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『私の少女時代 Our Times』は本当に本当にズバ抜けて素晴らしい青春恋愛映画の傑作だった。

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『私の少女時代 Our Times』を観た。


『キャロル』、『ブルックリン』、『シング・ストリート』… もうそういうの差し置いて今年最高の映画でいいです、『私の少女時代』が。というか、正直これはもう生涯ベストの映画だと、そう感じられてやまなかった。60%くらいのところでもうそういうレベルに達してた、飲み込まれ度が。それなのにそれなのにそれなのに、この映画、一向に手加減してくれない。もう〜どうやったってこの時点で既に完璧すぎるじゃん最高すぎるじゃんと完全ノックアウトしてるのに、ま〜〜そっこから何重にも仕掛けてくる、最高の瞬間の洪水を。恐ろしいほど、完璧すぎる。完全無欠。

 

『あの頃、君を追いかけた』?『建築学概論』?『オーロラの愛』?『サニー 永遠の仲間たち』?『君といた日々』?『ラブストーリー』?まぁきっとそれ系でしょとちょっと高を括ったまま入ってすみませんでした。構成は確かにそれ系。でも!!!う〜〜〜〜ひたすらに、圧倒的に、桁・違・い!!!すべてにおいて圧巻の差をつけて素晴らしい。青春恋愛映画の金字塔的大傑作。


近年の“それ系”アジア青春恋愛映画の構成をとりながらも、既存の同系統の作品と圧倒的な差をつけてるのは「主人公のヒロインが美少女ではない」という、この手のジャンルでは今までほとんど例を見ない、ある種リスキーな設定を果敢に採用し、それによってスタート地点から他の作品とはまったく異なるムードを作り上げることに成功していること(序盤から中盤にかけては主人公がありがちな美少女ルックだとしたら到底辿り着けない、ひたすら面白可笑しい最高コメディとして突き抜けてる)と、そこからの反転として、前半では徹底されたコメディのためにガン無視されていたセンチメント・純愛ロマンスの表現を致死量の勢いで大大大爆発させる後半に至った時の圧倒的完全無欠さ。その両面における、破格のクオリティの高さにあると思う。

だから本作は“最高の青春ラブコメ映画”というよりも、むしろ“最高のコメディ映画 + 最高の青春恋愛映画”という印象が残る。前半のコメディパートだけでも充分に最高なのです。それなのにそれなのにそれなのに!なんなのあの後半は。もう限界値を超えて良い。

 

「美少女じゃない=まったくモテない女の子」を主人公にした本作は、故に男女間の友情の在り方を理想的に映す。髪型も顔も放りっぱなしでブサっとした、アイドルオタクの優しい女の子と、悪グループのリーダーであるイケメンが、互いの恋愛成就という利害関係の元に凸凹でありながら微笑ましい友情で結ばれていく過程は、ファニーでありながらも瑞々しい感動を呼び起こす。2人の交流にそれぞれが“ブスだから・イケメンだから”というファクターはなく、それぞれがお目当ての異性と仲良くなれるようにアドバイスし合っていく。


彼女はある日の放課後、女の子が言う「大丈夫」は「大丈夫じゃない」。「なんでもない」は「大アリ」の意。「太っちゃった」は「全然そんなことないじゃん」て言って欲しいから。「もう知らない」は、嫌いになったわけじゃなくて、本当はとてもとても気になってる。グッとくる好意の伝え方は「君ってチビだし、バカだよな。でもそんな君が好き」みたいにマイナスなことを言って、“でもそんな君が好き”で結ぶことだと、彼に教える。

 

“女の子が言う「大丈夫」は「大丈夫じゃない」のこと”に連なる、これらの解釈の仕方はもう常識と言っていいほど皆分かっている。だけど知識として知っていても、それを実際の行動の中で実践していくとなると、センスが問われる部分で、こういうのは知ってる知らないじゃなくて、行動でできるか行動にできないかが差になるのだろう。そして、その最強の、もう感動すら覚えるほどの、間違いなく女の子をキュンとさせる完璧な実例集が本作なのである。


中盤で主人公のブサ子からこれらの心理を教わった尖ったイケメンは、映画の終盤で、ある登場人物に対して、そのひとつひとつを、最高のタイミングで、実践していくことになる。もうね、その一瞬一瞬の最高さといったらほんと死にそうになる。後半はひたすらにひたすらに圧巻の胸キュンと切なさに打ち震え続ける。近年のアジア青春恋愛映画の中に、ここまでやり切ってるものはないと思う。何一つ残さずに最高をこれでもかと詰め込んでる。期待の5億倍の良さでした。劇場公開は11月26日に新宿武蔵野館とのこと。