2015年上半期の私的ベストシネマ 30選(No.11 ~ No.30)
2015年も折り返し地点を迎えましたので、世の中の慣習に便乗して私も今年の上半期6か月間で観た映画のまとめを。
この上半期に私が映画館で鑑賞した作品の中から超私的な感覚で1位から30位までを勝手に選びました。
なお、基本的に日本での公開が2015年1月~6月の作品を基準に選出しましたが、中にはそうでないものもあるかもしれません。そのあたりはご容赦ください。
30.『雪の轍』
『雪の轍』を観た。最初の30分か1時間は怖いもの見たさで引き込まれるテーマが浮かび上がりつつもまださらっと観れる。が!その後2時間、ひたすら人間のイヤ〜な本質を、住み慣れた部屋の中で静かに椅子に座り交わされる会話の中でこれでもかと炙り出される新種の知的SM体験映画な3時間17分。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 28, 2015
『雪の轍』幾度か登場する人間が口喧嘩で生産しうる究極レベルの厄介さを撒き散らしす超長尺闘論シーンは、 “いやいやいや、まだ居座るんですか!?もういい加減寝てくれ!”と何度も念じたほど極ディープだけど、それを取り込みつつも軽やかさで包んだような映画に仕上げている点がこの作品の良さ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 28, 2015
『雪の轍』私的にここは流石に決定的な欠点だと感じたのが最後の主人公の独白の内容だったけど、あれだけ自分の中の醜い部分をさらけ出してしまったら、逆にそこまで自分を見せることのできた無二の人ということで、純愛の境地に滑り込みも可かもしれない…と考えるとアリになるけど…あれは無理ある。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 28, 2015
『雪の轍』会話劇がキモとなる本作では、“自分の罪”や“良心とは何か”、“他人を批判することとは”といった惹かれずにいられない、各々のキャラクターが抱える具体を観念へと変換を図り、相手を論破しようとする数々のテーマが闘論されるけど、私的には“退屈”の定義に係る論争が一番そそられた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 28, 2015
『雪の轍』と『コングレス未来学会議』は濃すぎて同じ日に観るべきではなかったのかもしれない、というほどに、両者とも超濃厚だった。『雪の轍』というのは、人間はどう足掻いても、どう取り繕ろうとしても、結局は抑えきれないほど感情の生きものなんだということが、本当によく描かれている映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 28, 2015
29.『彼は秘密の女ともだち』
『彼は秘密の女ともだち』を観た。“秘密の女ともだちである彼との交流によって、彼も私も悲しみを乗り越えて自分らしい人生へと踏み出していく、明るめのフランソワ・オゾン作品”をちらつかせていたものの、その全貌はそんな明解さとは正反対の装いを成す、オゾン作品王道の贅沢な濃厚心理迷路映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 27, 2015
『彼は秘密の女ともだち』主人公にとって、秘密の女友達となった女装依存の彼の存在が、人生に明るい刺激を与える光としてあるうちはまだまだ序盤にすぎず、それが重い混乱に変わる時、あのオゾン作品王道の緊迫した暗がりと迷子感が徐々に降りてきて、そこからが本作の本当の旨味であり果てない魅力。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 27, 2015
『彼は秘密の女ともだち』女装した彼を連れてショッピングするうちに、地味だった主人公まで女性らしく着飾る喜びに目覚めていくシーンで“まるで女の子が洋服を変えるように、気変わりするあなた”から始まるケイティ・ペリーのこの曲が流れるの最高! http://t.co/9qQiVLiWbb
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 28, 2015
28.『彼の見つめる先に』
ブラジル映画祭で『彼の見つめる先に』を。盲目の男子高生を軸にして、思春期の繊細に揺れ動く心模様と純愛をとても丁寧に、温かく、そして本当に瑞々しく描き通している。見事に期待に応えてくれた、じっくり味わえる青春映画。そこに描かれる全てが盲目という設定に依ることなく普遍を捉えきってる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 26, 2015
『彼の見つめる先に』ベルセバのファンなら必ずやキュンときて少し泣きたくなるシーンに遭遇するはず。クラシック音楽しか聴かない盲目の主人公に、ベルセバで一緒に踊ろうと誘ってくれたり、映画館に連れ出してくれたりしたら、そりゃ好きになるわー。 http://t.co/AOOZCggkHt
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 26, 2015
『彼の見つめる先に』盲目や同性愛といった要素をマイノリティーとして区別化された分かり易い描写の対象としては扱わず、あくまで誰もが思春期や大人になっても経験する心の喚きをより丁寧にじっくり描き上げる為の一つの視点として昇華することが徹底されてる。隙間なき瑞々しさはそれを証明してた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 26, 2015
『彼の見つめる先に』本作のように初めから同性愛者ではなく結果的に同性に恋していた、という状況が描かれる時ほど、恋愛感情の根本を知れる大変ありがたい機会もないとつくづく思っていて、特にこの映画は誰が観ても納得できるほど、特別に好きという感情の生まれ方が説得力大で、爽やかな青春映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 26, 2015
『彼の見つめる先に』主人公の男子高生と幼なじみで親友の女の子、そして転校生としてやってくる男の子の三角関係が物語の中心なんだけど、この三角関係の描き方の絶妙さが本当に秀逸で。ホントに最後の最後までどう転ぶか予想できなかったし、どうなっても納得できる3人に平等な描写で、最高だった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 26, 2015
27.『インヒアレント・ヴァイス』
『インヒアレント・ヴァイス』を観た。年中極ヤヴァ案件ばかり舞い込む私立探偵なら何が起きても容易く動じず一定のテンションを保てることは大事だと思う。だけど、映画そのものまで常に同じテンションで終始するのは、これだけ面白い要素を集結していながらもったいないと思った。常に楽しめたけど。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 20, 2015
『インヒアレント・ヴァイス』シーンの切り替わりとは韻を踏まず、幾分かのズレを孕みながら代わる代わるレコードを取り替えていくようなこの映画の音楽の使い方は、まるで映画を観ながらそのシーンに合った曲を選んで別のプレーヤーから流して重ねて観てるようなDJ気分も味わえて、とてもゴキゲン。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 20, 2015
『インヒアレント・ヴァイス』陽性のソウルミュージックとジョニー・グリーンウッドによるゼロ年代のレディオヘッドを彷彿させるギターフレーズを交互に背にして、ドラッギーなならず者ばかり登場する奥行きのあるサスペンスをウィットに富んだ台詞によってテンポよく展開してる。でも大味感は否めず…
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 20, 2015
26.『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』
『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』観た。ベルセバというバンドは、心の病で引きこもっていた大学生の青年が、曲作りの喜びと出会い、それが彼を町へと連れ出し仲間を見つけることで始まった。その時、彼の心を動かした音楽、ファッション、少女たち、動き出す景色を渾身の愛情で総出演させた自伝的傑作。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) May 16, 2015
『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』映画の第一声は“ニック・ドレイクは〜”、ヒロインが着るのはザ・スミス Tに、50〜60sの鉄板ガーリーコーデ。インディ男子はダウンボタンを一番上まで留めてフレッドペリーにアノラック。ネオアコ愛全開のスチュアート拘りのスタイリングは音楽の輝きそのもの。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) May 16, 2015
『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』ネオアコ文化の渦中で青春を生き、人生を見出したスチュアートだからこそ作れた、音楽とファッションがひとつに溶け合ったミュージカル作品であると同時に、音楽の神様がくれたひと夏の出会いと別れを通して少女が人生の一歩を踏み出す青春映画としても深い余韻を残す。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) May 16, 2015
『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』にはゴダール『はなればなれに』のダンスシーンやリチャード・レスター『ナック』の行列シーンへのオマージュが可愛らしく登場するけど、60sそのものへの目配せというより、それらを90sの再ブームで観た人が捉えたイメージやギタポキッズが夢見る60sを添える。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) May 16, 2015
『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』表層は見事にガーリーを体現した映画だけど、そこはスチュアート、見事にインディ男子のツボも心得きっていて、男性にも堪らない映画になってる。可愛い女の子2人と3ピースバンドを組んだり、自分の男物の服を女の子に着せたりと、インディ男子の夢が沢山詰まってる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) May 16, 2015
『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』自分のレコードを出すことが夢だけど、思い切った行動を起こせずにいたグラスゴー在住のインディ青年が、才能を秘めた魅力的な女の子と出会った特別なひと夏を経験して「この夏こそ、僕の最高傑作だった」という言葉に辿り着くまでの、甘くて苦いボーイズ映画でもある。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) May 16, 2015
『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』でバンド名の話になる時、ヒロインがパール・ジャムは精液の意で、10ccは一回の射精の量だと力説してる。『PJ20』でエディはパール叔母さんの作る美味しいジャムが由来と言ってたけど、可愛い女の子が精液といっている以上、精液説だけが私の中で有効になった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) May 16, 2015
25.『海街dairy』
『海街diary』を観た。もう、大満足。すごく良い映画。何が起きるかよりも、どう綴っていくか、本当にそこへのこだわりが丁寧で、その名の通り、誠実にダイアリー。すずが姉妹と鎌倉の街に打ち解け、溶け込んでいく、その様子に並行するように、私自身もこの作品の奥へ奥へと徐々に吸い込まれた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 13, 2015
『海街diary』出来事的にも感情的にも激しい起伏は控えめに、しとやかに繊細にそっと見守るように日常の暮らしを描く。なのにこれほど魅力的なのは美女たちの成せる技かと納得しそうだけど、映画そのものの素晴らしさあり。それでもすずの瑞々しい可憐さはあまりに象徴的で、堂々の広瀬すず映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 13, 2015
『海街diary』で一番衝撃的だったのは、池ちゃん、もしくレキシこと、池田貴史が4姉妹の次くらいのメインキャラ感でごく自然な感じで画面に登場した瞬間。まさかこんなに良い役だとは!(笑) 池ちゃんの芸達者ぶりのとどまることを知らなさに改めてニヤッとしてしまう瞬間だった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 13, 2015
『海街diary』実際に観る前は、たぶん観て一番率直な感想が“俺もあの家で4姉妹と一緒に暮らしたすぎる”なのは避けられぬだろうと思ってたけど、現に観た時にそんな風には思わせたりしないような、そんな下心は突き放すような、潔癖にも近い、映画全体を通底する絶対的に清らかなムードがある。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 13, 2015
24.『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』
『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』を観た。個人的には期待を遥かに超える完璧なまでの見事さに大満足。ロマンチックな脈動感とそれに対比する不穏な緊張感がスクリーンに映される様々な表情から繊細に伝わってきて、本当にすべての瞬間がクライマックスのように感じられた。吸い込まれまくった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) February 15, 2015
『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』を絶賛してしまうのは、私が一番好きな曲のストーンズ「Beast of Burden」をまさかぶっこんできたという、私的に大変叫び出しそうになった興奮の瞬間があったことも大きい。あの甘美なギターのイントロが聴こえてきた瞬間、全身が激しく沸いた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) February 15, 2015
『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』は物語的にはいよいよここからが見せ場かというところで幕切れを迎えるのが、逆に映画として中途半端な帰着を避けることに成功していると感じた。本作の核心は物語の進行以上に、瞬間瞬間の息遣いや気持ちの脈動感、焦燥感にあると思うのであの終わり方は好き。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) February 16, 2015
23.『あの日の声を探して』
『あの日の声を探して』を観た。この映画を中学校の教材にして欲しい。とにかく一人でも多くの世界中の人々に観て欲しい。切実に…。私がそう書いたって無駄な立場なのは百も象徴。でも。この作品に触れてしまったら、もうそう祈らないではいられない。いることなんて絶対させてくれない、この映画は。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) May 1, 2015
『あの日の声を探して』まったく大袈裟じゃなく心を裂かれる痛みに何度も何度も苦しくなる映画。だけど。知るには、痛みを避けて通れないことこそ、が、しか、この世界の悲惨な状況を変えられない。のに、自分は人任せに暮していて、でもこの映画を観てしまった。から。こんなにも考えが変わっている。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) May 1, 2015
『あの日の声を探して』戦争とそこで生きる人々を描いた映画の中でも、本作ほど心に強い衝撃を受けた作品はかつてない。親が軍に射殺されるのを目の当たりにした9歳の男の子が赤ちゃんの弟と弟の哺乳瓶や玩具を入れたリュックを背負い、危険な町から避難する為に1人で静かに歩き続ける姿。消えない。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) May 1, 2015
『あの日の声を探して』心が砕かれるやるせなさや悲しさや優しさを本能的レベルで感じることを避けられない本作は、そんな強い感情を呼び覚ます衝撃で何度も涙は出てしまうけど、意図的なお涙頂戴は感じさせずに、心優しいヒューマンドラマを同居させ、それでも最後まで循環する悲惨な現実を描き切る。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) May 1, 2015
『あの日の声を探して』宣伝を見ると戦争で孤児になってしまった少年が単独で主役のように予見されるけど、主人公は3人いて同じ戦争・戦地をまったく異なる3つの視点からそれぞれ描いている点がポイント。侵略された子供、望まず軍隊に入り銃を持つ少年、現状を世界に訴えようとするEU職員の女性。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) May 1, 2015
『あの日の声を探して』本当に本当に良い映画だし、実際に観ればこの作品がどれだけ世界に必要かがこれでもかと痛感できるので、いま良い新作映画いっぱい上映されてるけど、『マミー』や『セッション』や『鳥男』ぐらい話題になって欲しいし地方でも沢山観られて欲しい。きっと観た人全員が思うこと。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) May 1, 2015
22.『エール!』
フランス映画祭『エール!』を観た。自分以外の家族は全員耳が聞こえないという環境の中で献身的に一家を支えてきた田舎住まいの女子高校生が、歌の才能を生かせるパリでの未来と実家で家族と生きる未来との岐路に対峙することで大人へと成長していく姿を本人、父、母の各視点から爽やかに描いた作品。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 26, 2015
『エール!』チラシ等を見ると鮮やかで派手な感動が用意された映画が想像されるけど、実際は思春期に自分の人生へ決定的な一歩を踏み出す行動を起こすこと=親離れへの勇気と、親が抱える子ども依存からの克服を、不器用なほど素朴に、等身大に描いた愚直な作品で、だからこそクライマックスが刺さる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 26, 2015
フランス映画祭1日目、『エール!』も『ヴェルヌイユ家の結婚狂騒曲』も、親はいかにして子どもの人生を自分のものではなくて、彼や彼女自身のものであると悟り、受け入れるのか、を扱っていて意義深かった。どちらの作品でも母親が「私の教育が悪かったからこんな風になっちゃった〜」と泣き崩れる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 26, 2015
親の立場でも、子の立場でも、そういった決定的な子離れ/親離れができる機会は人生で2回あるように思っていて、それが『エール!』で描かれる子どもが自分の人生でやりたいことを見つけてそれに踏み出そうとする時と、『ヴェルヌイユ家の結婚狂騒曲』で描かれる子どもも自分の家族を持とうとする時。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 26, 2015
『エール!』に登場する歌唱シーンは今年観たコンサート(そこにポール・マッカートニーを含めたっていい)、音楽が素晴らしかった映画(もちろん『はじまりのうた』も)、そういった全ての中でも最高の歌声体験だった。あれはズルい。それぐらい一気に心をかっさらう歌に幾度か出会える唄の本質映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 26, 2015
『エール!』耳の聞こえない両親に対して、学校で見つけた自分の才能=歌で未来を切り開きたい少女がいかにして、自分の歌と気持ちを両親に伝えるのか。そこを表現の的としてフィーチャーした後半のシーンには普遍的な青春映画の向こうへと一歩踏み込んだ、映画表現としての新鮮な驚きと感動があった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 26, 2015
『エール!』は自分が中学生から高校2年生くらいまでの時期に観たかった映画として、これ以上のものはないほどだろうと。様々な家庭環境の中で親に気を使ったり、自己主張や反発できないで大切な決意を見送ってしまいそうな毎日にいる中高生には、これほど本物の勇気をもらえる青春映画はないと思う。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 26, 2015
『エール!』の舞台挨拶で聞いた、外国の人と言葉で会話するには事前に外国語を習得するために沢山の時間を要するけれど、手話は国によって多少の違いはあれど共通するものも多いので、外国人ともすぐに会話が出来て、ろうあ者の方々のコミュニティーは特別な親密さをもつ、という話は目から鱗だった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 26, 2015
21.『コングレス未来学会議』
『コングレス未来学会議』を観た。実写パートがアニメーションパートを包むようなサンドイッチ構造の作品だけど、それとは別に物語のテーマとして前半と後半で二部構成のように大きく性格が変わる。前半は映画産業と科学技術の未来を、後半は人間社会と科学技術の未来を、それぞれアイロニカルに描く。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 28, 2015
『コングレス未来学会議』映画産業の果てなくタフな経済志向と科学技術の限りなき進化が、俳優に何をもたらすのかを描く。それは俳優自身のCG化でスクリーンでずっと若いまま演じられる。その時ディランの「フォーエバーヤング」は物凄く皮肉に聴こえる。だけど後半、その聴こえ方は劇的に変わる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 28, 2015
『コングレス未来学会議』俳優本人の出演からの俳優自身のCG化によるCGの出演が図られる2014年。薬物によって映画は個人の頭脳の中で各々の好きな人物で現像化されるようになった2034年。そこまで描いてもう十分に観る応えのある映画なのに、本作はそこから尋常じゃない世界に飛び出す。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 28, 2015
『コングレス未来学会議』前半であれだけフィーチャーされていた映画産業と主人公の女優業に関するテーマも、ハイパーサイケでバッドトリップな極彩色アニメーションに姿を変えた後半には面影すら残さない。遠く逸れてしまった母と子はそれでも再会だけを糧に何もかもめちゃぐちゃな世界を生き続ける。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 28, 2015
『コングレス未来学会議』の前半に緻密に積み上げた成果でさえ、後半どしゃくちゃな激流の彼方に放ってしまう感じは、今元気な自分が色々なことに夢中になって頭にインプットして感情を発散しても、やがて頭脳や感情が衰えて様々な面でボケてきた時にどういう風になるのかを示されてるようでもあった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 28, 2015
20.『EXIT -エグジット-』
『EXIT』を観た。更年期障害を患った孤独な主婦の密かな情熱と葛藤を、言葉に頼らずとも豊潤な示唆的カットの連なりで綴った目を見張る文学性が魅力的。病院で出会った昏睡状態の青年との触れ合いにより感情が再生していく過程が一番のキモだけど、私的にはダンスや隣部屋との呼応が大いに響いた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) May 3, 2015
『EXIT』主人公の物静かな中年女性は夫と娘がいるけど一人で暮らしていて、仕事も失くしてしまったので映画全編を通して台詞は非常に少ない。なのに鑑賞中はそのことを全く感じさせないほど、演技とカットで心境を絶えず語りかけられている錯覚に陥る。映画における文学性そのものを体現した作品。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) May 3, 2015
『EXIT -エグジット-』感情を眠らせてしまった孤独な日々と更年期障害の苦しみからの脱出を、昏睡状態から段々と回復していく青年との触れ合いや壊れて開かなくなった家のドアと呼応させて綴る様子は、(朦朧とした意識で泣きじゃくる青年→やっと泣けた私、の表現は秀逸)この作品の軸を成す。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) May 3, 2015
だけど『EXIT -エグジット-』で私が一番観応えを感じたのは、一人しかいない家で夜毎社交ダンスのビデオを流し、衣装を着て、メイクを試みるカットと、隣の部屋から聞こえる性交に興じる声に耳を傾けて、そこから力を貰おうとしているように伺えるカット。いわゆる、彼女の日常シーンの描き方。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) May 3, 2015
『EXIT』ここまでヤらしさなく、生活感そのものとして、健気さやひたむきさをはっきりと映像として押し出せているのが本作の何よりの魅力。それを語るのが一切言葉ではなくて、全てが彼女の動きと表情によるものだから出来ることなんだと思う。ここまで豊かな文学性に貫かれた新作映画は大変貴重。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) May 3, 2015
19.『ローリング』
『ローリング』を観た。期待を上回る絶えることない敷き詰められた面白さ!女子更衣室の盗撮を機に放蕩転落人生を駆け落ちていく元教師の中年ダメ男と、彼に絡み絡まれ関わっていく元教え子たちの煩悩ライフを追った作品だけど、暗い映画には全然なってなくて、爽快なほどに面白くてエロチックで最高!
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 13, 2015
『ローリング』監督曰く“頭の悪い人しか出てこないサスペンス”だけど、私的に頭の悪い人物ばかりで構成された映画を観た時に感じがちなイライラが本作には全くなくて。それはこの映画に出てくる人達は皆どうしょもなさもあるけど、粋で優しく、ぶつかり合うより、認め合う人達だから。心地よい映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 13, 2015
『ローリング』色っぽいシーンのエロさがガチで生々しいエロさでのぼせ上がりそうになる。昼間から映画館で映画なんか観てないでエロいことしなきゃという気にさせられる瞬間が度々。そしてそんな作中に氾濫するエロい空気が、テーマ上ギスギスしかねない映画の雰囲気を温かく滑らかなものにしている。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 13, 2015
『ローリング』頭の悪い人ばかり出てくる映画が意図された作品とのことだけど、その頭の悪さの種類が誰一人被ることなく、全員に違った種類の頭の悪さを付与してる点がとても良い。本作を観ながら、この人は別に普通だろ、と思う人物が見つかったら、自分も彼/彼女と似た頭の悪さを共有してるのかも。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 13, 2015
18.『いつだってやめられる』
イタリア映画祭で『いつだってやめられる』を。これもクオリティの高い!!高学歴落ちぶれ集団によるクライムコメディはめちゃくちゃ面白くて大満足。全員が一度は高い知能で大学教授になるも様々な理由でその日暮らしに落ちた変わり者ヲタ集団の会話は、ウディ・アレン作品のノリを感じて実に楽しい。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 30, 2015
イタリア映画祭の『いつだってやめられる』は元同僚を呼び集めてギャング団を結成する物語という点が『龍三と七人の子分たち』と近い構造を持った作品。ただ前者の場合、団員は大学教授から落ちぶれたはぐれ者達で、無駄に極まった自慢の知識を利用した脱法ドラッグ製造販売でバカ稼ぎ。完璧な面白さ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 30, 2015
17.『オーロラの愛』
『オーロラの愛』を観た。最高だったあぁぁぁ!!!小説家の母が学生時代に経験した初恋と、いま娘が心を預ける初恋が交差して描かれる、純愛のときめきに満ちた最高にラブリーな一品。やがて2つの初恋は「初恋とは心残りを残すもの。」という気付き・納得へと辿る悲しみの元で、ひとつの物語になる。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 29, 2015
『オーロラの愛』あらすじや「初恋とは心残りを残すもの。」というと『あの頃、君〜』とか『建築学概論』のムードを想像しがちだけど、ああいった戻らない過去を讃えるノスタルジーでは全くなく、今も絶えない煌めきとして表現しきってる点が最高で。「心残りって何かわかる?結末のない物語のことよ」
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 29, 2015
正直、私は『あの頃、君を〜』も『建築学概論』もそこまで良い映画には感じられず。大人になって失くしたピュアな輝きの埋め合わせの為に初恋の記憶を持ち出した映画に見えてしまって…。『オーロラの愛』は全く違っていて、交差する2世代の初恋を現在も胸に絶えない心理経験として描いてる点が素敵。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 29, 2015
昨日明け方に真夜中心地で漏らしてしまった独り言があり、誰にも気付かれてなかったら消す類だけど、今夜観た『オーロラの愛』はまさにそれがガチテーマで、も〜何なんですかと。で、そこへきて「初恋とは心残りを残すもの。」の名台詞。最高ですわ。 https://t.co/Nf0RHVzmUj
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 29, 2015
『オーロラの愛』自分が一番心地よく楽しめる映画のド真ん中。厳密に観れば粗もあるし、蛇足と思う箇所もある。それでも、私には最高の映画。透明感があってキュンキュンな純愛映画は宝物。序盤に「君のその仕草が大好きすぎて胸が苦しくなる」というエピソードが出てきた時点で既に大好きになってた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 29, 2015
始まってすぐの「君のその仕草が大好きすぎて胸が苦しくなる」で『オーロラの愛』を大好きになる = ビートルズで一番好きな曲は歌い出しの歌詞の時点で「Something」(本当は隅々まで好きです) = フランク・シナトラはきっといい奴。 https://t.co/pf4iI45S4x
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 29, 2015
『オーロラの愛』は女優さんがこれでもかとみんな可愛い。個人的には母親の女子大生時代役の林妍柔さんがヤバかった。清楚なガーリー+様々なカチューシャスタイルで某仕草を繰り出す天使でした。 https://t.co/0VDjvbLI6z pic.twitter.com/TH2Iot0Gcb
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 29, 2015
16.『海へ行こう!』
EUフィルムデーズ『海へ行こう!』を観た。とっても良かった、本当に!将来の夢は映画監督の11歳の少年が、満を持してのデビュー作と意気込み、親友と共に互いの家族や恋の行方などを気取ったタッチで撮りまくるが、やがて探偵ごっこのような撮影の代償として「知る」ことの痛みや重さに直面する。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 7, 2015
『海へ行こう!』映画好き小学生2人がデビュー作としてカメラに収めた撮影内容そのものが映画になっている、そんな設定を鮮やかに生かした悪戯にキュートでユーモアな楽しい前半も素敵だけど、私的には映画撮影とは自らの体験を告白する重さと痛みを引き受けることでもあると悟る後半に心を奪われた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 7, 2015
『海へ行こう!』親友である主人公の小学生2人が対照的な家庭環境に生きている点が映画に味わい深さを与える。堂々と家族を紹介できて、さらには一緒に家族の秘密まで探ろうとする子。誰にも見せられない家庭環境を抱えている子。そんな2人が互いの家族風景を撮影し見せ合うことで大人になっていく。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 7, 2015
『海へ行こう!』を観て思いを馳せたのは、小学生時代の“秘密の共有”とはどれほど無邪気なものであったかということ。怖く感じてることでも、不安なことでも、コソコソ話で打ち明ければ、不思議なことにそれは希望のような姿に装いを変えた。人と繋がる喜びを一番素直に感じていたのはあの頃だった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 7, 2015
『海へ行こう!』という映画は、全編がまさにそんな無邪気な希望で包まれている。怖いことも不安なことも辛いこともある。でも、それにさえカメラを向け続けられたのは、きっと、あの年頃特有のコソコソ話の希望という魔法を彼らが完全に信じきっていられたからだ。それは今の自分にとても眩しかった。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 7, 2015
『海へ行こう!』の2人のように商売とは無縁に、映画を作りたい、本や音楽を作りたい、と思って、実際にそれが出来る人は、きっと人を信じることが出来てる人なんだと思う。受け取る人のことを信用できてなかったら、お金儲けとは無縁で、自分の中の何かを明かすことに踏み切れないはずだと思うから。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) June 7, 2015
15.『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
『バードマン』を観た。もう、全編隅々までエナジーがたぎってる。どこまでも生々しい忙しなさを究極の臨場感で実現する、極上グルーヴィーなカメラとドラミングと台詞の報酬に完全に時間感覚を奪われた。そして男という性がここまで本能レベルで共鳴してしまった映画体験は初。圧巻の傑作。満腹です。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 10, 2015
『バードマン』はまるで自分も公開を間近に控えた舞台のスタッフとして劇場内で忙しなく働いてるかのような圧倒的な臨場感を醸し出すカメラワークと、それに追い打ちをかける幾多のリズムを次々と鳴らすジャズドラム、そしてテンパりまくる主人公を取り巻くスピード感に溢れた対話をベースにしつつも、
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 11, 2015
あるポイントでそれまでジャズドラムだけが採用されていたBGMに突如オペラが挿入されて、その瞬間からそれまでプライドの殴り合いと焦燥でカオティックな暴走を続けていた映画のムードに変化が生じる。自分にとって真のプライドとは何なのか?承認欲求の壁の向こうへ踏み込む覚悟が芽生える瞬間。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 11, 2015
きっと人生は「今は〜どころじゃない」の連続で。今は仕事どころじゃない、学校どころじゃない、あんたにかまってるどころじゃない。それでも対処しなきゃならない日は来る。この週末観た『バードマン』と『タレンタイム』はそれをそれぞれのカラーで観れて楽しかった。 後者の凛々しい美しさは至宝。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 12, 2015
14.『陽だまりハウスでマラソンを』
『陽だまりハウスでマラソンを』を観た。予告編を見た限りではもっとコメディ色強めで陽気な作風を予感してたけど、予想よりもずっとしっとりした面も多く、シリアスなムードも終始あって幾つかの社会的テーマも呼び寄せながらも、それでも基本は期待どおりのダイレクトに心にクる温かく熱い良い映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) March 21, 2015
『陽だまりハウスでマラソンを』楽しい高まりにワクワクできる映画だとは思ってたけど、まさか何度もガチでうるうるきてしまう泣ける映画だとは。澄んだ高揚が何度も押し寄せる。観終わった後の清々しい気持ち度では、私的に今年の映画で今のところ一番。http://t.co/OzUZMGRldM
— SunCityGarden (@SunCityGarden) March 21, 2015
13.『はじまりのうた』
『はじまりのうた』を観た。ザ・完璧。誰でも・どんな状況でも心から楽しめる映画体験と最高のコンサート体験をダブルで同時体験してしまったような思い残し皆無の鮮やかな爽快感。もし目の前に陳腐な使い道に終わるかもしれない2時間を見つけたら、それを真珠色の時間に一瞬で変える本作をまた観る。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) March 15, 2015
映画を観ながらこれほどサントラを買わずにいられないと思わされ続けたのは久々だし、一緒に買った超楽しみにしてたTuxedoより先に封を開けそうだし、コンサートは行きたいけど最近特に行きたい公演が見つからなくてつまんないって言ってる人には『はじまりのうた』を観ることをお薦めしてみよ。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) March 15, 2015
『はじまりのうた』で登場する少し歳の離れた女子同士の可愛らしい恋愛相談の中で、男子の気を引くには見るからに尻軽な服装は止めて、清楚風な服を着て、男子に想像させることが大事、という台詞を聞いて、特定の異性に惹かれるとは自分の想像力が都合良く積み上げた恋愛劇に酔うことだと改めて実感。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) March 15, 2015
12.『きっと、星のせいじゃない。』
『きっと、星のせいじゃない。』を観た。今のところ、今年の新作で私的に一番。本当に非の打ち所がない、吸い込まれるような素晴らしい作品だと感じた。お決まりの出来すぎた物語なのかもしれない。それでも、それを心の真ん中で響かせる映画として大変に魅力的で、細かいところまで好感を寄せられた。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) March 14, 2015
11.『竜三と七人の子分たち』
『龍三と七人の子分たち』を観た。もう〜くそファッキン最高!!!可笑しくて可笑しくて涙が出ちゃうくらい可笑しすぎて最高に楽しい超粋なコメディだった。とにかく絶えず笑いまくれる!銃声が響く度に声をあげて笑ってしまう映画体験は初だった!男ならなおこの粋さは堪らない。誰にも外さない一本!
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 29, 2015
小さなことと分かってるのに落ち込んじゃって抜け出せない時とか、気にしてもしょーがないと知っててもヤなことが頭から去ってくれない時とか、なんとか映画館まで行く気力だけ振り絞り『龍三と七人の子分たち』に入ってしまえば、きっと立ち直れちゃうと思う。それくらい確かな魔法を感じた最高映画。
— SunCityGarden (@SunCityGarden) April 29, 2015
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