2016年の私的ベストアルバム 25選 (No.1 ~ No.15)
私が2016年に聴いたアルバムの中から個人的なベストランキングをつくりました。
超私的な感覚で1位から25位までを勝手に選びました。
上位の方は先日作ったベストトラックとモロ被りな有り様です。
それでは私的25位から。
私的25位から16位まではこちらを。
15. The Loch Ness Mouse 『The Loch Ness Mouse』
日本盤が先週リリースされたThe Loch Ness Mouseのセルフタイトル新作が極上の良さ。まさに同じく北欧の男女混成ギタポバンドであるAcid House Kings(特に2005年作)が大人になった姿という趣。つまりスウィートとビターが同居したシックな優雅さで年ベス級。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2016年2月13日
Spotifyでは検索すれば聴けます。
曲では「Restore My Ears」「Warm Circuitry」「Simple Song For A Bookstore」が私的ベスト3。
14. Yumi Zouma『Yoncalla』
新しいボーカリストに替わった新生Yumi Zoumaによる初のフルアルバムは、ボーカルの変化だけじゃなくて(声質自体はバンドのイメージが変わるほど大きな違いはない)サウンド面においてもEP時代と変化を感じさせる。
色彩よりも透明感を増したような、よりクリアですっきりしたイメージのアルバム。
最初はそこにフックが弱まったような違和感を感じてしまったけど、選び抜かれた洗練の音作りがすぐクセになり、気付けば繰り返し聴きたくなる大好きな1枚に。
「Keep It Close To Me」「Haji Awali」「Yesterday」「Hemisphere」「Throwing Smoke」が特に好き。
13. Shura『Nothing's Real』
昨年の傑作シングル「2Shy」 から期待していたShuraの1stアルバムだけど、期待を裏切らない充実の内容だった。
80’sのMadonnaやCyndi Lauperを彷彿とさせる、王道の真ん中をいくポップな楽曲たちが印象的。
洗練されたシンセポップの中で、誰にもキャッチ-で即シンガロングできる歌メロを両立していて、「2Shy」での繊細なイメージよりもアップテンポな新曲群での力強さが全体をリードしている。
「What's It Gonna Be?」「What Happened To Us?」といった曲がとても良い。
12. Starry Eyed Cadet 『Places We Don't Belong』
とにかく私的にど真ん中で、これは出会えてよかった。こんな誰も話題にしてないアルバム、自分で運よく出会うしか聴きようがなかったはず(苦笑)
Night Flowersもそうだけど、こういうのには本当に弱い。まだ大人になりきる前のThe Pains Of Being Pure At Heart風。ちょっぴりノイジーな、思いっきりセンチなギタポ、そして男女ツインボーカル。というバンドは意外と未だに多い。このアルバムが1stとなるStarry Eyed Cadetの良さは、曲の良さが本物であるということだと思う。
ミドルテンポの「Pills」や「Reaction」を聴くとそれがよく分かる。The Loch Ness Mouseの最新作のように成熟したシックな一面を持ち合わせていることに惹かれる。
「On The Run」や「Worlds Collide」のような弾けたキラーチューンも透明感があって、爽やかに聴ける。
これはもしかしたら2016年一番素敵な1枚なのでは?
11. Kanye West 『The Life Of Pablo』
ホ・ン・トにさ・す・がだった。これは驚いた、Kanye West まだまだ最高傑作更新し続けていくんだなってぶったまげた。
とはいえ本作が最高傑作かどうかはリスナーによるレベルではあるとは思う。でも、全然いつでもそういう級なの出せるからな、っていう存在を知らしめるには余裕な傑作ぶりだと思う。
今回の良いところは、今までのKanye West のアルバムそれぞれの魅了が一気に結集したようなところだと自分は感じた。
2000年代のKanyeの魅力も、2010年代前半のKanyeの魅力も全部が存在していて、さらにその結集を用いて、奥深い表現に向かっているという、手堅さ。
Kanye Westの新作を聴く度に、旬なポップミュージックに欠かせないのは人々から驚きを引き出すことだと実感する。ポップな驚き。
10. Chance The Rapper 『Coloring Book』
これがフリーDLなんだから、実質誰もChance The Rapperに敵わないとさえ言える、圧巻の大力作。2013年の前作『Acid Rap』を、眩いほどに完全に超えてきた。
とにかくゴージャスでポップで、破格にソウルフル。温もりに満ちている。
Chance The Rapperは作品発表のしきたりも変え、ヒップホップさえも変えようとしてるように感じるほど。
めちゃくちゃポップであることと、ズバ抜けた聴き応えがあることを、まるで当たり前にそうあるべきであるかのように両立してる。
全曲がそれぞれ際立った異なる個性を持ち、魅力的で、通して聴いてると壮大な音楽の旅をしているような心地にすらなる。
超ド級の満足度だった。
9. Yohuna 『Patientness』
これがname your priceでDL配信されているのが本当にスゴイ。Chance The Rapperと並んで、今年のそういう存在代表格だと思う。価格と内容は関係ないけども。
1曲目「Lake」のイントロからラストまで、最高の音楽体験の連続。
自ずと、心を奪われずにはいれない響き。そういうものが存在することを、ひたすら知る、そんなアルバム。
だいたい「Lake」みたいな曲と「Badges」みたいな曲と「The Moon Hangs In The Sky Like Nothing Hangs In The Sky」と「Apart」が1枚のアルバムに同居してしまってるんですよ、そりゃ反則だろ。。こりゃやべぇことですよ。しかもname your price。2016年最も土下座したいアルバム1位です。
8. Frank Ocean 『Blonde』
唄の極上な味わいが全編に渡って押し寄せる、文字通りソウル・魂のアルバム。静寂の暗室に、魂と共に立ち上がる唄が、リズムを刻み、グルーヴを生み出し、それはかつてない生々しさでリスナーに感情の波と熱を伝えていく。
Frank Oceanのスウィートな唄声も、スウィートなメロディーも、このアルバムの中では聴き手の平常心をえぐる鈍器のように強靭だ。
勇猛果敢なアレンジが、シンガー・SSWとしてのFrank Oceanをより一層魅力的に映し出したアルバムだった。
7. Crying 『Beyond the Fleeting Gales』
かつて2013年の『Get Olde』等を筆頭に、死ぬほど可愛すぎるふんわりピコピコシンセポップをやっていたバンドとは思えないほどの大化け傑作。
強引に形容するなら“開放的に優しくセンチになったSleigh Bells”とも言えそうな、ハードロッキンにキメた分厚いギターリフビートと鮮やかシンセを背に、悠々とグッドメロディーを歌っておる。
それにしても曲の粒ぞろい方がすごい!キラーに次ぐキラー。
「Premonitory Dream」「A Sudden Gust」「Wool in the Wash」「Revive」…他にもいっぱい必殺のチューンが詰まってる。
音の大きいロックもハードロックも内心馬鹿にしがちな私ですが、これはもうSleigh Bellsと同様の括りで大肯定したい。めっちゃポップで優しいムード。そこはさすがCryingといったところ。
今年出たSleigh Bellsの新作『Jessica Rabbit』が自分的にはだいぶテンション高すぎたので、余計に本作をありがたがってしまう。
2016年、私的にもっとも意表を突かれたアルバムでした。Cryingはどっちに振れても最高だな!
6. Wet 『Don't You』
アルバム全編に渡って、研ぎ澄まされた、繊細さの結晶のような楽曲が並ぶ。その1曲1曲がひとつ残らず、すべて良い。
やっぱり音楽なら、強さとか楽しさの直接的な表現も良いですが、か弱さや繊細さの内にある強さを表現したようなものが、ザ・音楽って気がして自分は好きなんですけど、2016年のポップミュージックのアルバムでそれを一番感じたのが、個人的にWet の1stアルバム『Don't You』でした。
非常に大好きな1枚です。この作品なら何年先もずっと好きでいれそう。
5. Madeira 『Bad Humors』
えっと、ベストトラックのページでけっこう書いたのでそちらを(笑)
最後の方にリンク貼ります。
4. Night Flowers 『Sleep』
これもベストトラックの方でけっこう書いたからな~(苦笑)
表題曲とJane Wiedlinのカバーの「Rush Hour」と表題曲のSaif Mode Remixは本当に最高なんですが、それ以外の2曲、「Sitting Pretty」と「Chaser」も良くて。
Night Flowersはホントに正統派シューゲイズポップバンドで、それを思いっきり素晴しく伝えてくれるEPだと思います。
シューゲイズというよりも綺麗にポップで、とにかく曲の良い、少し音の大きめな男女ツインVoのギターロックだと言われればそれまでだけど、女子ボーカルの可憐な歌声も含めて、好みのど真ん中の音楽でした。出会てよかった。
3. Japanese Breakfast 『Psychopomp』
これは凄く良いアルバム。“曲が良くて、そういうのが好きな人が盛り上がってる”っていう次元を超えて、誰の胸にも刺さる歌唱をしてるのがポイント高いと思います。
バンド活動中に亡くなった母に捧げるアルバム(ジャケットもお母さんの写真)というアーティストの意志をしっかり感じることのできる、特別な深みをたたえた秀逸なソロデビューアルバム。
名曲「In Heaven」を筆頭に、「The Woman That Loves You」、「Rugged Country」、「Everybody Wants to Love You」といった強靭な意志とメロディーメイカー、シンガーとしての才能を存分に思い知れる楽曲が揃っています。
インディロックとしてのカッコよさと、突き抜けたポップセンスを弾けさせるキュートさのバランスも魅力的な、カラフルな1枚。
2. 宇多田ヒカル 『Fantôme』
SONGSの宇多田ヒカルがあまりにも圧倒的に素晴らしすぎた。従来がツボすぎてた私は、春先の先行シングルスにはその別次元感から熱くはなれなかった。でも今夜披露された新曲2曲を前に、音楽が自分にもたらし得る最大値の興奮が全身に巡り目眩がした。最高な宇多田ヒカルがより最高になっていた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2016年9月22日
宇多田ヒカル史上もっとも王道最強のジャパニーズポップスな「二時間だけのバカンス」や、ものすごく色気のあるラブソング「ともだち」に代表されるように、一旦は先行リリースされた「花束を君に」や「真夏の通り雨」の印象から諦めかけたものの、アルバムでは依然ロマンスの神様であったことが何より嬉しかった。
そりゃ「道」も「花束を君に」も「忘却」もハッとするほど素晴らしい。3曲とも本気で感動したし、「道」はSONGSで観たとき若干泣いた。
でもやっぱり、宇多田ヒカルの8年ぶりのアルバムで「二時間だけのバカンス」とか「ともだち」とか「俺の彼女」とか「人生最高の日」とか「荒野の狼」のような、本当の意味でセクシーで陰陽のある極上ラブソングを聴けたのが最高にありがたくて。
たまんないよな!
個人的に宇多田ヒカルは「FINAL DISTANCE」以降、ラブソングの神様なんだけど、様々な彼女自身の環境の変化を経ても、なおそのラブソングには人間と人間の繋がりの在り方を射抜く眼差しと色気がたっぷりと注がれていて、今年の秋はとにかく『Fantôme』を聴きまくってた。
強さと繊細のバランスが本当に特別な1枚だと思う。
1. Bon Iver 『22, A Million』
Bon Iver新作の最高さは、サウンドアプローチの革新が曲そのものの良さを追い越すALには全くなっていない点。ソングライティングの時点で過去最高の、ソウルフルで美しい圧巻の曲の良さがあって、その素晴らしさをさらに広げる為の表現として、サウンドアプローチ面での偉大な開拓あり。完璧
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2016年11月20日
Bon Iver『22, A Million』あらゆる様々な聴き処の点に立って向かい合ってみても、本当にどこから聴いても非の打ち所がなさすぎる。はっきり言って他のアーティストの作品では到底勝負にならない程、本当に完璧体。一瞬の隙間のなく、すべての曲、すべての瞬間が最高にして至高。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) 2016年11月20日
今年一番、耳から離せなかった響きをもっていた1枚。
本当に人の神経をガチで引き寄せてしまう音楽とは、こういうことかと思った。
理性を超えて、関心をひたすら奪われる表現。
そういう響きを圧倒的なまでに成してる。どこを切り取っても。
私のいい加減でゆるゆるな感性を、ひと時でもピンと張っていただいてありがとうございました。
このアルバムに触れてるときは、感覚がピンとする、勝手に。
いつでもそうなる。
そういう体験までさせる作品って本当にすごなーと思うので、Bon Iverの『22, A Million』が私の2016年ベストアルバムです。
以上、2016年の私的ベストアルバム25選でした。
読んでいただいてありがとうございました。
トップの写真は2017年2月11日から17日まで開催されるトーキョーノーザンライツフェスティバル、通称 北欧映画祭で上映される『キス・ミー!』のカットを使いました。
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2013 / ノルウェー / ノルウェー語(Norwegian) / 93min
めっっっちゃ観たい!!!!!!!!
2016年の私的ベストトラック30選はこちら