ポール・マッカートニーを観た

ポール・マッカートニーの11年ぶりとなる日本ツアーが、本日東京ドーム3日目の公演をもって終了した。

僕は11/18 月曜日の東京ドーム初日公演に参加することができた。

 

生まれて初めて、生のポール・マッカートニーのライブを体験した。

そこでは繰り出される楽曲もパフォーマンスもファンへのサービスも、すべてが本当に極上で、本当に特別で、特にコンサートの後半では絶えず涙腺を緩ませて感動と興奮で胸をいっぱいにしている自分がいた。

特に本編のクライマックス、「Ob-La-Di, Ob-La-Da」→「Band on the Run」→「Back in the U.S.S.R.」→「Let It Be」→「Live and Let Die」→「Hey Jude」に至る流れは、一生に幾度と体験できるものじゃない、心が震える本物の感激に包まれた。

最後のアンコールでフィナーレを飾った「Golden Slumbers」~「Carry That Weigh」~「The End」のメドレーも、同じく一生モノの体験として、この先何十年もずっと心に残り続けるだろうと思う。

本当にあの場所に自分がいられてよかった。

年齢を重ねながら少しずつシビアになる未来を生きていくことも、もしかしたら悪くないのかもしれない。そんなふうにさえ思えてしまう特別な出来事だった。

中高生の頃に自分に教えてあげたいな。

 

そんな、たった3時間の出来事が一生に深く刻まれるような体験からもう3日経つのだけど(そして1日後にはAtoms For Peaceが待っているのに!)、未だにあれからというもの、あそこで味わったポールの音楽と、そこから浮かび上がるロックンロールやポップ・ミュージックといったものの本質が頭の中から離れない。

あのロックとポップの真髄だけを濃縮して詰め込んだような3時間を経験して感じたことは、「Hey Jude」の冒頭に出てくる言葉『take a sad song and make it better』にこそ、ロックの、そしてポップ・ミュージックの本質が表されているんじゃないかということ。

ロックンロールのルーツは、かつてアフリカから奴隷としてアメリカに連れてこられた黒人たちが生んだブルース(sad song)にあることを持ち出すまでもなく、ロックが好きな人ならその輝きが背中合わせの悲しみとセットとして存在していることを無意識の内に感じ取っていると思う。

「Hey Jude」はもちろん、今回の来日ツアーでも披露された「Let It Be」や「Yesterday」、「All My Loving」や「Blackbird」など、ポールの書く曲には悲しみを受け止めながら未来を生きようとする気持ちが託された名曲がたくさんあることに、コンサートを観ながら改めて思い知らされた。

そしてそれが本当に心に刺さった。

ポールの夢のようなライブは終わってしまっても、日常は続く。悲しいこと、辛いことは当たり前のように毎日存在する。そういう時に、これからはもっとポールの曲が自分を強くさせてくれるように思う。

 

またもう一つ印象に残ったのが、ポールの、特にビートルズ時代に書かれた曲たちは、言うまでもなくポップ音楽史上最も多くの人々に愛された超巨大な存在でありながら、一方でその歌は、こんなちっぽけな小市民である僕などが友達や恋人や家族の誰にも言えないような、1人で胸の中に抱えた秘密や悩みをそっと打ち明けられるような、自分以外の誰にも話せないことを内緒話するような、そんなとても特別で強力な親密さを持った曲がとても多くて、まさにそれもポップ・ミュージックなるものの真髄であるように思った。

今回のライブでもポールは頻繁に、「この曲はジミ・ヘンドリックスに捧げます」とか「ジョンに歌います」とか「ジョージに」とか「リンダに」とか宛名を付けて歌っていたし、そもそも「Hey Jude」なんて曲があったりして、ポールの書く曲は『(不特定多数の中の)誰かのため』って感じじゃなく『(いま前の前にいる)君のために』って感じで、とてもダイレクトで親密な感触を持っていることに気付いた。

だから、それをライブでやられちゃうと泣こうと思ってなくても泣けてきちゃう。自分に歌ってくれてるんだって思っちゃうから。スーパーダイレクトで、ハイパーな身近感。あの歌声とメロディーセンスとストレートな歌詞は、やっぱり凄い。

世界で一番知られた曲であるのに、あれだけプライベートな感触があるんだから。

でも、本当に優れたポップ・ミュージックっていうのはそういうものなんだろうなって思った。

 

そういうわけでライブを観て感じたり考えたりしたことを書き殴っていったら綺麗にはまとまらなかったんだけど、それでもそれだけ衝撃でした、という記録として書きました。

 


Paul McCartney I've Just Seen A Face Tokyo Dome ...

 

僕がコンサート中唯一ビデオ機能を使った瞬間。

「I've Just Seen A Face」、ビートルズで一番好きな曲なので。この曲が来たら撮ろうと決めてた。

この曲もめちゃくちゃ内緒話感ある。

 

 

Paul McCartney Out There Japan Tour at Tokyo Dome 2013.11.18

 

1. Eight Days a Week
2. Save Us
3. All My Loving
4. Listen to What the Man Said
5. Let Me Roll It
6. Paperback Writer
7. My Valentine
8. 1985 
9. The Long and Winding Road
10. Maybe I'm Amazed
11. I've Just Seen a Face
12. We Can Work It Out
13. Another Day
14. And I Love Her
15. Blackbird
16. Here Today
17. New
18. Queenie Eye
19. Lady Madonna
20. All Together Now
21. Lovely Rita
22. Everybody Out There
23. Eleanor Rigby
24. Being for the Benefit of Mr. Kite!
25. Something
26. Ob-La-Di, Ob-La-Da
27. Band on the Run
28. Back in the U.S.S.R.
29. Let It Be
30. Live and Let Die
31. Hey Jude

32. Day Tripper
33. Hi, Hi, Hi
34. Get Back

35. Yesterday
36. Helter Skelter
37. Golden Slumbers
38. Carry That Weight
39. The End