの夏一番の映画。女性に向ける親密な眼差し、物語におけるロケーションの活かし方、大胆な物語展開を残酷なほど能天気にさっぱりやりのけちゃう様にむしろ人生に対する肯定を感じて妙に力強い幸せな心地が浮かんでくるところ等、エリック・ロメールの趣を多々感じた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 23, 2017
『夏の娘たち ひめごと』風情ある自然豊かな田舎町を舞台に繰り広げられる、成熟した男女映画とナイーブな恋愛映画との柔らかく魅力的な共存という意味で『パティーとの二十一夜』も彷彿した。登場人物全員をそれぞれ応援したくなるほど、皆が健気に素直に幸せに近づこうとしている姿が優しく映った。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 23, 2017
2.『ハートストーン』
『ハートストーン』を観た。まさに北欧映画祭やレインボーリールで上映され得るエッセンスを抱えているし、またそういった映画祭来場者から間違いなく愛されるテイストの映画、だけど、そこをいきなり劇場公開の作品で、そのことが凄く説得力をもって迫ってくるような圧巻の観応えをもつ大力作だった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 17, 2017
『ハートストーン』“恋愛したい”と“セックスしたい”ってどれだけ違うのかって時折考えてきたけど、本作を観てやっと気付いたことがあった。12歳か13歳の頃、性が愛を引き裂いて、もうそれまでには戻れなかった。純粋な愛はその時、引き裂かれて、終わってた、目覚めた性に。後は彷徨うばかり。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 17, 2017
『ハートストーン』思春期における性的な人格の浮上というものを、本当にじっくり丁寧に、立体的に描き通していて、凄い力を宿した映画。普遍的な深みに浸りきってる。そしてそれと韻を踏むように、不条理な親や狭い地域社会への苦悩と無邪気な時期の崩壊が描かれていて、いつの間にか他人事じゃない。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 17, 2017
『ハートストーン』恋愛に奔放な母親やなんだかんだ優しくて理解のある姉たちと暮らすソールの方が荒っぽい言動が多くて、同年代の男子の中では珍しく女の子たちにも優しく対等に接することのできる大人なクリスティアンの家庭の方がうんざりなマッチョイズムに支配されてるのが、リアルな辛さだった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 17, 2017
3.『君の膵臓をたべたい』
『君の膵臓をたべたい』5000億点!!始まって10分も要さずにそのあらゆる側面から、これはリアリティとは別次元のキラキラファンタジー作品だと分かる。が、しかし!それが一瞬たりとも怯みも隙もない5000億点満点の夢物語を叶える無敵ラブコメであることに極上の幸福を感じた。最高に好き。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 3, 2017
『君の膵臓をたべたい』序盤は正直「これ以下はまずない」と予想してた『心が叫びたがってるんだ。』(感想を書きようがないくらい呆れた映画)よりは確かに全然マシそうなんだけど、結局この水準以下ならその全然も大して意味は持たないな〜、なんて思ってたんだけど、ね。『キミスイ』は本当に偉い!
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 3, 2017
『君の膵臓をたべたい』現実にはありえない夢物語を、ならば夢でなら見られる最高の理想を自然な姿で、沢山沢山持ち寄って一番理想的な夢物語にしよう、という姿勢の淀みなさと大胆さと素敵な鈍感さに、本当に打たれてしまった。痺れてしまった。ありえないくらい幸福で感動できてしまう青春ラブコメ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 3, 2017
『心が叫びたがってるんだ。』も『君の膵臓をたべたい』もムードはシネコン的キラキラ青春ドラマだけど、夢物語のくせにヘンなところで捻くれてそれすら台無しにしてしまう前者に比べて、後者は本当に圧巻の素晴らしさだった。完璧に一番きれいな夢物語を完遂してる。心がとろけきった。この違い!!!
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 3, 2017
『君の膵臓をたべたい』が私にクリティカルヒットしたのは、脚本が『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』と同じ吉田智子だからだと思う。男子が突如仲良くなり始めてしまった理想的女子と会う内に身も心もだんだん垢抜けていく描写とか、終盤に女子の視点から振り返る構成とか同じだし、そこに弱い。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 3, 2017
『君の膵臓をたべたい』脚本家が同じこともあり『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』を良い意味で彷彿とさせる要素が多々。男子ならもはや抵抗不可な完璧なミステリアスヒロイン。彼女が書き留めていた日記を通して終盤は彼女視点のドラマと心理が明かされる構成。半端ない胸キュン描写の無限連発。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 3, 2017
『君の膵臓をたべたい』ここで感動してください的ないかにもなエモシーンに全然頼らずに、余裕で幸せな気持ちになれる映画だったのが凄くよかった。もしクライマックスがなくてもずっと観ていられるほど、理想的な夢物語、今はもうすっかり打算で生きる大人になった身からすると、あまりに素敵だった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 3, 2017
『君の膵臓をたべたい 』後半の衝撃的な展開として登場するアレは、確かにマイナス点ではあると思う。でも、本作の場合、全くそれを補って余りあるそれまでの魅力・幸福感、そして思いきり挽回するそれ以降の、相変わらず素敵で、絶妙なさじ加減による感動な終盤があるから、それ程気にならなかった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 3, 2017
4.『ボン・ボヤージュ 家族旅行は大暴走』
『ボン・ボヤージュ 家族旅行は大暴走』観た。ハズしようのない鉄板設定を見事に活かしきった完璧コメディ。真夜中のパリから世界の果てまでヒャッハー!させた監督の新作であることを期待しすぎると少々肩透かし感もあるけど、最初から最後まで十分に楽しみ抜ける。何度も声を出して笑ってしまった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 23, 2017
去年11月の『世界の果てまでヒャッハー!』、1月の『真夜中のパリでヒャッハー!』、そして今回の『ボン・ボヤージュ~家族旅行は大暴走~』と1年間で3度も最高のコメディ映画体験をさせてくれたニコラ・ブナム監督には一生ついていきたいし、一気に日本配給していただけたことにも大感謝。幸せ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 23, 2017
『ボン・ボヤージュ』家族ものコメディとして以上にカーチェイスコメディとしてバカ楽しめた。やっぱり頭のぶっ飛んだ暴走ドライバーが登場する映画は面白い。暴走家族VSブチ切れドライバーの全く噛み合わないはちゃめちゃバトル具合が最高。最後の「世界はバカの宝庫だな」が堂々の名言として響く。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 23, 2017
『ボン・ボヤージュ』はヒャッハー!シリーズより多くの人に観られると思うし、確かに間違いのない面白さだけど、既にDVDでも出てるヒャッハー!シリーズはその比じゃない面白さなので、これを機にもっと発見されて欲しい。特に真夜中のパリは最強すぎる極上コメディで幸せが身体中を駆け巡るから。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 23, 2017
5.『ワン・デイ 悲しみが消えるまで』
『ワン・デイ 悲しみが消えるまで』これは最っっっ高のチョン・ウヒ映画!!ブルージーなムードから始まる硬い感触だったはずの映画も、彼女が演じる愛おしさの集合体のようなヒロインが出現する度に、温かく柔らかな鮮やかさを帯びていき、やがてハートフルさ溢れ出す映画になる。予想外のガチ感動。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 30, 2017
1月に観た『愛を歌う花』では1940年代の歌謡アイドルを演じるチョン・ウヒの超絶可憐可愛さを前に専ヲタ化を誓った私であったが、『ワン・デイ 悲しみが消えるまで』でのチョン・ウヒの可愛さはその比じゃなかった。アイドルとかじゃなく、等身大の健気な女性の愛しさをこれでもかと体現してる。 https://t.co/uQlS2plCpf
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 30, 2017
『愛を歌う花』では透明感に満ちた可愛いアイドル、『哭声』ではおぞましさで塗り潰された世界で不思議な力を発揮する事件の目撃者、『ワン・デイ』では切ない背景を抱えながらも笑顔で毎日を生きる素敵な女性と、半年で3作もチョン・ウヒの魅力に惹き込まれる映画を流してくれたシネマートに大感謝。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 30, 2017
『ワン・デイ』交通事故で意識不明になっている女性から幽体離脱したキャラクターに懐かれて交流を深めることで、主人公自身の抱えた問題にも向き合っていく、という設定だけ聞くとベタなファンタジー感があるけど、幾つもの社会的なテーマ、人間関係のテーマを重層的に描いていて堂々の観応えがある。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 30, 2017
『ワン・デイ 悲しみが消えるまで』フィナーレで彼女が主人公に託した願いと彼の行動には驚きもあったけど、だからこそしっかり余韻の残る映画になってる。2月に上映されたイ・ユンギ監督の前作『男と女』は心理描写が軽薄に感じられて正直期待外れだったけど、今作はそれを思いきり挽回する充実作。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 30, 2017
6.『狂覗』
『狂覗』今年のスリラー映画の超ダークホース。まさかここまで綿密に作り込まれた面白さだとは驚き。5人の中学教師による、体育の1時間を利用した生徒には秘密の持ち物検査 in 教室 で1人また1人と次第に極限まで追い詰められていくのは、持ち検してる側の教師それぞれというのが新鮮で深い。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 24, 2017
『狂覗』こういう設定の物語だと、同じ教室で生活する少年少女達の大人には見えない残酷な裏の関係性を暴くみたいな視点に陥りがちだけど、本作はそこをおとりにして、教師という職に就く大人たち側の正体を絶えず暴いていく、教室という密室での持ち物検査において彼ら自身の手により。最高にスリル。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 24, 2017
『狂覗』自分が中高の頃はそこまで想像する余裕もなかった、教師たちの人間関係というのがスリラームードをベースに絶えず描かれる映画で、子供の前では仕事として道徳や態度を説いてる大人たちも、生徒に見えない場所では子供の喧嘩や貶し合いより酷い人間関係を構築させていて、うわぁぁってなった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 24, 2017
『狂覗』5人の教師で生徒には内緒の持ち物検査を進めていく中盤までは、シーンの作り方といい、エピソードの持ち込み方といい、新感覚スリラーとして完璧な手さばきで感心するばかりだったけど、後半になるとステレオタイプなトラウマ回想サイケシーンでくどすぎるほど埋め尽くされて惜しいと感じた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 24, 2017
7.『キッズ・イン・ラブ』
カリコレ『キッズ・イン・ラブ』を観た。親が決めつける未来への反発や将来への不安、初々しい恋愛体験における親しみ易さ極まる情緒のジェットコースター、長かった友情の蒸発が伝える大人になるということ、そんなハイティーンの青春王道を爽やかに描き上げた、心許さずにはいられない青春恋愛映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 30, 2017
『キッズ・イン・ラブ』これはソフト化されたら自宅に1枚常備しておきたい万能青春映画。映像も音楽(Mura MasaやWolf Aliceが流れて高まった)も洒落てて明るく楽しい気持ちでずっと居られるし、親しい人と語り合いたいテーマで溢れた物語だし、お泊まり映画として100点満点。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 30, 2017
『キッズ・イン・ラブ』堅苦しい家で育った内気少年が、大学入学前の夏休みに垢抜けた美少女に出会ったことで、何かに夢中になることの輝きやその代償、恋愛の難しさを知り成長していく。ハイライトシーンを時間軸に沿って並べた主題歌のMVが素敵。 https://t.co/U4zLIeeChm
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 30, 2017
『キッズ・イン・ラブ』私的に共感できる箇所が幾つもあって、この映画を流しながらいろいろ語り合いたくなる楽しい作品。恋愛をするとそれまでの同性の友達が子供っぽく見えてしまい距離を置きがちになってしまうところとか。タイトルの「恋する若者たち」の意図が明らかになるラストには素直に感動。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 1, 2017
8.『ボンジュール、アン』
エレノア・コッポラ監督作『ボンジュール、アン』、フランス縦断のドライブデート中に、映画プロデューサーを夫にもつアメリカ人女性の主人公が「音楽をかけましょ。フランスのバンドよ。娘がライブに行ったの」と言ってフェニックスを流すのが、ソフィアとトーマスの関係をさらり示唆してて洒落てた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 9, 2017
『ボンジュール、アン』アート関係の仕事で大忙しの夫が不在の数日間に、言葉もよく分からない異国で妻が体験するささやかなランデブーという点では大人版『ロスト・イン・トランスレーション』とも捉えられるけど、後者に濃かった苦悩や切なさも上手に消化する熟女の余裕で、本作は実に軽妙で楽しい。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 9, 2017
9.『セールスマン』
『セールスマン』事件の真相探求に人間の心理を絡めながらハラハラ見せるサスペンス色、というのは意外と薄くて、夫婦の心のすれ違いをじっくり観せる、繊細で丁寧な観応えバッチリの人間ドラマ。思いやりに沿った行動と、自分の正義に沿った行動との根本的な違いが浮き彫りになる。これはホント命題。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 11, 2017
『セールスマン』序盤はけっこう単純に、良い旦那さんそう、良い夫婦だなーとパッと見では感じてたけど、徐々に「優しい感じの人、一見優しそうな人」と「本当に優しい人」との違いがどんどん明確になっていって、その差が歴然となっていく。優しさと正義の心理的な位置関係さえ、人によって違うもの。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 11, 2017
『セールスマン』ゆっくり映画館の椅子で寛ぎながらこの旦那さんを見て、とりあえず難しいことを言うのは後回しにして、優しく抱きしめて、しばらくただそばにいてあげるのが当然では?って思っても、実際感情が激しく揺さぶられる状況に置かれたら、自分はどうするんだろう?って想像しながら観てた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 11, 2017
『セールスマン』余裕が生まれないほど感情が大きく揺さぶられる状況でこそ、その人の本当の人間性が現れる、というのは真理かもしれない、と本作を観て思った。人生の99%を過ごす穏やかな日常的暮らしで体現していく人間性というのは、取り繕う余裕があるので、ある程度演技でごまかせちゃってる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 11, 2017
『セールスマン』平和な暮らしの、自分が特に好きなところは、こう在りたいっていう自分をある程度創り出して生活していける、ってとこにあるんじゃないかと、本作を観て考えてた。本当はかなり利己的でも、余裕があるから、優しい人を創り出して演じることで、実質的に本当に優しい人っぽく暮らせる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 11, 2017
でもそんな舐めたその場凌ぎみたいな生活を続けていれば、人生の1%の本当に自分自身が試される場面でどうしょもなくカッコ悪い振る舞いをして、大切な人を失望させて、信頼を失くしてしまう。だから余裕のある99%の日常で、いかに真剣にそういう目に見えない部分を省みられるかが今の一番の課題。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 11, 2017
10.『ウーナ』
カリコレ『ウーナ』紹介文から、ヒネリはあれど恋愛映画らしい恋愛映画を想像してたので、この独特な物語と演出に惹き込まれた。ルーニー・マーラ演じる主人公の女性にとってだけは本作は恋愛映画で、相手の男性にとってみればまさにスリラー。密室スリラー感をさらに掻き立てる設定も上手く効いてる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 24, 2017
『ウーナ』彼女の切羽詰まった爆発寸前の想いと、映画全体を貫く冷たく落ち着いたムードとのギャップが魅力的な奥行きとスリルを生み出している作品で、ギリギリのところで抑えた感情表現を繰り出すルーニー・マーラの魅力も相まって、満身創痍なのに緩みなくスタイリッシュなオンリーワンの復讐映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 24, 2017
『ウーナ』2人の人生に深い影を落とした15年前の唐突な別れ方に対して、15年ぶりの緊迫の再会を迎えた2人が各々の視点から、2人が重ねた関係と別れの実態について思いと体験を打ち明け合う。その観せ方がスタイリッシュで好き。そしてそこからの真にドキドキ展開…もっとやっちゃえって思ったw
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 24, 2017
11.『しあわせな人生の選択』
『しあわせな人生の選択』原題の『Truman』は主人公が飼っている癒し系の老犬の名前だけど、わんちゃんの名前を作品のタイトルに託した意味が浮かび上がるラストシーンから、どこまでも優しいギターの旋律が染み渡るエンディングテーマの素晴らしさに釘付けになった。心が澄み渡る、極上の余韻。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 9, 2017
『しあわせな人生の選択』どんなにめちゃくちゃ良い映画だ!と思って観てても“余計なエピローグ”が付いてる作品というのはけっこう多くて、それはもうしょうがないと捉えてるけど、ホントのところ、その“余計なエピローグ”が無かった時に、映画はどれだけ魅力的に心に響くかを本作は体現している。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 9, 2017
『しあわせな人生の選択』過剰なドラマも過剰な演出も一切ないことで、近いテーマの既存作品たちとは一線を画す作品になっているし、映画館を出た後もまだまだ果ての見えない生涯が続く私にとって学べることが多いのは、明らかに本作のような作品。1日1日に、1会話1会話に新しい意味を与えたい。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 9, 2017
『しあわせな人生の選択』遠い異国で暮らす2人が共に過ごせる生涯最後の夜なのに、意を決した告白が大切な女性の逆鱗に触れ「2人とも地獄に落ちろ!!」とマジギレされ、おじさん2人でシュン…となってる夜更けのシーンには、切ないゾーンなのに微笑ましい程の愛しさを感じた。これぞ永遠の男子感!
— SunCityGarden (@SunCityGarden) July 11, 2017
12.『海辺の生と死』
『海辺の生と死』戦時下の日本を舞台に描かれる純愛ということで、壮絶な激しさも覚悟していたけど、そうではなかった。主戦場から少しだけ離れた地域で、戦の影に怯えながらも穏やかな日常を大切に過ごそうとする人々、子どもたちの尊い健気さに満ちている。本作はもうひとつの『この世界の片隅に』。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 12, 2017
『海辺の生と死』無邪気で可愛い子ども達に慕われる小学校教師と、優しく繊細な特攻隊長との心の触れ合いから果てなく焦がれ合う愛の行方までを、“見えない戦争”の陰りあれど美しい自然の中で健気に暮らす人々を穏やかな視点から描きながら、題名が示す重厚なテーマにも凛々しく対峙する二面性が秀逸
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 12, 2017
『海辺の生と死』タイトルの言葉から相当にシリアスで過酷なイメージを抱きがちだけど、実際は穏やかで澄んだ空気感が、市井の愛すべき人々のさり気なくも風流な暮らしを見守るような、ハートフルな作風。その中で描かれる人間の真心の強さが印象的で、『この世界の片隅に』とセットで観られたい一本。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 12, 2017
『海辺の生と死』無邪気な子ども達を優しいお姉さんのように包み込む理想的な小学校教師としての温かさから、文学博士の父と暮らす家に居る時のミステリアスな女性像、さらには生涯の恋に落ちて目覚めた狂おしくも凛々しい情熱まで、本作の満島ひかりは期待以上に凄まじく、後半は文字通り圧巻の極み。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 12, 2017
『海辺の生と死』唯一目立って惜しい印象を残した点が、台詞や派手な動きを抑えた長回しのロングカットを多様した155分という尺。満島ひかりを始めとした演者の魅力、ローケーションや演習の魅力等がこれだけ揃っていてもなお、この長回しと長さには集中し続けることが難しかった。とりわけ後半は。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 12, 2017
13.『ローサは密告された』
『ローサは密告された』スリラー系サスペンスを想像してたけど違う。ローサ一家に起こった一夜の騒動を常時接近した距離感で追い続けるカメラは、終始手ブレしていて、報道番組や突撃系ドキュメンタリーのような臨場感と切迫さを伝える一方で、観客が各々の考えを馳せらせながら観られるゆとりが魅力。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 1, 2017
『ローサは密告された』麻薬が氾濫する低所得層の地域で、警察は売人を捕まえると法外な高額保釈金か仲間=別の売人を売るかのどちらかを暴力と共に迫る。そんな警察=ヤクザな町に生まれ、生き延びていくとはどういうことか?をある一家の1日の騒動を通して、決して押し付けがましくなく柔軟に描く。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 1, 2017
『ローサは密告された』確かに警察=ヤクザという、地域の悲惨な実態を前面に出した作品だけど、後半はそれでもそんな警察に捕まった売人一家(不良家族には全然見えず、むしろ信頼され愛される良い家族)を金欠だらけの皆がそれでもお金を出し助けようとする、温かいヒューマン映画にも見えてしまう。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月1日
『ローサは密告された』本作の魅力は、ローサ一家という「麻薬の密売もしてるけど、地域のコンビニを自営業で切り盛りしてる、家族仲もよい善良な家族」という、私達からしたら矛盾とも見える暮らし方が、フラットなものとしてそこにある世界の姿を、ありのままに伝えている点。考え方のヒントが凄い。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 1, 2017
『ローサは密告された』題名や紹介文からは暗くて重い印象を受けがちだけど、そんなスケールの小さな作品では全くなく、それは一側面。人間の驚くような温かさや良心に触れて、瑞々しい感動が迫るシーンも多々。だけど、そんな良心を使ってなんとかしちゃうから、悪い奴は悪いまま居られる現実を描く。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 1, 2017
『ローサは密告された』良心は人と人との連帯を生み、その姿は感動的に映るけど、そんな心ある連帯を逆手に取って利用することで、暴力的な悪意に発するシステムを調子よく回し続ける輩が我々の知らぬ所に沢山いる。だから良心や思いやりには感動しちゃうけど、よく見て!という観点を持つ貴重な映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 1, 2017
『ローサは密告された』後半を目の当たりにすると、人間のポジティブな部分も親密にすくい上げた、優しさのある映画だと捉えたくなる。本当に、幾つかのシーンはジーンときてしまったから。「母ちゃんの口にぶち込みな」っていう酷い台詞(と共に放たれた尊い行動)にまさかウルっときてしまうとはね。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 1, 2017
『ローサは密告された』人の「優しさ」は、悪い状態に陥ってるところを広い意味で救われた時に実感できるけど、「優しい」で救い救われるだけで「悪い状態」を対処しないと、生活の水準や幸せのステップは上がっていかない。でも当人達にはそのシステムを変えられない。そこを指摘する本作は意義深い。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 1, 2017
14.『ハローグッバイ』
『ハローグッバイ』呑気に生きてきた男子からすると、ちょっと“わぁぁ〜”ってなってしまう、女子高生たちの友達関係のヒリヒリした緊張感とそれを本人には微塵も見せない所謂“女性的な人間関係”の1番気まずい(恐い)部分がテーマのひとつになっている映画で、そこは予想以上にリアルでよかった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 6, 2017
『ハローグッバイ』ともすれば“リアリティもそこそこ兼ね備えたいい話だが、ありがち。”に陥りそうな作品に対して、深みある解釈を与えるタイトルが素晴らしい。真の意味での“出会い”と“別れ”とは何なのか?を問い直す、確かな切り口の新しさと観客への考察をもたらすタイトルと作品になってる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 6, 2017
『ハローグッバイ』同じ学校や職場で互いを認識し、言葉を交わしながら生活していても、あくまでクラスメイトや同僚という存在として捉え、出会って別れるだけで、本質的な“人と人の出会い”をしていない。短期間でも互いに人間性を認め合い、必要とし合えた出会いと別れは、どう違うのかを示す映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 6, 2017
『ハローグッバイ』“グッバイ”の在り方までしっかり描いているのがポイント高い。“ハブられてる私と仲良くしてるとあなたまで浮いちゃうから、明日からまた何もなかったように戻ろう”と終わる数日間の“出会いと別れ”。切なさと痛みを残すそんな“出会いと別れ”がきっと2人を素敵なひとにする。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 6, 2017
『ハローグッバイ』ただのクラスメイトでしかなかった女子高生2人の関係をベースに描かれる物語だけど、現実では満たされない人間関係欲をSNSに託してる大人も多い今だからこそ、本作の2人は大人にとっても他人事じゃないはず。人との出会いを数字に変えて安心しがちな今、出会えてよかった映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 6, 2017
15.『さよなら、ぼくのモンスター』
『さよなら、ぼくのモンスター』を観た。先月から上映されている『ハートストーン』ではアイスランドの漁村を舞台に描かれた青春の(甘美さではなく、切実な痛みを軸にした)物語が、本作では北米の郊外を舞台に語られている感触で、両作品のテーマや主人公の置かれた状況にはリンクする点が多々ある。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 8, 2017
『さよなら、ぼくのモンスター』や『ハートストーン』で描かれる10代の少年の青春は、彼らの親の世代まで未だに引きずっているド偏見によって辛さが刺さるけど、ならばむしろこうした映画の上映が増えることこそが、未来の希望に繋がるはずだとは確信できる。この2本が上映されたことは素晴らしい。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 8, 2017
『さよなら、ぼくのモンスター』本作の主人公は父子家庭の一人っ子で、『ハートストーン』の主人公は母子家庭に2人の姉という家庭環境だったので、そこを比較して見ると家庭映画の側面で興味深さがあった。両作品ともセクシャリティの確立と成長の関係が密な視点から描かれていて、深い気付きがある。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 8, 2017
『さよなら、ぼくのモンスター』終盤で母親が主人公へ噛み締めるように言う「あなたの人生はこれからも容易ではないと思う。でも、世界がクソだらけなら、自分が強くなるしか道はない」は、今年観た映画の中でも最高級のキラー台詞だった。女性の強さのようなものを感じたし、ハッとする気持ちだった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 8, 2017
「生きる世界がクソだらけなら、自分が強くなるしかない。」と言い切ってしまうと、優しさや思いやりはひとまず二の次になる。だからこそ、優しさとはそれ以上の強さの上に成り立つものだと思う。優しいということはめちゃくちゃ強いということ。無くても生きていけるから、真に尊い強さ、個人の価値。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 8, 2017
『さよなら、ぼくのモンスター』でも『ハートストーン』でも、親の世代までどころか、今の子ども世代でも未だに引きずっている偏見のせいで、「自分を知る」ということが途轍もない恐怖と不安に陥る現象になってしまう、あまりに酷な苦悩を当事者の感覚から重点的に描かれていたのが、印象的だった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) August 8, 2017
16.『ジーサンズ』
『ジーサンズ』を観た。大笑いできるコメディを期待してたのもあって、けっこう肩透かし感があった。シルバー世代の仲良しグループが金融機関を巻いちゃうコメディ映画という意味では、先月観た『素敵な遺産相続』の方がずっと好き。ほどよく笑えるし、ほどよくロマンチックだし、ずっと楽しかった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年7月17日
17.『彼女の人生は間違いじゃない』
『彼女の人生は間違いじゃない』を観た。完全に予想外。震災から5年後の福島で生きる人々を描いた群像劇を通して、いまの福島に、いまの日本に本当に必要なものは何なのかを幾つもの角度から投げかける。安易な感動や答えなど必要とされていない、不器用だけど真摯な映画。逃げ出せない、確かな重み。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年7月17日
18.『心が叫びたがってるんだ。』
『心が叫びたがってるんだ。』(実写)は『君の膵臓をたべたい』と極めて対称的に、理想的夢物語における影の差し方というか衝撃的展開が、本当にどうしようもなく最悪な作品だった。こんな必要じゃないことをドヤ顔でやる映画もあるんだと、最初から期待もしてなかったのに絶望した。その後も酷すぎ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月3日
『心が叫びたがってるんだ。』は悪く書いてしまうので感想はスルーしてたけど、「夢のように理想的な青春物語を魅せる」ところは同じなのに大成功してる『君の膵臓をたべたい』を前に、欠点=観てて途中で尋常じゃなく冷めてしまう理由が明確に浮かび上がった感じ。奇妙で下品な展開してドヤ顔は最悪。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月3日
『心が叫びたがってるんだ。』(実写)は序盤から、リアリティとは乖離した面の多い、ある種ファンタジーな理想的夢物語、として観れば、けっこう悪くなくて癒されるほどだった、途中までは。だけどクライマックスで急に凄い映画ぶって無理すぎ展開ぶち込み、その後、最後までのダサさは興醒めの極み。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月3日
『心が叫びたがってるんだ。』(実写) クライマックスゾーンに入るまでは良いところも多々あって、野球部のエースだったイカツイ男子が、主人公の女の子の恋心に気づいて何度もそっと見守ってるシーンはキュンときたし、体育系・文化系の区分で人を見る色眼鏡をシックに批判しているようで刺さった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月3日
19.『花に嵐』
『花に嵐』総合的にみると悪趣味な作品という印象。序盤で提示させる“映画づくり”というテーマや、それをドキュメンタリータッチを用いて追うというコンセプトは魅力的だからこそ、その内容のディテールにおける軽薄さが目立ち、さらには後半での作品そのもののご都合主義すぎる変身ぶりにがっかり。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月6日
『花に嵐』大学に入ったばかりのあどけない青年が映画サークルに入るなり、即座にカメラを回して撮った内容、という設定を思えば若気の至りという捉え方も出来るけど、オープニングのモノローグや随所で挿入される爆音ノイズの演出などでこれでもかと仰々しさを煽っていて、この内容では白けてしまう。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月6日
『花に嵐』新しい感覚で切り込んだユニークなホラー映画だとはじめから分かっていれば、感想は全く違うものになっていたと思う。特に映画オタクでもない10代の優柔不断青年による初めての映画づくりを通して“映画とは何か?”を考察させるような作品だとばかり思い込んでいたので落胆が大きかった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月6日
素人による初めての映画撮影の映像をベースにしたフェイクドキュメント作品では2年前のEUフィルムデーズで上映された『海へ行こう!』が映画製作の概念そのものに対する残酷さや辛さまで掘り下げていた秀逸さだったのに比べると、『花に嵐』はチープな青春ドラマとホラー映画の域を出ていない印象。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月6日
『花に嵐』映画製作なんてドラマチックでも立派なものでもなく、カオスで野蛮でカッコ悪い作業の中から、最終的に観客に届いたときにドラマチックに映るものが出来上がっていく。そんな得難いリアリティが宿っている映画。映画製作に対して外野が寄せる勝手な夢想をなぎ倒すような凶暴さを孕んでいる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年8月6日
20.『犯罪の女王』
カリコレ『犯罪の女王』を観た。わからなくもないけど、タイトルからだいぶかけ離れたムードのゆるゆるサスペンス。最初から落ちは簡単に分かってしまうし、とにかくすべてのスケールが狭い…キャラクターも主人公以外は魅力的に思える人物が殆ど出てこず、息子の性格が悪すぎる…。全然合わなかった…
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年7月24日
・2017年上半期の私的ベストシネマ