私の大好きなエルンスト・ルビッチ監督作品 私的暫定ベスト22
いよいよ今週末、4月22日(土)からエルンスト・ルビッチ特集がシネマヴェーラに帰ってきます。
『ルビッチ・タッチ!Ⅱ』と題された5月19日(金)まで続く今回の特集では、2015年春の前回特集『ルビッチ・タッチ!』(びっくりマークのキュートさ!)の全19本に比べて6本も多い、全25本が上映されます。
前回の特集では上映されず、今回新たにラインナップに加わったのが
②ラヴ・パレイド
③小間使
④ウィンダミア夫人の扇
⑤街角 桃色の店
⑥寵姫ズルムン
⑦ロイヤル・スキャンダル
⑧あのアーミン毛皮の貴婦人
の9本で、逆に前回はあったけど、今回はラインナップにないのが
①陽気な中尉さん
②山の王者
③百萬弗貰ったら
の3本。
とにかく新登場の作品の多さに感謝!
いやもう、これほど嬉しいことは映画鑑賞環境でいうと私的に1年に1回あるかないかレベルのありがたさ、素敵さ。
なぜなら、前回の特集の時に、私は初めて明確に、自分が一番好きな映画監督、というものを見つけてしまったから。出会えてしまえたから。
何にも代えがたいワクワク感と嬉しさであの坂を上り、下ってくる時には頭の中が真っ白になりそうな幸福感と感銘に酔いしれていた、魔法にかかったみたいな3週間を過ごせた、2年前の春。
あのルビッチ特集で、きっと私は映画が本当に好きになりました。
本日で私のルビッチ特集は千秋楽を迎えた。1作品を観逃したけれど、ほぼ全通できた。幾つかの作品は劇場鑑賞だけでは物足りず、早速ソフトをまとめ買いして、家で何度も観返した。ここまで夢中になれる映画監督に出会えてよかった。ヴェーラに感謝。『生きるべきか死ぬべきか』は生涯ナンバー1です。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月14日
人間の弱さと強さ、愚かさと素晴らしさは表裏一体であること。それを優美なフォルムへの徹底的な拘りをもってロマンチックな艶笑喜劇として描いたルビッチ。暗い人生や明るい人生なんてものは誰にもなく、何があっても笑える余裕と知性を持てたなら、それが私達に与えられた普遍的な希望と教えられた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月14日
ルビッチ特集、本当に全部良かったけど、特に『生きるべきか死ぬべきか』『陽気な中尉さん』『私の殺した男』 『天使』『花嫁人形』『結婚哲学』『君とひととき』という映画に今年の春こうして出会えことは忘れないと思う。特別な希望を抱けた3週間だった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月14日
ルビッチ特集のおかげで楽しい毎日だけど『ルビッチ・タッチ』を読んでしまったら今回の上映にない、パッション、白黒姉妹、寵姫ズムルン、ロジタ、三人の女、禁断の楽園、当世女大学、ウィンダミア夫人の扇、陽気な巴里っ子、思ひ出、ラヴ・パレード、モンテ・カルロ、桃色の店 等への飢餓感が凄い。
※私の発展途上のルビッチ・コレクション
今回は私が好きなルビッチ作品を好きな順番にランキングしてみました。
あの特集の後も少しずつソフトを買い足して未鑑賞の作品を減らしてきましたが、DVDで観た映画の感想はほとんど書きこぼす傾向にあるせいで、ランキングとは言いつつ数はまだまだ多くありません。
まだ一度しか観たことのない作品も多く、かなり暫定的なものですが、今回の特集を観た後に大きく変わってきたらいいなーと思いますし、そうなることに期待しています。
それでは22作品と少なめにはなりますが、1位から初見時の感想と共にまとめていきます。(随時更新中)
1.『生きるべきか死ぬべきか』 (今回も上映あり)
ルビッチ『生きるべきか死ぬべきか』 を観た。終映と同時に、これはもう映画の究極だぁぁ!!!と心の中で叫びながら悶えた。自分が映画に対して寄せる色々な種類の希望がぜんぶ揃ってて、しかもそれらが本当に奇跡的に溶け合って、ひとつの映画になっていた。あまりに偉大。本当に出会えてよかった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年4月28日
『生きるべきか死ぬべきか』1939年のポーランドを舞台にしたラブコメで始まるけど、まもなくナチスの侵略でシリアスなムードを纏う。 それでも!!!それすら磨き上げたユーモアで全て覆していく。笑いの絶えない映画にしていく。しかもそんな映画を戦時中42年に製作!コメディ映画の真髄すぎ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年4月28日
『結婚哲学』や『淑女超特急』でもそうだったように、占領されるポーランド側 対 侵略するナチス側という構図を持つ『生きるべきか死ぬべきか』でさえ、個々人レベルでは誰が正義で誰が悪という扱いをせず、人は身分を越えてユーモアで繋がり合えることを洗練された表現で本能に訴える。人間の希望。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年4月28日
ルビッチ特集序盤、『生きるべきか死ぬべきか』『君とひととき』『結婚哲学』『淑女超特急』の4つを観て、どれもめちゃくちゃ楽しくて、完成度には感動して最高なんだけど、全部が既婚者が不倫未遂して三角関係にわちゃわちゃしてるのが可笑しい作品で、ティーン映画の何倍も大人が青春しまくってる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年4月28日
ルビッチの作品はどんな強い男も美女には敵わない映画ばかりだから果てしなく信頼できる、とか言いたくなるけど、むしろどんな重大事由がかかってる状況でも、美女が現れるとごく簡単になびいて、それまで積み上げてきた色々を一瞬で忘れたフリが出来てしまう男性という生き物の信頼できなさがスゴい。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年4月30日
2.『陽気な中尉さん』 (今回は上映なし)
ルビッチ『陽気な中尉さん』を観た。最高すぎたぁぁぁ!!完全無欠の完璧ロマンチックコメディ!序盤からちょっと陽気すぎだろwな素敵な中尉さんのおかげでウキウキ楽しく幸せだったけど、後半まさかのガチで良い話すぎた!まっすぐリアルに切なくて、それ故に本当の幸福感に包まれる極上の純愛映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月4日
『陽気な中尉さん』前半までは疑う余地なく中尉さんの洗練された完璧爽やかプレイボーイぶりが全てを巻き込んでいく極楽ラブコメ。でも後半に仕込まれていたのは恋の普遍的な切なさにフォーカスを当てた、かけがえのないガールズムービー。あまりに理想的なヒロイン像を築いたバイオリンガールに敬礼。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月4日
『陽気な中尉さん』裏切りに思えても仕方ない状態で恋人を取られた時にも「お別れね。とても楽しかったわ。」と一言残せるだけでいい子すぎるのに、新しい恋人にこんな服装や下着や音楽が彼を喜ばせるのよ、と教えて立ち去れるバイオリニスト・フランジーはラブコメ史上屈指の美しいヒロインだと思う。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月4日
3.『花嫁人形』(今回も上映あり)
ルビッチ『花嫁人形』を観た。なんて可愛いすぎる映画なんだぁぁぁ最高すぎる!!ひたすら全編隙間なくキュート!!チャーミングな切り絵の紙芝居から飛び出たような世界一キュートでラブリーなお伽話。無声映画なのを完全に忘れさせる楽しすぎて尽きない会話のようなピアノ伴奏も最高!全部が大好き!
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月2日
『花嫁人形』結婚不可避な状況に追い込まれた女性嫌いのお坊ちゃんが、女の子の人形を買って親族達に花嫁と見せかけようとする、というあらすじからは悲哀的可笑しさとユーモアが楽しい少し捻くれた映画を予想したけど、違った。すべてが健気でピュアなラブリーさに貫かれたまっすぐに楽しすぎる映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月2日
ルビッチ『花嫁人形』このオープニングの超絶キュートさ!そしてそれがそのまま最後まで絶えず続いていくんだからもう最高。今日は小学生でも思いっきり楽しめそうな『花嫁人形』と垢抜けた大人の『極楽特急』という対極の2作品を観れたのもよかった。 http://t.co/mGF38z2sWv
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月2日
映画館で映画を観ていて、あまりに幸せすぎて天にも昇るような心地に至ってしまうことなんて、一か月に一度あれば嬉しいことだと思ってるけど、既にこの一週間だけで『生きるべきか死ぬべきか』『花嫁人形』『君とひととき』と3度もそういう心境に導いてくれてるルビッチ特集は自分の中で伝説になる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月2日
4.『私の殺した男』(今回も上映あり)
ルビッチ『私の殺した男』 を観た。傑作。ルビッチ王道の陽気なコメディではないけど、スクリーンに映される人物たちの心模様や心情の動きに対する距離感や温度はまさしくなルビッチらしさに貫かれてる。それはどんなテーマを扱っても観客の心を作品の中に吸い込む特別な親密さ。ものすごく良い映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月14日
『私が殺した男』のエルザはその前年に発表された『陽気な中尉さん』のバイオリニスト・フランジーと並ぶ究極的にいい子すぎる完璧ヒロイン。ラストシーンでの彼女のあの決断とあの眼差しにやられないはずがない。所謂反戦映画とは一線を画す魅力に満ち満ちた作品が、その傑作ぶりを決定的に示してる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月14日
『私の殺した男』 第一次大戦で勝敗を分かった敵対国同士の生き延びた元軍人と遺族・婚約者を同じ舞台で描く本作は、戦争が人々に残すものを哀しく描いた反戦映画ながらも、それ以上に国同士が敵対したからといってその国の国民同士までが憎み合うことの愚かさ・和解の魅力を強く示しているから貴重。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月14日
5.『君とひととき』(今回も上映あり)
ルビッチ『君とひととき』を観た。いやこれもうどうしろと!?いくらなんでも最高すぎだろぉぉぉラブすぎるだろぉぉぉぉ『結婚哲学』のリメイクだけど、お調子の良すぎる台詞と状況の割に能天気すぎるお唄の入った、(そしてよりコケティッシュになった)究極ラブコメ。クライマックスしかない80分。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年4月26日
ルビッチの日本語wikiを見ると、死因について「心臓発作で死亡。性交後、汗を流すために浴室に入り、そこで倒れたとルビッチの弟子のビリー・ワイルダーは伝えている」と記述があるけど、これきっとワイルダーによるでっち上げっぽいところが大変キュンとくる。この2人が大好き。全通したいなぁ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年4月26日
6.『結婚哲学』(今回も上映あり)
ルビッチ『結婚哲学』を観た。無声映画。その分、鳴り止まないキュートで呑気な音楽の楽しさと可笑しさ、そしてそこに完璧にシンクロするドッタバッタ不倫未遂騒動のエンドレスリピート!人って強い、面白い。そして色恋の前ではみんなバカ。そんな自虐的笑いがくれる私が生きることの肯定。好きすぎ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年4月26日
7.『天国は待ってくれる』(今回も上映あり)
ルビッチ『天国は待ってくれる』を観た。4年後に急逝する50代のルビッチが残した初のカラー作品は、生涯プレイボーイを貫いた憎めないお坊ちゃんが70年以上に渡る自らの生涯を、女性たちとの関係を軸に振り返った人生史。ルビッチのあらゆる面で成熟を迎えたエレガンスを堪能できる贅沢な感動作。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月3日
『天国は待ってくれる』ルビッチ映画の魅力には、人々がとにかく今この瞬間の状況を何とかしようと懸命に立ち回っている姿を実に生き生きと描写する点があるけど、死を迎えた男が70年以上の生涯を回想する、定められた終わりへ向かう長いスパンの解体には他作品にはない独特な情緒があった。ジーン。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月3日
どんな状況でも地に足の着かない愛すべき大人達による賑やかな青春(あのテンションはそうとしか言えない)映画『生きるべきか死ぬべきか』のわずか翌年に、隅々まで行き届いた完成されたエレガンスに見惚れるばかりの『天国は待ってくれる』を放っていたなんて、晩年のルビッチ作品の濃厚さに痺れる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月3日
『天国は待ってくれる』成熟した気品に包まれていて、馬鹿笑いの連続に高揚する類の作品ではないけど、随所で笑える会話劇やカットに満ちていて、ラブリーな男女関係描写は健在。ルビッチ映画が常に描いてきた人生の青春を、やがて老いを迎え、幕を閉じる長い人生の中で俯瞰的に取り込んでみせた作品。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月3日
ルビッチ『天国は待ってくれる』で主人公が一目惚れした女性を口説く為に書店で店員になりすました際に「詩的なことばかり口にするから信用できない?毎日文芸書籍を扱っているとついつい詩的な言い方が出るようになってしまうんだ。」というような台詞があって、これは応用して色々使えると思った。笑
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月3日
↓ 今回、再鑑賞しての感想
ルビッチ特集『天国は待ってくれる』最高すぎた〜〜全ての瞬間からなんたる幸せな気持ちにしてくれる映画。もうこれだからルビッチ映画は本当に理屈抜きで心底愛せてしまう。生まれてから死ぬまで女心を巡り続ける男心の普遍を、機知に富んだ可笑しみと極上のエレガンスで編み上げた、夢のような傑作。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月22日
『天国は待ってくれる』原作の題名は『Birthday』ということを意識して観れたことも、2年前よりずっと作品の魅力が心に響いた要因。ロマンチックなドラマが起きた誕生日の日の回想を、各ディケイドから1日ずつ選び取っていく。作品の中心になっている26歳と36歳のパートは本当に超極上!
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月22日
『天国は待ってくれる』特集初日が本作なの本当に良かった。というのも、ルビッチでは稀なカラー作品だったり、物語の時間幅も1人の男が女性遍歴を軸に一生を振り返るという他作品にはないボリュームだから、他作品群を観てから本作を観ると重厚感のある印象を抱きがち。でも実はそんなことなかった!
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月22日
『天国は待ってくれる』ルビッチ作品としては異例な重厚感、ガチのシック感を携えた硬派な作品、という前回から抱いていた余計な印象を、特集初日のフラットな気持ちだからこそ可能な、作品の素晴らしさそのものに触れる再会によって、あっけなく消し去ることが出来た。軽やかで半端なく楽しい映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月22日
『天国は待ってくれる』終盤、70歳になり穏やかに臨死の床を迎えながら、夢の中でブロンド美女とオペレッタの「メリー・ウィドウ / 陽気な未亡人」で踊っていたところだったのに君に起こされた、と看護婦に話す主人公。そして今日の併映作品は『メリー・ウィドウ』!ヴェーラの粋の利き方に痺れた
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月22日
『天国は待ってくれる』私的に映画史上最高の祖父映画だと思う。愛する女性と駆け落ちする、という自分では果たせなかった生涯の夢を26歳の孫に託すばかりか、その10年後36歳になった孫に訪れた2度目の駆け落ちのチャンスに自ら乗り込み、自分の夢まで叶えちゃうとか最高すぎ。いっぱい笑った。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月22日
『天国は待ってくれる』街でひとめ惚れした女性と話す為に、その場でとっさに店員になりきってしまう本屋のシーンや、エリート従兄弟の婚約者として表れた彼女を口説き落とし奪い去るシーン、彼女の両親がメイドを介してなじり合うシーン等、私がルビッチ映画を愛する理由がぎゅっと詰め込まれた作品。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月22日
8.『天使』(今回も上映あり)
ルビッチ『天使』を観た。“洗練の極み”というタームでもって謳われる作品は数あれど、これほどまでにそれを体現し尽くした映画に触れたことは今日までなかった。すべての瞬間にクライマックスな魅力が宿った究極的に優美な恋愛映画。なんて研ぎ澄まされたロマンチック。ひたすらうっとり惚れ惚れ…。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月10日
ルビッチ『天使』ディートリッヒ演じるマリアの美貌はあまりに圧倒的だけど、それ以上に彼女を天使たらしめる、あの誰の心もなだめるような声と短く端的な言葉に深みを与える間を持った話し方、仕草。すべてがエレガントで、この映画そのものを象徴してる。気品とは美しさを甘やかさないことだと知る。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月10日
ルビッチ『天使』マリアに夢中になった紳士は“君は天使だ。”という感嘆を言い放たずにおれない。ただ、そうとう、そうとう、耐えてる。限界までそこは耐えてる。故に恋情に深みが感じられる。日頃とりあえず可愛いと感じれば瞬時に“マジ天使可愛い‼︎”の一言に変換して思考停止してる我を悔いた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月10日
9.『ニノチカ』(今回も上映あり)
グレタ・ガルボ演じるニノチカがまさかの恋におちてからの後半がとくに好きです。前半との物凄いギャップもあって、ものすごくキュンとする。前半も前半で2人の会話のかみ合わなさというか、おぼつかなさがとても楽しくて。レストランの爆笑シーンが大好き。そしてラストの「さすがルビッチ!!」な痛快さに大満足する作品です。
前回の19本のうち本作だけ劇場で観れず、後でDVD鑑賞したためTwitterでの記録はなし。今回こそ劇場で観たい。
10.『ラヴ・パレイド』(今回は上映あり!)
『ラヴ・パレイド』ルビッチ初のトーキー映画にして、翌年の『モンテカルロ』翌々年の『陽気な中尉さん』へと続く、オペレッタ3部作の最初を築いた作品。でもう、ルビッチのノリノリ能天気ラブラブラブコメとオペレッタとの相性は初っ端から完ッッッ全にバッチリだったことを示しきってて幸せすぎた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月24日
『ラヴ・パレイド』幾ら何でも舐めすぎでしょwwってくらいハイパー能天気で無敵なロマンチックラブの完全肯定を、軽快と洒落っ気極まりないフレーズで繰り広げまくるという、ルビッチがオペレッタをやる時の定石スタイルをオープニングから出し惜しみなく完全放出していく。破格の幸せですわ本当に。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月24日
『ラヴ・パレイド』以後のルビッチ作品では物語的にも語り口的にもどんどん洗練さと、それ故に扱いが冴える良い意味での複雑さ(=現実的な社会性)を増していくことを思うと、初のトーキー、初のオペレッタという表現上の冒険もあってか、本作の設定や物語的な意味での王道感やストレートさは随一。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月24日
『ラヴ・パレイド』お調子よさMAXでロマンチック度も無敵な前半の幸福感に最高だ最高だって酔いしれてると、まるでレコードのA面/B面のように対照的な後半の毒っ気に驚く。プレイボーイが優しいのは遊びの相手としてだから。本当の性格はだいたいサイテー。90年前の映画だけど今と変わらない。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月24日
『ラヴ・パレイド』タイトルの意味も、最高に軽薄(←本作には一番の褒め言葉では)故に最高にロマンチックで最高に幸せな(ロマンチックとは軽薄なものを最高だって思い込める気持ちのことだと思う)唄の歌詞の中で明らかになるんだけど、それも予想以上に洒落っ気と洞察を孕んだ素敵なもので惚れた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月24日
『ラヴ・パレイド』と『陽気な中尉さん』は、お気楽なロマンスに日夜首ったけの根っからのプレイボーイが、まだ恋愛は夢想の対象である箱入りの若き王女までも惚れさせてしまう、という物語を、モーリス・シュヴァリエ主演でご機嫌に繰り広げる点がかなり被るから、今回は後者は無しなのかなと思った。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月24日
『ラヴ・パレイド』外国での女性交遊が派手すぎて自国に強制退去させられた公爵と、彼の洗練された色男ぶりに落ちた王女が逢瀬を重ねてる間に、互いの主人を外で待っていたメイド同士が恋に落ちて、王族の堅い面倒に邪魔される恋と、庶民の素朴だけど気楽な恋とを、キュートに対比していく構成が素敵。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月24日
11.『生活の設計』(今回も上映あり)
ルビッチ『生活の設計』同じ女性を好きになってしまった長年友人の男子2人によるプライドと嫉妬と恋情のせめぎ合いは、男という性のザ・普遍的な悲哀を克明にあぶり出すけど、それを軽妙かつ華麗に可笑しく描ききってしまうところが信頼のルビッチ。喜劇を疾走する終盤はもう最高。ご馳走さまでした。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月9日
『生活の設計』動かなくなったタイプライターの音を再び鳴らせる、たったそれだけで観客に鮮明な胸キュンをしっかり与えたら、それ以上はあえて描かず、2人は次の朝を迎えてる。調子づいた社長のショーを2人がぶち壊してる時に描かれるのは寝室での夫婦喧嘩。今作も数々のルビッチタッチで溢れてた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月9日
12.『山の王者』 (今回は上映なし)
ルビッチ『山の王者』を観た。ラブリーな純愛青春映画で駆け抜けるかと思ったら、まさの濃厚な愛憎劇、そして村社会の素朴さと恐さ!この終わり方は完全に予想外。ルビッチによるガチな恋愛映画。これで『Eternal Love』なのさえ、ぅぅ…うん。って感じなのに、邦題は思いきりよすぎ 苦笑
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年4月30日
『山の王者』先に観た『結婚哲学』に続き、こちらでもルビッチの無声映画におけるあまりに豊かな音楽の使い方ぶりに序盤から頬が緩みまくる。舞踏会のシーンとか、なんなのあの極上の可愛らしさは!それ以外も全編に渡って、台詞がなくとも動きと音楽が本当にラブリーで即座に嬉しい気分になっちゃう。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年4月30日
『山の王者』ルビッチの無声映画に触れて、“音楽”それ自体の魅力・素晴らしさにも改めて恐縮する。そしてシリアのノーブル美少女可愛さ。きっと男が命もプライドも全部捨ててでも尊がる美少女イメージって人類誕生以来不変なのかもって思った。どんな強い男でも美少女には敵わない映画は信頼できる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年4月30日
13.『メリー・ウィドウ』(今回は上映あり!)
『メリー・ウィドウ』モーリス・シュヴァリエ演じるもはやビョーキ的に女性狂いな、お調子のよいプレイボーイが主人公のオペレッタ、という点で『ラヴ・パレイド』『陽気な中尉さん』『君とひととき』と共通してるし、それが意味する“お約束”は前提のように示しつつも、それらに比べてずっとシック。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月25日
『メリー・ウィドウ』ルビッチが手掛けた最後のオペレッタということで、『ラヴ・パレイド』以降のルビッチオペレッタが引き継いできた軽妙なプレイボーイ流ロマンスは継承しつつも、本作ではかつてあったようなバカ笑いの連続みたいなものはなく、大人のシックな恋の駆け引きをうっとりと楽しむ作品。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月25日
『メリー・ウィドウ』ルビッチによる他のモーリス・シュヴァリエ主演のオペレッタ作品に比べると、どこか控え目で全体的に落ち着いたムードがあるけど(それでも随所で声をあげて笑ってしまうし会話は全部面白いし、そう、他のやつのテンションが異常なだけw)、それがスゴく心地いい。柔らかな甘み。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月25日
『メリー・ウィドウ』ルビッチのオペレッタといったらプレイボーイ主人公の世の中の完全なる舐めっぷりとロマンス最優先主義の無敵さに爆笑かつ痛快なのが定番だけど、本作ではそんな百戦錬磨のプレイボーイ戦法が終始通用せず、本当の愛を見極める目を持った意中の彼女に翻弄されっぱなしなのがいい。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月25日
『メリー・ウィドウ』次に発せられる一言で2人が2人として留まるのか分かれるのか明らかになるはずのキワッキワのシーンで、あえて言葉は紡がせず、優雅を極める圧巻のダンスに託すこの3分間が、全映画のダンスシーンの中で一番好き。シックすぎ。 https://t.co/DVu6mgUieK
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月25日
『メリィ・ウィドウ』のダンスシーンの、思わず無意識のうちに息を止めて見入ってしまうような超圧巻さと魔法のような滑らかさは、他のルビッチ作品でも見られない特別なものだし、『サンライズ』とジャック・タチを繋ぐ表現のようにさえ思えてくる。 pic.twitter.com/mlmIpbk7M8
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月25日
ルビッチのオペレッタは、パリで女性遊びしすぎて国に強制帰還を食らい、戻ってからは王女と恋に落ちるプレイボーイが主人公の映画で始まり、王女との不倫を見逃す代わりにその色男ぶりでパリに行って富豪未亡人を落としてこい、出来なきゃ逮捕という命令を食らうプレイボーイが主人公の映画で終わる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月25日
14.『小間使』(今回は上映あり!)
ルビッチ『小間使』序盤で華麗に登場する、『マイ・ファニー・レディ』で演出家が女性への決め台詞にパクる「君に相応しい場所なんて誰が決めつけられる?君が幸せを感じたならそこが君の居場所なんだ。公園でリスに胡桃をあげるのも、胡桃にリスをあげるのもその人の自由さ」の本家verに惚れ惚れ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月29日
『小間使』「胡桃にリスを」というタームが2人の合言葉として全編に渡り登場するように、「リスに胡桃を」(伝統的で格式ばった差別的価値観)を押し付けられがちな息苦しい世の中でも、自分の幸せを諦めるなんて若い女性のすべきことじゃないし男はそれを防げよ、というルビッチ流人生観が軸にある。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月29日
『小間使』堅い上流階級の家で初めてのメイド業に奮闘する主人公、クルーニー・ブラウンの振る舞いや佇まいの全てが、理想的な天真爛漫さで本当に可愛い。ルックスだけ見たら異論もあると思うけど、あの仕草から彼女がルビッチ映画史上もっとも可愛らしいヒロインであることは多くの人が納得するはず。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月29日
『小間使』皆がルビッチ作品に期待するラブコメ色も随所でチャーミングかつシックに挿入しつつ、多くの人々を自分らしく生きづらくさせている階級差別的な社会の中で、そんな自分らしさ同士が出会い、手を取り合うことの尊さを中心に描いた、『街角 桃色の店』に近いタイプの作品。より優しく牧歌的。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月29日
『小間使』ラブコメ描写はルビッチ中期の派手さに比べたら大分控えめだけど(本作はすべての筆圧がソフト)、堅い上流階級一家の中に紛れ込んでしまった気の合うよそ者同士、お互い応援はするけど恋心は抱かない協定を結んだのに、彼女への好きが抑えきれず、恋敵に姑息な悪戯を連発する紳士が面白い。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年4月29日
15.『真珠の頸飾』(今回も上映あり)
ルビッチ『真珠の頚飾』宝石窃盗犯が任務のために素朴な一般人に近づく内に思わぬ恋心が芽生えて…という設定からは『極楽特急』が連想されたけど、極限の洗練とエレガンスがきめ細かい機微を螺旋階段のように端正に織り成す後者に対して、素敵な意味で大味さに包まれた、実に微笑ましく愛らしい作品。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月14日
『真珠の頚飾』真珠を巡る序盤のやりとりから思わず笑ってしまう台詞に溢れ、やっと手にした貴重な休暇に出会ったガチ恋に陶酔するサラリーマンの心情にはいつしか切なく共鳴していた一方で、全体的にだいぶ大らかで柔らかい作品だなーと感じてたけれど最後の食事シーンでビシッと心を奪われた。流石!
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月14日
16.『極楽特急』(今回も上映あり)
ルビッチ『極楽特急』を観た。大袈裟な邦題の印象とは裏腹に、シックでエレガントな紳士淑女達のクライムコメディ。人の財布や現金、高級アクセサリーを神業で自分の懐にしてしまうなんてえげつないことのはずなのに、仕掛ける方も仕掛けられる方も至ってさらっと優雅な物腰。洗練された大人の素敵さ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月2日
17.『淑女超特急』(今回も上映あり)
『淑女超特急』を観た。あまりの極上が最高密度で繰り広げられる『生きるべきか死ぬべきか』を先に観てしまった副作用で、前半はえらくスカスカでさっぱりしてるなーと感じてしまったけど、もう後半はさすがとしかいいようのない楽しさで。今日は演技モノ繋がり?あの離婚証明の寸劇シーン最高。ツン!
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年4月28日
18.『街角 桃色の店』(今回は上映あり!)
ルビッチ作品らしいワクワクするラブコメ設定が中心に備えられた物語でありながら、それをチャーミングに盛り立てるような演出はとても控えめで、そもそもラブコメを期待して観ると少し肩透かしをくらう、資本主義社会への現実的な風刺とハートフルのバランスがシックなヒューマン映画。
そう考えると、これだけ密な人間ドラマとしての側面が充実した作品の中で、さらりと軽妙なラブコメ要素を両立してしまえるルビッチのセンスが光っている作品ともいえると思います。浮かれた邦題のイメージとはかなりの落差がある、営利追求社会への風刺を真摯で温かいヒューマン映画へと昇華した佳作。
19.『牡蠣の王女』(今回も上映あり)
『牡蠣の王女』を観た。『花嫁人形』や『男になったら』の比じゃなくやりたい放題の令嬢オッシそのままに、ぶっとんだ極端展開が楽しい悪ノリコメディ。とにかく尋常じゃない人数いる使用人の扱い方が終始素晴らしくステキ。賑やかを極めた音楽も伴ってサイレント作品なのにミュージカル映画のようで。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月9日
20.『青髭八人目の妻』(今回も上映あり)
昨日もラインナップの中で一番初期の作品と一番最近の作品で対だったように、本日のルビッチ特集も共にラブコメでありながら、とにかくピュアなロマンチックで完遂された『陽気な中尉さん』と、結婚は売買契約で、いずれ慰謝料を貰うためにするという腹黒い『青髯八人目の妻』の対比が際立ち楽しめた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月4日
21.『山猫リュシュカ』(今回も上映あり)
ルビッチ『山猫リュシュカ』を観た。『天使』とは対極なドチャメチャな演出とキャラクター、音楽による野性的で賑やかな三角関係ラブコメ。ジャック・タチを連想させるデザインセンス溢れるシュールでチャーミングなセットの数々が魅力的。色男が左遷される時の尋常じゃない数の女性エキストラも流石。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月10日
22.『男になったら』(今回も上映あり)
ルビッチ『男になったら』を観た。今回の特集での最初期作は、後に『花嫁人形』で最高に美味しいヒロインとして再登場する男勝りのお転婆娘オッシが主人公。全く相容れない淑女教育から逃れる為に男装を決め込んだものの、男の大変さも知ることになる男として過ごす1日を楽しくテンポよく描く45分。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月3日
オムニバス作品内における非常に短い作品のため順位には入れなかったもの
.『百萬弗貰ったら』(今回は上映なし)
ルビッチ特集で『百萬弗貰ったら』を観た。8人の監督による、タイトルそのままの状況に遭遇した8人を綴ったオニバス映画だけど、これがすご〜〜く良かった!!どのエピソードもそれぞれ魅力的な味わいがあり、とても贅沢な83分を過ごすことが出来た。私的には手品師と愛しい小鳥ちゃんが特に好き。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年4月30日
ルビッチ特集『百萬弗貰ったら』本編ともいえる8つの各エピソードはもちろん良いのだけど、私的に一番刺さったのがアウトロの死を間近に宣告された社長。「社長!!正気を失ってますぞ!」「10年前から失いたかったものだね!こんなに幸せになれるなら!」人の幸せとは何?正気とは一体何だろ?と。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年4月30日
『メリー・ウィドウ』『ラヴ・パレイド』『モンテカルロ』はDVDで観たのですが、感想の記録がなく曖昧なため、今回劇場で観た後に追加したいです。
・書籍『ルビッチ・タッチ』について(本当に大した感想じゃない・・・)
『ルビッチ・タッチ』日本版特別収録のトリュフォーのエッセイが異常に素晴らしすぎる。伝記的な本編、その他膨大なインタビューやルビッチ賛が収録された一冊だけど、“ルビッチ・タッチ”とはスバリ何なのかを他の誰より圧倒的に分かりやすい表現で解き明かすトリュフォー、天才!あまりに目から鱗!
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月5日
『ルビッチ・タッチ』517頁にも及んで貴重な考察と記録の数々が収録されているけれど「ルビッチは映画のプリンスであった」と題されたフランソワ・トリュフォーによる10頁ほどのエッセイに出会えただけで4500円が実質無銭になったし、本編もっと頑張れよってくらいトリュフォーが素晴らしい。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月5日
『ルビッチ・タッチ』日本版特別収録の山田宏一氏による寄稿「永遠のエルンスト・ルビッチ」も本編では冷たい扱いの『生きるべきか死ぬべきか』や『青髯八人目の妻』について補完を超えるほどのじっくり愛ある解説を記されていてとても楽しい。本編以上に日本版特典の方がありがたく感じる一冊(苦笑)
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2015年5月5日
以上、今回の大変喜ばしい特集を前に、エルンスト・ルビッチのいちファンとして、大したことはできなくても何かしたい欲求に駆られた結果の顛末でした。
明後日からが本当に楽しみ!!!!
(明日からの濱口竜介監督『PASSION』再上映も行きたい!!)