2017年3月の私的シネマランキング (No.1 ~ No.10)
私が3月に映画館で鑑賞した新作映画について、個人的によかった順番に並べて感想をまとめました。
今月観た新作は21本。
3月は個人的に初めて大阪アジアン映画祭(3月3日から12日まで開催)に行けたことがとても大きかったです。
すごく、すごくよかったんですよね。。。今までの映画祭体験の中でも1番の満足度と幸福感と楽しさでした…とてもよかった…
私は最後の3日間、3月10日(金)から12日(日)の参加で、観れた映画は7本(入ったのは8本でしたが、1本は98%くらい寝落ちしてしまいました…)、実質的には丸2日間の参加だったけど、すっかりハマってしまいました。
初めての大阪アジアン映画祭、最高だった!!トークショーやサイン会も大充実で、これは毎年行きたい!会場が離れたところに分散してるのでハシゴはドキドキしたけど、それも含めて楽しかった。シネ・リーブル梅田が広々とした空間に陽が射す、明るくお洒落なフロア設計で、惚れ惚れする映画館だった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) March 12, 2017
それから、このランキングは新作に絞っているので選外にしていますが、3月に映画館で観た3本の旧作がどれも非常に良かった。
『永い言い訳』と『クーリンチェ少年殺人事件』と『ムクシン』。
特に『永い言い訳』は去年公開の映画だったので、もしもうちょっと早くに観ていれば、去年の年間ランキングでもかなり上位に入れていたはずです。
『永い言い訳』想像をずっと超えて本当に素晴らしかった。人物描写の面で映画としての力が図抜けてる。風通しが良くて軽やかな語り口なのに、真摯で、難題から逃げない・目を逸らさない、意志の強さが底通してる。その部分を緩急を付けて見せていく匙加減の絶妙さに唸った。映画としての満足度が凄い。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月8日
『永い言い訳』2時間の中で何段階にも渡って、人物描写映画としての表情、感触、深みが変化していく、違った顔をみせていく。ムードは常に一貫された作品なのに。そこが本当に凄さが怖い級というか、容赦ないというか、“容赦ない”とは“真摯で、難題から逃げない・目を逸らさない”だと知らされた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月8日
『永い言い訳』世界には必ず自分にとって都合の悪い側面・視点が存在していて、究極的に言えばそれは自分以外の他人、全員なんだと思う。他人をしっかり他人として見れば、自分にとって不都合な部分が必ず存在する。それを無視し続けることを選ぶのか、不都合の中でしか得られない深みを手にするのか。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月8日
『クーリンチェ少年殺人事件』と『ムクシン』の感想は一番最後に貼っておこうと思います。
前書きが長くなりましたが、以下3月の私的ベスト1位からのご紹介です。
1.『ラビング 愛という名前のふたり』
『ラビング 愛という名前のふたり』まだ受賞作品を観きっていない状態でこんなこと言うのもアレですが、なんでこの作品が今年のアカデミー賞の作品賞と主演女優賞と主演男優賞にならなかったん??とごくごく自然に、心底素直に思わずはいれない、本当に本当に素晴らしい映画だった。観れば分かるよ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月18日
『ラ・ラ・ランド』も『お嬢さん』も『コクソン』も仕掛けの引力を行使することで魅力を生んでる映画だと思う。『ラビング』の魅了はそれとは対照的な、繊細に敷き詰められた極上の感情表現が常に溢れ出しそうな全編のストリームそのものの在り方にあって、私的にその充実度は『キャロル』以来のもの。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月18日
『ラビング』の映画としての贅沢さと、描かれるものが私を正しいほうへ救ってくれることを実感できる感は、『キャロル』のあの感覚にとても近いものがあった。信じたいものが生々しい感覚として、感情として作品から伝わってくる、感じられる。主演の2人のあまりに素晴らしい演技がそれを実現してる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月18日
『ラ・ラ・ランド』も『お嬢さん』も好きだけど、やっぱり自分が一番夢中になれて、心を全部預けることができる映画は『ラビング』のような作品だととても実感した。目には多くは見えず、言葉にも多くはされないものが、全編の空気の隅々まで溢れてることを確かに感じられる。そこが果てしなく魅力的。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月18日
『ラビング』を観ている間中、絶えず感じ続けてたこと。愛とは優しさを強さに変える作用であること。優しさを強さにまで変えるのが、愛。そしてこの映画は、そうした作用を・効力をこんな風に一番使いたい、こんな風に使えたら理想そのもの、と心底焦がれるシーン・時間の途切れることなき無限集合体。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月28日
2.『姉妹関係』
大阪アジアン映画祭『姉妹関係』本当に最高だった!!言うなればシックに思慮深く更新された『サニー 永遠の仲間たち』のよう。最高の青春映画であり、人生についての多角的な映画であり、極上のガールズムービーだった。泣くしか。今年最高の映画。 pic.twitter.com/Um9uCa8pYs
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月11日
『姉妹関係』本作が日本で上映された初のマカオ映画だそうだけど、それがこんな傑作とは!大人になった今と青春時代の記憶とを交差して描く手法はもはや使い古されたものだけど、本作はその説得力が格別。台湾からマカオへの15年ぶりの帰郷に迎えられる、青春時代が残した痛みと幸福についての映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月11日
『姉妹関係』マカオの孤児院に生まれた主人公の女性は、台湾人の心優しい男性と結婚して、妻として満たされた生活を送っている一方で、重度のアルコール依存に苦しんでいる。そんな彼女の人生が、帰郷と青春時代の回想によって紐解かれていく。そこには彼女自身もまだ知らなかった秘密が隠されていた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月11日
『姉妹関係』主人公の人物設定や描き方が非常に優れていて、青春時代の回想が進む毎に、当時とかけ離れてしまった今の主人公の不安定な部分が物語と相乗的に説得力を増していき、その深みに唸る。少女の感動的な友情を描いた青春映画としては勿論だけど、大人の映画としての充実度で本作は頭抜けてる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月11日
『姉妹関係』題名とかポスターは百合っぽいけど、真摯にそんな次元からは桁違いのところに到達してる本物の傑作。2人の少女が共に暮らした数年で築き上げた関係は、友情も、愛情さえも超えた、本気で相手の幸せを願う絶対的な想いやりで、その姿を眼前にした時、大人になった主人公と共に私は泣いた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月11日
今年の大阪アジアン映画祭「来るべき才能賞」を『姉妹関係』で主人公の青春時代を演じたフィッシュ・リウ(廖子妤)さんが受賞したのが嬉しい。彼女が主演した2015年の『レイジー・ヘイジー・クレイジー』共々、日本で劇場公開されますように…。 pic.twitter.com/KGL12HZM4Q
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月11日
3.『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』
『インビジブル・ゲスト』期待値を桁違いで塗り替え切った、誠に見事なドドド傑作サスペンス映画だった!決死の思惑に囚われた人間たちが奥深く潜める切り札と本性の在り処を、洗練された高密度なサスペンス映画の中で立体的かつ劇的に魅せていく。その手腕は去年の傑作『人間の値打ち』以来の観応え。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月26日
『インビジブル・ゲスト』完璧、圧巻なミステリ・サスペンス映画。序盤こそ“意外とありがち的ね”だったけど、進めば進むほど執念的に高まり続けるクオリティと切り口の高密度ぶりにどんどん惹きつけられ、後半の二転三転どころじゃない迫真のひっくり返し合戦とその全てを納得させる帰着に特大拍手。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月26日
今月のサスペンス映画は、痛快な二転三転を華麗にキメるサスペンスとしての充実と熱い百合ラブの巧妙な合わせ技で『お嬢さん』独走かと思ってたけど、ミステリやサスペンスの性質を逆手に取って劇的に心理ドラマを転がす、目を見張る手腕とクオリティで『インビジブル・ゲスト』が一気にトップにきた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月26日
シネ・エスパニョーラというスペイン映画特集の小企画で上映中の『インビジブル・ゲスト』、日曜でも客入りは一桁だった。未体験ゾーンがそこそこの映画でけっこう満席を出してることを思えば、この内容ならシネマート2で満席余裕なはずなのになー。小企画の枠内では勿体ない傑作。4/7までの上映。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月26日
4.『お嬢さん』
『お嬢さん』最高だった!!R-18指定の官能性ばかり話題になってる気がするけど、本作にとってそういう描写はあくまでプラスαの魅力で(それでも百合萌え的には極上たまらんです)、ことごとく明確で大胆な二転三転を華麗に効かせていく三角関係サスペンスとして絶品。そして最高最強の百合映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月5日
『お嬢さん』現時点で私的に今年最高の映画。それは仮に官能描写がなかったとしても不変。とにかく箱入り令嬢・メイドを演じる雇われ女詐欺師・伯爵を演じる黒幕詐欺師の3人による、駆け引きと胸熱三角関係を女子2人の各々の心理にじっくり寄り添いつつ、サスペンスとして大胆に交錯させる手腕が見事
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月5日
『お嬢さん』百合萌えの人には完璧マスト映画。心理サスペンスとしての洗練と充実が、令嬢とメイドという身分の異なる美しい女性2人の奥深い情の駆け引きと相まって、目を離さずにいられない。クソな男どもには絶対負けないという惚れ惚れする気概も含めて、ここまで完璧な百合映画は滅多にないのでは
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月5日
『お嬢さん』1月公開の『愛を歌う花』とは時代設定も、朝鮮と日本の関係も、その中で女性や結婚が担わされた役割も非常にリンクしていて、主演2人の女性の美しさもそうだけど、『愛を歌う花』の物語では切なさと共に志半ばで奪われてしまったものが、最高にクールに奪還されてる。胸熱ガールズ映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月5日
『お嬢さん』生々しさと潔さ、スリルとユーモアを両立した鮮やかな心理サスペンスの力作としても、クレバーな美女2人が最低な男根社会に痛烈な一矢を報いるガールズ物語としても、18禁なのが勿体ないほどだけど、ドレスアップ映画としても超極上。 pic.twitter.com/4MitlPnCAL
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月5日
5.『おとなの事情』
『おとなの事情』を観た。当然ブラック寄りラブコメを予想(期待)してたけど、まさかここまでの本格派映画とは!ブラコメ風情と観応え満点ヒューマン映画との絶妙にして完璧な融合。イタリア製『At the terrace テラスにて 』感もありつつ、さらに奥深い領域までシックに描き上げる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月18日
『おとなの事情』正直言ってこの手の設定ならB級映画風でも全然満足できちゃったと思う。でも、ガチで巧妙に洗練されていて、取り上げられるテーマも大人たちを取り巻く普遍的にして暗がりに隠しがちな深みある話題ばかりで、完全にラブコメの枠なんか超え切ってた。誰が観ても楽しめる映画だと思う。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月18日
『おとなの事情』思いっきり笑わせてばかりな映画を想像してたけど、そんな面もしっかりありつつ全体的にはシックで思慮深い眼差しが印象的な映画でもあって最強だなと。たくさん笑えて、ジーンとできて、一緒に考え込める、最高に親しみを持てる大良作。もし出口調査に会ってたら100点て言ってた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月18日
『おとなの事情』アラサー男子たちの問題だらけの恋愛事情を群像劇として生き生きと描いたイタリア映画に『最後のキス』があるけど、観応えはそのアラフォー版という感触もした。アラフォーだけあって家庭や子供もあり、秘密や悩みの深みも重みも増してるんだけど、そのヤバさが面白く描かれてて好き。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月18日
『おとなの事情』最近観た映画の中では群を抜いて理想的な父親像が登場する場面があって、それはもし自分が父親になるなら絶対こうなりたい、むしろそこの台詞を全部メモって覚えておきたいくらいだったけど、その後観た『ラビング』に小手先じゃない、愚直なそれを見せつけられてぶっ飛んでしまった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月18日
『おとなの事情』大いに笑える瞬間も沢山あるけど決して馬鹿っぽい映画ではなくて、リアルに、切実に多方面から“おとなの事情”を切り取っては深くえぐり込んでくる痛快さが通底していて、それを面白く楽しめる映画表現として絶妙に演出する手腕に惚れ惚れ。まさに大人のたしなみが実践されてる映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月18日
6.『未来よ こんにちは』
『未来よ こんにちは』監督の前々作で半自伝的作品という、同い年の初恋の彼に残した強い想いと年上の夫との間で心を揺らす、10代〜20代の心の軌跡と成長を描いた『グッバイ・ファーストラブ』と対になるような、それはつまり嬉しい感触、贅沢な映画体験。豊かな映画ってまさにこういうこと、と。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月26日
『未来よ こんにちは』これまでのミア・ハンセン=ラヴ作品に取り立ててそうは感じなかったけど、今作は確かにロメールの眼差しを感じた。密に、一瞬も見逃さんとするような視線が丹念に映し出す人物描写がそのまま物語に昇華していく。そんな眼差しの独壇場。そしてその先にユペール。贅沢なガン見。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月26日
『未来よ こんにちは』イザベル・ユペール演じる主人公の着こなしが本当に素敵でお洒落で、私服コレクション映画としてもスゴくポイントが高い。30歳越えたらファッションに年齢はあまり関係ないんじゃないかなんて気付かされるような、若々しくスタイリッシュな高校教師の装いに何度もときめいた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月26日
『未来よ こんにちは』でユペールが見せてくれる様々な素敵な装いを見て、とても元気付けられたし、安心したし、希望を持てた。50代になっても、60代になっても、若々しくお洒落な着こなしで、街をどんどん歩き回りたい。老け込む必要なんて全然ないんだって、男子もスゴく背中を押される映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月26日
『未来よ こんにちは』人間の生涯は思い通りにいかないことの連続と突然のトラブルに心彷徨ってばかり。そんなリアリスティックを宿した登場人物たちに注がれるシックな優しさが、やがて観客ひとりひとりを肯定する静かな力強さへ広がっていく。彷徨いにこそ人生の魅力があるとそっと語りかける作品。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月26日
『未来よ こんにちは』その日によって着こなしを選ぶこと、食べたいものを選ぶこと、飾る花を選ぶこと、話したい誰かを選ぶこと。私たちの毎日は確かに思い通りにいかないことばかりだし、突然の悲しみや憤慨に狼狽えるけど、それと同じくらい“楽しい彷徨い”にも満ちているのだと教えてくれる映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月26日
そういうこと自体は誰もがやってることで、素通りしちゃえばそれまでのこと。そこに楽しみや幸福や意義を見出すにはきっと余裕や思慮深さが必要で、その在り方を客観的に見せてくれるのが『未来よ こんにちは』であり、そこでのイザベル・ユペールであり、もっと辿ればフランス映画の魅力だと思う。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月26日
明後日公開のミア・ハンセン=ラブ『未来よ こんにちは』で流れる、Fleetwoods「Unchained Melody」があまりにも柔く脆い情緒そのもので、膝から崩れ落ちそうになる…時間も思考も止まって放心…こういうのが最高に好き… https://t.co/jWgta41Nfb
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月23日
7.『たぶん明日』
『たぶん明日』予想とは桁違い級で良かった。20代の女性監督によるフィリピンの映画だけど、淡くてカラフルな映像センスといい、キュートな演出といい、M83を参考にしたという魅力的なシンセポップBGMの数々といい、まるで北欧を連想させるような質感で、青春恋愛映画としても余裕で秀逸の域。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月11日
『たぶん明日』レズビアンの女性と、女性との恋愛は始めてになるストレートを自覚して生きてきた女性による恋愛映画というと、近年に『アデル、ブルーは熱い色』や『アデル』という作品があって社会との接し方など近い部分はありつつも、それらに比べて圧倒的にリアリティが高くて親しみ易い。新しい。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月11日
『たぶん明日』親友だった友達とレズビアンとして交際をしていることを世間に公表したい主人公と、その気持ちに理解を示しつつも新星トップ女優としての立場から厳重秘密にしなければならない彼女との、もどかしくて切ない関係が、重苦しくはならず、繊細で丁寧な心理描写と柔らかいタッチで描かれる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月11日
『たぶん明日』普通の女の子がレズビアンとして恋愛しながら生きていくことは、身の回りの細やかな事柄や変化や人に対して、これほどデリケートに気持ちを揺らしながら生活することなんだと生き生きと伝わってくるし、それを暗くは描かず、誰もが親密さを持てる青春らしい悩みとして描いてる点が好き。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月11日
『たぶん明日』お互いとても好き合ってるし離れるのは辛いけど、仕事の夢を守るために女同士の恋人としてはお別れしましょう、と決めて引越しの準備をするシーンで、捨てない物を入れるダンボールを被って最後の抵抗を試みる主人公がキュートすぎて。 pic.twitter.com/o7moUTnY3F
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月11日
『たぶん明日』レズビアンの恋愛そのものの悩みよりも、仕事に影響がでてしまうので隠し続けていくのが辛いといった社会的な問題が描かれている作品だけど、他のLGBTQを扱った映画に比べると、実に柔らかくて自然な感触。自分のことみたく応援したくなる気持ちを抱けるこの親密さは、偉大な魅力。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月11日
『たぶん明日』20代の女性監督らしく、とにかく映像も演出も音楽もセンスがお洒落で可愛らしく、洗練されている。2人で猫のお面を被ってビルを駆け上がるシーンはロマンチックの極み。主人公の女の子がストロークスのロゴTを着てるのも高まった。 pic.twitter.com/cyE3Of2KxI
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月11日
『たぶん明日』のような映画でストロークスのロゴTを着た女の子が出てくるのを見て、やっぱりソフィア・コッポラの映画で度々劇中歌に使われたのが、ストロークスのファッション的ステータスを全世界的に向上させるきっかけになったのかな、ということ。もともとファッショナブルな印象もあったけど。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月11日
8.『77回、彼氏をゆるす』
『77回、彼氏をゆるす』印象的な題名『77 HEARTBREAKS』とは、自分勝手な彼氏に愛想を尽かし始めた頃、主人公の女性が雑貨屋で見つけた日記帳の名前のことだった。我慢の限界77個分、恋愛で感じた失望を書き込める。普通に欲しい。 pic.twitter.com/vP3JpB2g4X
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月10日
『77回、彼氏をゆるす』1人の身勝手イメケン彼氏と、2人の彼女。前の彼女が彼の部屋に残していった、彼との思い出と失望を77個書き溜めた日記帳を新しい彼女が発見することで、現在と過去の2つの恋愛模様が交差して描かれていく。モダンでセンスのよい、香港を舞台にした恋愛映画。とても好き。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月10日
『77回、彼氏をゆるす』邦題のイメージから少し暗めでシリアスな映画を覚悟してたけど、完全に良い意味で覆された。描かれる内容は、誰もが頷けるに違いない男と女のすれ違い、もとい男の身勝手さと献身的な彼女の辛さなんだけど、重苦しくはならず、コメディ描写も交えながらポジティブに描いてる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月10日
『77回、彼氏をゆるす』香港で暮らす女たち男たちの映画だけど、小津安二郎ファンらしい主人公カップルが茅ヶ崎館に宿泊するために日本旅行するシーンもあって素敵。トークショーでは全編が茅ヶ崎館が舞台の『3泊4日、5時の鐘』(超大好き)やヴェンダースの『東京画』の話も出てきて嬉しかった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月10日
『77回、彼氏をゆるす』今まで、恋人にどんな不満を抱えても別れない女性には、それでも結局は好きなんだろうな、とまでしか思えなかったけど、本作で主人公が「日常的に彼氏の身勝手な部分を許すことに慣れてしまうと、いつ別れていいか分からなくなる」と言ってて“おお〜なるほど〜”ってなった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月10日
『77回、彼氏をゆるす』様々な素敵な女性たちの立場・目線から、ダメンズの身勝手さと鈍感具合を、回想の中で改めて観察するように描き連ねつつ、そんな男たちの未熟さを踏まえての女性としての幸せとは何なのかを自問しながら前に進む姿を、豊かな心理描写とお洒落な映像センスで鮮やかに映し出す。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月10日
『77回、彼氏をゆるす』彼氏に失望する度に77回分書き残していくユニークな日記帳を軸にしながら展開される、恋愛映画としての充実度やスケール、構成、映像センスなどどれも非常に魅力的で、物語の帰着だけはもう一捻り欲しかったな、なんて終盤よぎってたら、まさかの絶妙帰着に辿り着いて最高。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月10日
9.『パッセンジャー』
『パッセンジャー』最高!予想してた5千倍の良さ。正真正銘いま1番、誰にでもお薦めできる映画。シックに洗練された娯楽映画として強すぎる。陰陽に富む心理的示唆を存分に含んだ魅惑的なヒューマン映画&絶妙な捻りが効いた男女映画であり、SF要素はその優秀な背景。ハイパーオールラウンド映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月28日
『パッセンジャー』宇宙系SF映画としては特異なほど、エレガントで大人びた甘美作だと思う。センチメンタルなフィーリングが前面に出た、大人の心理ドラマ in 2人きりの宇宙旅行。まさかこんなにビターだとは、クライムサスペンス調入ってくるとは。だけどそれも含めてスウィートな感触。好き。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月28日
『パッセンジャー』物語の初期設定以外には斬新さはなく、SF面で言えば“お約束”を忠実になぞるにとどまるので、熱心なSFファンには物足りなそうだけど、密かな心理の駆け引き描写が魅力的なヒューマン映画や男女映画が好きなタイプからしたら、こんなに楽しませてくれるの!!と嬉しくなる映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月28日
『パッセンジャー』私的には今まで観てきた宇宙系SF映画で1番好きかも。ドラマとして純粋にこんなに次々とあの手この手で夢中にさせてくれるとは思わなかった。恋愛として見れば歪んでるけど、その歪みをヒューマンドラマの角度からも捉えているので、多角的に2人の心理を見れてとても味わい深い。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月28日
『パッセンジャー』予告編やポスターからは、宇宙系×ラブの王道SF映画の範疇内を予想してたけど、まさかここまでヒューマンドラマ、男女映画として充実してるとは。孤独との向き合い方やその限界、独善的な幸せの可能性やその罪深さ等々が、洗練された魅力的な表情で描かれていく。甘美なビターさ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月28日
宇宙系SF映画とセットになるヒューマンドラマ描写は、男っぽい熱血系か本気で泣かせにかかってくる家族モノにも近い愚直なヒューマニティー、というイメージを持ってたけど、『パッセンジャー』はその部分で新鮮な色気があって、しっとりした罪深さとロマンチックのせめぎ合いが大人っぽくて私好み。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月28日
10.『七月と安生』
『七月と安生』を観た。13歳の出会いから無二の大親友になった、正反対の性格の女性2人の関係を14年間に渡って壮大なスケールで描いた力作。互いを強く求め合う不変の愛情と、1人の男性を巡る癒えない嫉妬の激しいせめぎ合いが各々の心の中で巻き起こる様を、繊細かつ力強い手捌きで刻みつける。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月11日
『七月と安生』10代から20代にかけての若い女性同士の友情と、恋愛の三角関係が引き起こす悲劇、というテーマ自体はありがちだけど、本作の物語が持つスケール感と描写の容赦ない追い込み方は特段に目を引く。18歳からの約10年間は文通と数年に1回会う程度なのに、拗れ度の増し方描写が圧巻。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月11日
『七月と安生』女性同士の特別な友情と三角関係の苦しさ、という映画としては規格内の描写レベルを飛び出して、終盤は人生論や女性の生き方についてまで裾野を広げた、深く重厚な映画になっている。物語のダイナミズムも青春映画の域を超えているような感覚まで到達する。最後の最後まで目が離せない。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月11日
『七月と安生』作者が行方知らずなweb小説(その小説の題名自体が『七月と安生』)を読み進めていくという進行形態をとっている点が、後半じわじわとミステリー要素として大いに効いてきて、その切迫感と2人の晩年の関係性のクラッシュ感が絶妙に重なり合うことで、もう凄い次元に連れて行かれる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月11日
『七月と安生』実家に残って地元の大学を出て地元の銀行に就職して、高校時代からの彼と結婚することに未来を見出そうとしてる(そこには母親の暗示がある)七月と、ロックギタリストの彼と一緒に世界中を貧乏旅行し続ける安生という2人の生き方の交差を通して、人生の永遠の疑問を観客に投げかける。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月11日
『七月と安生』三角関係映画は沢山あるけど、ここまでリアリティとスケールの拡大を両立させた作品は貴重だと思う。10年間に渡る、距離を隔ててもなお再燃を繰り返す嫉妬心のしつこさに、人間の欲望と拘りの面倒臭さを自覚せずにいられない。そしてそれ故、人は人生にドラマを得られるということも。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月11日
『七月と安生』自分の感覚にまっすぐ従いがちで、あまり常識に囚われない故の危うさが時に恐怖を感じさせる安生を演じきった周冬雨(チョウ・ドンユイ)さんが魅力的だった。2年前のTIFFで流れた最高青春映画『少年班』でも最高ヒロインだった。 pic.twitter.com/T4q5tqen6j
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2017年3月11日
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